第56話 | |
60G「僕、グノーシャだからすごく遠くに飛びそう!」 |
60Gちゃん&お姉ちゃん、いきなり用事ができたの。 |
3人で連れションしようよ。 |
午前12時。 特別養護老人ホーム フタツメ園(えん) 「フタツメ園(えん)」 女銃鹿(めじゅうか)達は老人ホームのレクレーションルームでTRPGをしていた。 四角いテーブルを二つつなげ、5人の老人とテーブルを囲んでいる。 「レクレーションルーム」 |
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3人でツレション? 正気ですか? |
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しかも屋根の上でツレションなの! | |
しかも屋根の上!? |
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どんだけ痛い子アピールをすれば気が済むんですか? |
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屋根の上でツレションはまずいわね。衛生的じゃないわ。 | |
トイレなら1人で行って下さい。 | |
そっかー。 1人でトイレなんだー。 |
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じゃあー尿意(にゅうい)はないね。 |
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じゃあー尿意(にゅうい)はない? マジで意味不明ですよ。 |
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ごめん。 ごめん。 |
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尿意(にゅうい)は勘違いだったの。 取り消すから忘れてなの。 |
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はぁ・・・ | |
メスちゃんはよく分からない子だね。 | |
女銃鹿と介護職員のおばちゃんは困惑(こんわく)しメスを見つめた。 |
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わしメスちゃんとトイレ行くよ… 何なら、ここで一緒にしようか… |
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馬鹿はほっといて、TRPGを楽しみましょう。 | |
サイコロを振ってください。 60GはTRPGを続行した。 |
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ふがサイコロかの…… もが…… |
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ぷるぷるぷるぷるぷるぷる。 (↑サイコロを持った老人の手が震えてる) |
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サイコロを振るのもひと苦労か。これではTRPGにならないな。 | |
ゲームマスターをしていた60Gは苦悩していた。 |
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どうしましたか? うまくできませんか? |
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老人とのTRPGはハードルが高ぇな。 | |
動きが遅すぎる。 ルールを覚えない。 シャイすぎて話さない。 物忘れが激しい。 普通のTRPGは難しいかもな。 |
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難攻不落(なんこうふらく)ですね。 | |
うちは認知症が進んでる人も多いからこのゲームは難しいかもね。 |
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じゃあTRPGはやめて、スゴロク大会にしましょう! | |
ゆっくりサイコロをふる、ゆっくりスゴロク大会です。 「ゆっくりスゴロク」 |
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ほへ・・・コロコロ。 (↑手をプルプルさせながらサイコロを振ってる) |
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サイコロをふるだけなら問題ないわね。うん、これならいける。 |
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もはやTRPGでもなんでもないの。 | |
いいんだよ! | |
スゴロクしながらおしゃべりするのもTRPGみたいなもんだ! ・・・たぶん。 |
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スゴロクしながらおしゃべりですか? | |
どんな話題でおしゃべりしますか? |
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老人向けの話題か? | |
第二次世界大戦の話なら喰いつくかな? |
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戦争時代の話をすると興奮しすぎる、お年寄りがいるから気をつけてね。 |
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戦争の話は興奮しすぎるのか? ちょっと怖いな。 |
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私達はお年寄りのことを知らなさすぎるの。 | |
今回のTRPG企画は大失敗かもね。 何も盛り上がらなかったの。 場が凍(い)てついていたの。 |
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うん、失敗じゃな。 死ね。 |
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なにがやりたいのかよく分からんかった。 | |
大失敗上等! | |
TRPGは失敗がつきものだ! 次は老人向けのTRPGをつくって、再挑戦するから覚えとけよ!! |
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リベーンジじゃ! | |
何度でも行くから、それまで死ぬなよクソジジイ! |
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俺はしつこいぞ! |
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あーあーまた来なさい。 待ってるよ。 |
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メスちゃんもまた来ておくれ。 | |
メスちゃんだけでもいいよ。 |
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今度はお爺ちゃんお婆ちゃんの面白い所を見してほしいの! | |
私は面白いモノの味方なの! 面白ければ何度でも行くよ。 |
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うん。 うん。 |
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老人の1人がメスの手を両手で握り、何度もうなづいた。 |
