第11話 | |
音無自由「千載一遇のチャンスを逃した私は絶望してた」 |
このままじゃ勝てないよ。 このままじゃ勝てないよ。 千載一遇のチャンスを逃した。 グノーシャ二人に勝てるわけ無い。 私の実力じゃ女銃鹿に勝てっこない。 |
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私の名前は音無自由(おとなしじゆう) サプレッサー(減音器)のグノーシャ。 現在、大阪梅田にて・・・秋葉原にいる女銃鹿と交戦中。 女銃鹿は私の攻撃をきりぬけ何かの準備をしている。 攻撃しても丈夫なグノーシャらしき大男に阻まれ、なんの攻撃も通用しない。 |
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私は相変わらず無力だよね。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
無力か・・・ グノーシャの私は人間より強い力を所持している。 どんな遠くの場所でも見ることができる「∞視点」という特殊能力。 どんな銃器でも射程を最大で410kmまで伸ばせる「∞射程」という特殊能力。 自分の望んだ音ならどんな音でも打ち消す「∞消音」という特殊能力。 銃の腕も人間のたどり着けない領域に達している。 |
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でも勝てない。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
女銃鹿に勝てないだけじゃない。 私の人生は勝てないことだらけだ。 私はグノーシャとしてこの世に生を受けてから、ずっと「死刑賛成論者」と戦い続けてきた。 |
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人間の命は尊いものなんだよ。 罪をおかした人間なら殺していいなんて考えは間違ってるよ。 |
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犯罪被害者の人権を蹂躙した犯罪者なら殺していい。 |
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死刑には無実の人間を間違って殺してしまう危険性があるんだよ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
無実の人間が間違って刑罰を受ける可能性は他の刑罰でもありえる話だよね。 どうして死刑だけ特別視するの? |
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死刑は残酷な復讐なんだよ。 人がやってはいけないよ。 |
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残酷な復讐じゃない。 必要な罰です。 |
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私は正しい事を言い続けた。 でも私の言葉は死刑賛成論者の心を変えられなかった。 ネットで死刑反対論を語れば死刑賛成論者に袋叩きにされた。 議論の場をつくっただけで保守系の新聞にバッシングされたこともある。 なぜここまで死刑反対論が叩かれるのだろう? |
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日本人の8割以上が死刑賛成論者なんだから、袋叩きにされるのは当然かな。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
でも去年の冬に政府与党が国民の反対を押し切って死刑を廃止にしてくれた。 私は死刑廃止になんの貢献もしてない負け犬だけど なんだか私の思いが通じたみたいで、嬉しかった。 |
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女銃鹿・・・。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
だが話は簡単に終わらなかった。 死刑が廃止されて2ヶ月後・・・ 女銃鹿が死刑廃止によって死刑をまぬがれた元死刑囚を殺しはじめた。 お父様から聞いた話によると・・・ 女銃鹿は国の代わりに自分で死刑を執行すると決めたらしい。
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