第9話 | |
三号「女銃鹿の家に居候をしてから一週間がすぎた。 唐突だが……今、俺は秋葉原にいる。」 |
秋葉原なのー♪ | |
秋葉原ー♪ |
【秋葉原 駅前】 |
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俺の名前は売れ杉三号! 女銃鹿の家に居候している0歳のグノーシャだ。 俺が女銃鹿の家に居候をしてから一週間がすぎた。 唐突だが。 俺は今……秋葉原にいる。 なぜ秋葉原にきたのか? その理由はヤマもオチも意味もないユルーイ事情がある。 |
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【昨日、女銃鹿の家にて】 |
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秋葉原にいく前日…… 俺はユルーイ時間をすごしていた。 女銃鹿の家に居候をするようになって、俺は妹ちゃんのTVゲームを遊ぶ手伝いをするようになった。 |
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三号君♪ 素材集めご苦労様なのー♪ |
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TVゲームに手伝いなど必要ないと考える人もいるかもしれないが、ひたすら同じ作業を要求するゲームは時間の浪費が激しすぎる。 ひたすら同じ作業が要求される素材集めと経験値稼ぎは俺が担当。 それ以外の全ては妹ちゃんが担当。 そうすることで効率的にゲームが進められる。 妹ちゃん曰く、日本では1986年に発売されたドラクエⅠから続く伝統的な分担作業だそうだ。 |
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おう!! まかせてOK!! |
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子供にいいように利用されて…… 「あなたって、本当に最低の屑だわ!」と思う奴もいるかもしれない。 俺を利用する妹ちゃんを不快に感じる奴もいるかもしれない。 だが……あえて言おう!! お互いが幸せなら、どんな人間関係でも幸せなのだ!! |
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今日はスキヤキだから三号君も一緒に食べるといいよ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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だが俺の考えは甘かった。 この先、あんな悲劇が待っていようとは…… 今の俺に知る余地は無い。 |
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・・・・・・・。 |
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俺の考えてる事はバレバレでしゅか? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
バレバレでしゅ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
うん……がんばれ俺。 |
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三号君いますか? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
家主の女銃鹿のご帰還のようだ。 女銃鹿に関しては本当に謎だらけだ。 とにかく外出が多い。 何をやっているのか語らない。 私もあなたを干渉しないから………あなたも私に干渉するな。 そんなオーラで全身をフルコーティングしている。 |
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何かあった? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
三号君と私の戦闘をお父様に報告したところ。 お父様が三号君に大変興味をもったそうです。 |
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性的な意味で。 |
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え・・・マジ!! | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
違います。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
うん……負けるな俺。 |
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それで明後日に東京にある「お父様の仕事場」で、三号君と話がしたいそうです。 |
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お父様って…… なゐの神衣(かむい)とかいう政治家だっけ? |
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はい。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
病院にいたとき…… グノーシャを管理している人物だと聞いたな。 今、一番会って話がしたい人物だ。 |
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もちろん行く。 というか行かせてくれ。 |
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それでは明後日に3人で東京に行きます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
東京か…… 俺が今いる愛知県より発展してるんだろうな。 |
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せっかく東京行くのなら…… 明日、秋葉原に行くのー♪ |
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でもお父様に会うのは明後日ですよ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
明日、東京に行って秋葉原でゲーム収集。 その後、東京で一泊してお父様に会いに行くのはどうかなー? |
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いいですね。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
おまえらってゲームが好きなんだなー。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
そんなヤマもオチも意味もないユルーイ経緯で、秋葉原に行くことが決定した。 |
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【秋葉原】 |
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自宅から地下鉄の乗り場まで車で10分。 地下鉄で名古屋駅まで20分。 名古屋駅から東京駅まで新幹線で1時間30分。 大昔に比べれば楽になったかもしれないが、地方民が東京に行くにはそれなりの時間が必要だ。 女銃鹿と妹ちゃんは携帯ゲームで遊んでいたので、退屈ではなかったかも知れないが…… 何も持ってきていない俺にとっては退屈な時間だった。 とはいえ目的地の秋葉原についてみれば、退屈な気持ちも一瞬で消し飛ぶ。 |
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秋葉原なのー♪ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
秋葉原ー♪ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ここは秋葉原・・・ 日本最強のオタク街。 地方民が秋葉原に行くとまず空気の汚さにドン引きする。 なぜここまで空気が汚いのか? それはオタクの念が沈殿下して濃縮されたからだと俺は考えている。 |
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地方民のゲーム好きとしては、秋葉原はテンションが上がるねー。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
俺は秋葉原が初めてだから案内してくれよ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
・・・・・・・ ・・あれ? 妹ちゃんがいない? |
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妹ならもういませんよ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
え……だって0.5秒前まで会話してたよね? どこに消えたの? |
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クラブセガ、ソフマップ、メディアランド……メッセンオー、スーパーポテト……イエローサブマリン……ゲームハリウッドのどこかです。 |
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そ…そうっすか…… 女銃鹿はどうするんだ? |
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ファルコムの新作ゲームの先行体験会があるので、ソフマップに向かいます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
女銃鹿の歩くスピードが微妙に早い。 きっと楽しみで1秒でも早くゲームがしたいのだろう。 女銃鹿も妹ちゃんほどではないにしろゲームをかなりやっている。 ゲームの話をしている女銃鹿は穏やかで心が広い。 逆にグノーシャが関係する事になると、針の鎧を身につけていると思えるぐらい刺々(とげとげ)しくなる。 どちらが本物の女銃鹿なんだろう。 |
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・・・・・・。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
……? 女銃鹿が急に足を止める。 女銃鹿の表情を険しくなるのが分かる。 周囲に変化はない。 何が起きた? |
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こんな所で大闘争をはじめるのですか? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
大闘争? そういえば女銃鹿と俺が闘った時もそんな事を言ってたよな…… 女銃鹿「今のあなたは大ピンチです。大闘争を始めましょう」 女銃鹿「グノーシャ同士の大規模な闘いの事です。あなたの力を見せてください」 今でも意味がよく分からない。 |
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女銃鹿がバッグから厚手の手袋を取り出して、右手に装着する。 |
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じ……丈夫そうな手袋だな。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
防刃グローブです。 それよりもきますよ。 |
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え……何が? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
俺が質問しようとしたとき……
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