第24話 | |
女銃鹿「ゲームと関係ない死刑云々という厨二ストーリーを再開しますよー」 三号「またやるの?」 |
ローグギャラクシーはクソゲーかもー! さあ……ふるえてしまったの。 |
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ドラクエ8のレベルファイブだから期待したのに、残念です。 |
【とある島】 ここは東北にある人口300人の島。 その島の民家で2人の少女がゲームを遊びながら、雑談をしていた。 2人の少女が遊んでいる部屋は…… ゲームの入った棚に囲まれたゲームだらけの部屋だった。 |
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このクソゲーをつかまされた思いをどこかにぶつけたいねー。 ブログでも開設して文句を言おうかな? |
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【プレステのコントローラー】 一人の少女がPS2で発売されたローグギャラクシーというゲームを遊びながら答えた。 少女の名前は島乃 桜(しまの さくら) 年齢は14才。 身長は145cm。 |
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ブログですか? テレビで特集されてたブロガーになるんですね♪ |
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もう一人の少女はゲームのケーブルを輪ゴムでまとめて部屋を整理していた。 少女の名前は島乃 勇気(しまの ゆうき) 年齢は17才。 身長は163cm。 目つきは鋭く、髪を後ろに結んでいる。 |
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ブログのタイトルは「顔面ソニーレイ」なんてどうかなー? | |
ネーミングセンスが酷すぎです。 | |
それじゃーねー。 | |
はは♪ | |
妹のささやかな冗談に付き合わされる穏やかな日々。 姉の「勇気」はそんな穏やかな日々が好きだった。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ |
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そんな穏やかな日々に水をさすように… 突然、隣の家から物音がした。 ガコン |
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あれ……? 隣の家から音がしませんでしたか? |
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小屋のトタン板に何かがぶつかる音だね。 | |
何でしょうか? 役場にいるお父さんに連絡しますか? |
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お姉ちゃんが外で確認してー。 | |
私はコントローラーから手が離せないの。 |
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ローグギャラクシーなんてクソゲーを一生懸命遊ばなくても・・・ | |
ゲームのコントローラーと体が同化して離れられないのー♪ どんな手をつかっても分離不可能だね! |
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ガコン! 不意に天井から鈍い音が響く。 そしてゲームを遊んでいた桜の上に正体不明の黒い塊が降ってきた。 |
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え? | |
ひぎゃ! | |
ゲームを遊んでいた桜が断末魔の悲鳴をあげた。 |
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どうしたんですか桜。 | |
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あ・・ああ・・・ああ・・ | |
血まみれの桜が両腕を前につきだし絶望していた。 桜の腕の先端が見当たらない。 ・・・・ ・・ 桜の両手が粉微塵に消し飛んでいた。 |
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さくらの手がない! | |
急いで私の腕をゲームのケーブルで結んで! | |
ケーブルで結んで血を止めるの! |
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すぐにケーブルで結んで血を止めます! 桜頑張ってください! |
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姉の「勇気」はゲームのケーブルをまとめていた輪ゴムをひきちぎり・・・ ケーブルで桜の腕を力のかぎり強く結んだ。 |
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手がないの………ゲームが…… もうできないの…… |
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あ……う…… | |
あまりの出来事にかける言葉が見つからない。 妹の桜にとってゲームは生きがいだった。 「死ぬまでゲームをやるの!」 それが彼女の座右の銘だった。 |
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あ……あの…… あの…… |
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言葉がでない。 何も言葉がかけられない。 |
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あう……あ…… | |
で…でも…… |
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なんとかなるかもー? | |
え? | |
義手をつけてゲームをすればいいの。 | |
両足に対応したフットペダルのコントローラーと義手を使えば、どんなゲームでも遊べるの。 |
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遊べますよ! 生きてればどんなゲームでも遊べます! |
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勇気は妹の桜が強い人間だと強く実感した。 これほどまでの逆境でありながら冷静な判断をした。 両手を失って生きがいを失いかけても、なお前向きに生きる手段を見つけだした。 |
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まだ大丈夫です! すぐに医者を呼びます! |
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ガコン! また天井から鈍い音が響く。 そしてまた桜の上に、正体不明の黒い塊が降ってきた。 |