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メスは老人にモテモテだな。 | |
明るくて素直な子はみんな好きよ。 | |
老人ホームのカリスマアイドルになれるかもー♪ | |
メスは老人とのコミュニケーションが上手だった。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ |
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・・・・・・。 | |
・・・・ ・・ |
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ジョワ!? | |
突然、メスは素っ頓狂(すっとんきょう)な声を出し 天井を見た。 |
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どうしたメス? 天井に何かあるのか? |
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オシッコがしたいね! | |
かなりの尿意を感じるの! |
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またかよ。 トイレぐらい黙っていけよ。 |
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トイレまで案内します。 |
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屋根でツレションしないと危険だね! | |
屋根の上でツレションがしたいの! |
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またですか? | |
屋根の上でツレションしかないの! |
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これはデンジャーな緊急事態なの! |
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おまえ……頭大丈夫か? | |
(緊急事態?) | |
もしかして命に関わるような緊急事態? |
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おかしな奴とは思っていたが、ここまでおかしい奴だったのか。 | |
わしがメスちゃんとシーシーする! | |
いやここはワシに任せろ! わしならここでシーシーできる! |
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TRPGの時よりもじーさん達が元気に発言してる。 | |
なんでやじーさん? そんなに下ネタが好きなのかじーさん? ・・・・ ・・ |
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行きますよ60G。 緊急事態です。 |
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は? おまえもか? |
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え? え? |
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女銃鹿は立ち上がり、60Gの手を引きながら老人ホームの出口に向かった。 |
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まじか? | |
これから3人でツレションをするのか? 屋根の上でツレションをするのか? |
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いいからついて来て下さい。 | |
これは凄いね! 凄い尿意を感じるの! |
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フォースを感じる的な意味で尿意を感じるの! これは尿意というより脅威だね! |
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意味が分からねぇよ。 | |
60Gは嫌そうな顔で女銃鹿についていった。 ・・・・ ・・ 【屋根の上】 5分後…屋根の上。 女銃鹿とメスと60Gはハシゴを使って屋根の上に移動した。 |
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よっこらせ。 これで3人とも屋根の上だね。 |
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はい。 | |
禁断のプレイ会場に来てしまった。 | |
屋根の上でオシッコだよな? 屋根の上で放尿(ほうにょう)だよな? |
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(つまり女銃鹿とメスは用を足すために、パンツを下ろさなければならない) | |
ヤバイ! 性的な意味で興奮してきた! ぶっちゃけチ○コがMAXになった。 |
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今から屋根に来た理由を説明するの! | |
(この状態でしょんべんを出したら、俺のMAXウォーターガンはどこまで飛ぶのだろう?) | |
僕、グノーシャだから、すごく遠くに飛びそう! 僕のしょんべんが海外まで飛んだらどうしよう! |
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60Gメスの話を聞いてください。 | |
(とにかく男の俺からションベンをしよう。女の子に恥をかかせちゃ駄目だ) | |
60Gは震(ふる)える手で自分のチャックを下ろした。 |
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チャックを戻してください。 ツレションはしません。 |
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なんで中止なの!とっても楽しみにしてたのに! |
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ツレションはしないね。 | |
屋根に登るために嘘をついたの。 |
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俺のぼ○きチ○ボはどうすればいい? 後戻りできない状態なんだが・・・ |
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60Gは下ネタを捨てて下さい。 | |
下ネタが60Gの価値を大暴落させます。 |
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うう。 期待させといて酷いや。 |
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60Gは両ヒザをかかえて落ち込んだ。 60Gは本物のピュアな涙を流していた。 |
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それで何が起きたのですかメス? | |
東京から殺気を感じたの。 | |
グノーシャの殺気だね。 |
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東京からグノーシャの殺気ですか? | |
ここは愛知県だから、東京から250kmぐらい離れてるよな? | |
何も見ない状態で敵が分かるのか? |
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2人とも∞視点に頼りすぎなの。 | |
