第23話 | |
蜻蛉斬り「社蓄のう~た~が♪聞こえ~てくる~よ♪ ゲッ!ゲッ!ゲッ!ゲロゲロゲロ♪グァッ!グァッ! がはっ!!」 |
今日はグノーシャを三人処刑した。 | |
ふむ。 ごくろう。 |
女銃鹿が三号と出会う5年前に起きた出来事。 |
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【新宿のとあるビル】 |
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新宿にあるビルのオフィス。 そのオフィスの応接室で「蜻蛉斬り(とんぼきり)」という名の少女と「なゐの神衣」という名の男が話をしていた。 2人とも5年後と同じ姿形をしていた。 |
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【オフィスの応接室】 |
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仕事の後はいちごポッキー。 | |
少女はワイングラスの中に入れられた20本のいちごポッキーを、噛まずに一息で飲み干した。 |
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まるで蛇のひとのみだ。 | |
いちごポッキーは飲み物(キリッ) | |
ふむ…… 平気な顔をしているな。 |
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気管と胃は丈夫(キリッ) | |
蜻蛉斬り(とんぼきり)は仕事が終わった安心感からか、すこぶる機嫌が良さそうだった。 |
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いや、そういう意味ではない。 処刑をしてから1時間しか時間がたっていないのに、よくここまで平気な顔をしていられるものだと感心した。 |
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戦国時代に比べればヌルい。 | |
戦国時代最強の武人「本多忠勝」の槍。 天下三槍の「蜻蛉斬り(とんぼきり)」 それがおまえの脳になっていたんだったな。 |
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【本多忠勝】 |
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うん。 戦国時代に本多忠勝の槍として戦った日々も覚えてる。 |
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貴重な文化財をグノーシャに活用した時はどんなグノーシャになるかワクワクしたが…… 驚くほど達観したグノーシャができたものだ。 |
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戦国時代では、一揆を起こした農民をいっぱい刺し殺した。 それにくらべれば超ヌルヌル。 |
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人の命が今より軽い時代を生きてきたんだな。 | |
殺したグノーシャは私利私欲の為に罪を重ねたあげく、主君であるお父様に逆らった。 そんなグノーシャは殺してフツー。 |
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今の人権屋がおまえの発言を聞いたらどう思うかな? 最近活発に活動している欧州の死刑廃止論者が聞いたら卒倒するな。 |
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欧州も日本も関係ない。 死体の山を積み重ねて、天下太平を築こうとするのはどこも同じ。 |
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蜻蛉斬りはそわそわしながら回答した。 今の蜻蛉斬りにとってはどうでもいい話だった。 仕事を終えた蜻蛉斬りは、さっさと自宅に帰ってゴロゴロしたかった。 蜻蛉斬りがオフィスの柱にかけられた掛け時計をチラチラ眺める。 時計をチラチラ眺めることで、早くうちに帰りたいとなゐの神衣にアピールした。 |
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退屈な問答になってしまったな。 そんな話より外にでて体を動かしたいな。 |
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うん。 退屈な問答してたら、外で体を動かしたくなった。 |
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それを聞いて安心した。 | |
??? | |
仕事から帰ってきてすぐで悪いが、グノーシャの殺処分を依頼したい。 | |
!? | |
外で体が動かせるぞ♪ やったな♪ |
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・・・・。 |
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疲れた。 帰りたい。 |
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退屈な問答をしてたら体を動かしたくなったんだろ? | |
誘導尋問? | |
いや、どうやって仕事の話を切り出すかさぐっていただけだ。 | |
全ては仕事の話をするためのデコイ。 汚い、大人の男は汚い。 |
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私自身、前向きに戦うグノーシャの支援で忙しいのだ。 荒事を無傷で処理できるグノーシャは、残念ながらおまえだけなのでな。 |
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優秀な人間に大量の仕事が回ってくるのは、日本社会の悪しき風習。 | |
組織とは優秀な人間の努力と犠牲の上になりたっているのだ。 欧州も日本も関係ない。 |
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むー。 | |
なゐの神衣は、組織の為だとか…… お前の為だとかそれらしい理由で「仕事をやれ」と蜻蛉斬りを説得した。 その姿は帰路につこうとする部下に、無茶苦茶な屁理屈で新しい案件を押しつけるブラック企業の上司そのものだった。 |
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わかった働く。 社畜さいこー。 ここは社畜生道(しゃちくしょうどう)だったのだ。 |
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そうか仕事を受けてくれるのか! ありがとう。 一緒に1日24時間働こう。 (↑比喩ではなく本当に24時間働かせるつもり) |
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・・・・・。 | |
【新宿のとあるビル】 |
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それで誰殺す? | |
蜻蛉斬り(とんぼきり)は自分のかたわらにおいてあった、都市迷彩柄のゴルフバックを開けて奇妙な武器を取り出した。 |
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【奇妙な武器】 |
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奇妙な武器は全長70cmぐらいの小型ミサイルとセットになっていた。 ミサイルを置く台と手を握るグリップそして主軸で構成されている。 全長は約1m。 主軸の素材はボロン繊維とプラスチックを合わせた先進複合材でできている。 |
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蜻蛉斬りはこの武器を「槍投げ機」と呼んでいた。 |
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殺処分するグノーシャは痩男(ヤセオトコ)だ。 | |
誰? | |
先月生まれた「能面」のグノーシャだ。 | |
【能面 痩男(ヤセオトコ)】 |
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能力は? | |
∞演技。 簡単にいえば何にでも変身できる能力だ。 ∞がつくだけあって規模が広範囲だな。 |
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はじめて聞くー。 | |
痩男(ヤセオトコ)は「∞演技」の力を使って、300人の人間に変身し……東北にある人口300人の島に入りこんだ。 |
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島に住んでた人間は? | |
・・・・・。 |
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? |
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全員殺された。 | |
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