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グチョ! |
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!? | |
今度は桜の後頭部に黒い塊が突き刺さった。 桜は声も上げずにドサリと倒れる。 |
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ごぽ・・っ | |
あ・・・ああ・・。 | |
そして殺虫剤をかけられた昆虫のように、3回ほど手足を痙攣させて… ・・・・・・ ・・・・ ・・ 2度と動かなくなった。 |
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どうして…こんな… あんまりだ! 何が起きたのですか? |
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姉の勇気は自分の顔を両手でかきむしりながら涙し嗚咽した。 鼻水と涙があふれ、勇気の顔が苦悩で歪む。 |
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だ…だれがこんなことを…… | |
勇気の妹……桜は突然の災厄に襲撃され非業の死を遂げた。 |
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【島の海岸】 1時間後。 同じ島の海岸。 島の海岸には、公園に置いてありそうな安物のバンブーボートが停泊していた。 バンブーボートから2人の人物が下船して海岸を歩いていた。 |
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東北にある人口300人の島に到着。 | |
1人目の人物は蜻蛉斬り(とんぼきり) 都市迷彩柄のゴルフバックを左肩で背負いながら、周囲をキョロキョロ見まわしている。 |
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……疲れた。 | |
2人目の人物は身長185cmの大柄な男。 武人のような顔をしており、見る人が見ればヤクザと勘違いされるような風格があった。 |
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60G……乙。 手こぎバンブーボートで10km移動するのはさすがに重労働。 |
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男は六十神(むそじがみ)という名前のグノーシャ。 親しい仲間からは「60G」と呼ばれてた。 |
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Tさんに……いや…… 蜻蛉斬りさんに重労働させるわけにもいかないですからね。 |
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この島に300人の島民を殺した犯罪グノーシャ…… | |
「痩男(やせおとこ)」がいる。 |
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グノーシャのくせに連続殺人なんてやりやがって! 処理作業をやらされるこっちの身にもなりやがれ! |
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「痩男(やせおとこ)」の処刑は私の仕事。 | |
60Gの仕事はグノーシャの依り代(よりしろ)に使えそうな死体の回収。 |
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こうやって事件のどさくさに紛れて、死体を勝手に回収して利用する俺達も悪人ですよね。 | |
60Gは死体を集めて何かをするように「なゐの神衣」から命じられているようだ。 |
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悪人なのは事実。 それでも罪のない島民を殺す「痩男」よりは善人。 |
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「痩男」みたいなクズ野郎に比べればマシでしょうけど…… | |
60Gは胸にしまってあった禁煙パイポをとりだし2、3度吸って苛立つ気持ちを沈めた。 |
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60Gと私はこれから別行動。 | |
蜻蛉斬りさん。 楽しそうですね。 |
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うん。 もしかしたら痩男は大物の殺人鬼かもしれない。 大物の殺人鬼がいかなる人物か見てみたい。 |
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蜻蛉斬りはゲームの新機種を買いに行く子供のように、期待で胸を膨らませていた。 |
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羊たちの沈黙のレクター教授みたいな大物の殺人鬼ですか? | |
そんなものは現実にはいないと思いますよ。 |
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会えば分かる。 | |
・・・・・・。 |
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蜻蛉斬りさん。 俺は1回だけ連続強盗殺人をした人間を捕まえたことがあります。 |
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そいつは自分の事しか考えていないクソ野郎でしたよ。 |
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・・・・・。 | |
犯罪の被害者は、犯罪被害にあう少し前まで平和な時間をすごしていた正常な人達です。 |
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そんな人達の人生を一瞬で無茶苦茶にしておいて… それでも自分の事ばかり考える。 …殺人鬼っていうのは、そういう生き物だと俺は考えています。 |
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【島乃家】 |
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島乃勇気は憔悴していた。 島乃勇気は絶望していた。 島乃勇気のひざもとには妹の死体が転がっていた。 |
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許せない……妹をこんなにした…… のは……だれだ…… |
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つぐなえ…… 命 で 償 え ! |
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