原初に戻り、虫の知らせを研ぎ澄ましたほうがいいよ。 私は危険を感じると尿意(にょうい)を催(もよお)すの。 |
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俺には理解できない力だな。 | |
メスは∞斬戮(ざんりく)を持つ剣士ですからね。 | |
グノーシャの剣士として、不思議な力を持っています。 |
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殺気を感じとるとか、心の目で見るとか美化された侍みたいな能力か。 | |
∞斬戮(ざんりく)の世界はとっても深いよ~。 | |
士道の理想がてんこもりでつまってるの。 極めればこの世の悪を一刀のもとに切り伏せるらしいね。 |
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うん、まったくわからん。 | |
∞斬戮(ざんりく)は特殊すぎて私達には理解できません。 | |
それよりも何が起きたか教えて下さい。 |
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老人ホームのお爺ちゃんお婆ちゃんに銃口が向けられてるね。 | |
250km離れた東京から、殺気がギュンギュン伝わってくるの。 |
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もしかして老人ホームに隕石を落とした奴か? | |
分からないの。 | |
打算的ですごーく面白くない殺気だね。 面白くない事は悪い事なの。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ 【とあるビルの屋上】 ここは東京都千代田区。 とあるビルの屋上で2人のグノーシャがライフルを構えていた。 |
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・・・・・・。 | |
グノーシャの一人は中肉中背で目が細いグノーシャだった。 「中肉中背で目が細いグノーシャ」 もう一人はビルダー体型で大柄(おおがら)なグノーシャだった。 |
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おいおいおいおいおい! | |
老人ホームの屋根に3人の人間が立ってっぞ! 「3人の人間?」 |
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問題ない。 屋根の人間は無視して老人を間引く。 |
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間引くか……キャリア官僚(かんりょう)さまは物騒(ぶっそう)だねぇ。 |
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ビルダー体型のグノーシャはライフルの銃口を天に向けた。 ライフルは豊和M1500と呼ばれる国産ライフル。 特殊銃Ⅰ型とも呼ばれ、日本の警察や特殊部隊が使用しているライフルでもある。 |
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超高齢化社会で老人が増えれば医療費が増え、税金が増える。 | |
死にゆく老人のために、日本の若者達は過重(かじゅう)な税負担を強(し)いられることになる。 |
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だな。 | |
俺達が老人を殺す理由…… | |
それは…… |
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税 金 対 策 だ ! |
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ああ……俺に任せろ。 | |
ビルダー体型のグノーシャはライフルの引き金に指を置いた。 |
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撃てぇ! | |
俺達は老人を間引かなければならない! |
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おぉおおぉぉぉぉぉぉぉ! 間引く! 間引く! |
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ビルダー体型のグノーシャはライフルの引き金を引く。 天に向けられた銃口が 猛火を吹いた |
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撃ってきたね! 250km離れた場所から撃ってきたの! |
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さっそくきやがったか! | |
敵の正確な居場所を教えてください! | |
敵の正確な居場所は… 東京都千代田区霞が関… |
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合同庁舎(ごうどうちょうしゃ)の屋上にいるの! 「合同庁舎(ごうどうちょうしゃ)」 |
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合同庁舎ぁ!? | |
なんで国の建物にグノーシャがいるんですか? | |
60Gと女銃鹿は驚愕(きょうがく)した。 |
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まず1人 間引く! | |
ビルダー体型のグノーシャが撃った銃弾は天に飛翔する! そして一瞬で大気圏を突破! 銃弾は地球の周りを周回していた小天体に激突した! |
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迎撃は私に任せてなの! 2人は私が失敗した時のフォローだよ! |
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分かった。おまえがミスったら俺が迎撃する。 | |
(・・・・・・) | |
私は何もできません。 私は失敗が怖くて銃が撃てない。 |
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メスコン強制排出! | |
メスは口の中に手を突っ込んで…… 口の中からメスコンと呼ばれる奇妙な刀を取りだした。 「メスコン」 |
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どっから刀を取り出すんだよ。 完全に変態キャラじゃねーか。 |
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胃液と唾液(だえき)でメスコンがベタベタです。 |
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くる……の! | |
メスはメスコンを腰に当て… 居合斬りの構えをとった。 |
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居合斬りの構え? 攻撃を把握しているのか? |
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ビルダー体型のグノーシャが放った銃弾は直径20cmの小天体と激突していた。 小天体は銃撃の衝撃で軌道を変える! 軌道を変えた小天体は地球の引力に引き寄せられ… 地球に落下した! |
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なんかさ似たような攻撃を大昔に見た気がするの。 | |
似たような攻撃は面白くないね。 |
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敵は攻撃に対応できてない! いける! |
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地球に落下した直径20cmの小天体は、燃焼しながら下へ下へと落下する。 地上に落下する小天体を人は隕石(いんせき)と呼ぶ。 小天体は隕石となり地上に落下した。 |
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面白くないグノーシャは生きててもしょうがないね。 | |
隕石は高度3000m地点に到達した! 隕石は高度2000m地点に到達した! 隕石は高度1000m地点に到達した! |
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とった! | |
隕石は高度30m地点に到達! 隕石の位置… メスのすぐ真上! |
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・・・・・・。 |
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メス来やがったぞ!! | |
メスっ!! | |
・・・・・・ ・・・・ ・・ |
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斬 戮 ! |
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メスは居合斬りの構えをから素早く刀を抜き 頭上の隕石を3回斬りつけた! |
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光速の3連続抜刀! | |
隕石はどうなった? | |
隕石は斬撃の摩擦熱(まさつねつ)でトロトロに溶(と)けたね。 | |
メスの刀から「シュゥゥーーー」という何かが蒸発する音が聞こえた。 |
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斬撃で隕石を溶解させた!? | |
メスの刀には マグマのようなオレンジ色の液体が、血のように付着していた! |
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隕石がマグマ化していやがる。 |
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じゃあ、攻撃してきたグノーシャさんに反撃~♪ | |
メスは小さな動作で刀を左に振った! その動作は、侍が刀についた血を振り払う動作に似ていた。 |
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(これは古流剣術の血振り(ちぶり)ですね。刀についた血を振り払う動作です) |
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飛んでけ~♪ | |
刀を左に振る動作によって、刀に付着していた溶けた隕石は…… メスの刀から離れ遠くに飛んでいった! |
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なぜ溶けて液状になった隕石を遠くに飛ばす? | |
反撃だよ! | |
溶けたあつ~い液体隕石さんを、敵に喰らわすの 【合同庁舎の屋上】 |
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刀に斬られて隕石が溶けただと!? | |
なんだあのグノーシャ? もしかして古参のグノーシャか? |
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合同庁舎の屋上にいたグノーシャはメスの行動を見て混乱していた。 |
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とにかく指示をくれ! 俺は何をやればいい? |
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・・・・ ・・ |
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大闘争中に混乱したら死ぬよ。 | |
くるぞ! | |
避けろ! 目の細いグノーシャは左に跳躍し、メスの反撃にそなえた。 |
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え…… | |
・・・・ ・・ |
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JACKPOT♪ (大当たり) |
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溶けた隕石の一滴(いってき)が ビルダー体型のグノーシャの口に放り込まれた! 「溶けた隕石の一滴」 |
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びひゃああああああああああああああああああああ! | |
ビルダー体型のグノーシャの舌は 熱で蒸発した! |
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相変わらず容赦(ようしゃ)ねーな。 | |
お爺ちゃんお婆ちゃんを殺そうとしたグノーシャなの。 | |
反撃されて大けがしても文句は言えないね。 |
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愛知県から溶けた隕石を投げて、東京の俺達に攻撃しただと? | |
あれがグノーシャの剣士なのか? |
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ビクン!ビクン! | |
ビルダー体型のグノーシャは血と涙と鼻水を流しながら痙攣(けいれん)し 動かなくなった。 |
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クソ! なんなんだあの少女は! |
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目の細いグノーシャは大柄なグノーシャの肩を抱え、合同庁舎の医務室に向かった。 |
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敵が撤退(てったい)しましたね。 | |
大楽勝だね。 | |
きっと実戦経験の少ない新人のグノーシャだよ。 人間には勝てても武闘派のグノーシャには勝てないの。 |
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新人のグノーシャか。クソオヤジに問い合わせてみるか。 | |
なぜ合同庁舎にいるのですか? | |
国とつながりのあるグノーシャ? |
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国とつながりのあるグノーシャなら厄介(やっかい)だな。 | |
国の政治は面白くないの。 面白くない事はスルーしたいの。 |
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メス達は老人ホームの屋根の上で考え込んだ。 |
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・・・・・・。 | |
・・・・・・ ・・・・ ・・ |
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また隕石が落ちた? どうなっていやがる。 |
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