第45話 | |
蜻蛉斬り「喪失体験をしたばかりのグノーシャは危険……お父様を裏切る危険性がある」 |
・・・・・。 | |
只今帰りました。 |
島乃守が死んだ翌日。 女銃鹿の自宅前。 「女銃鹿(めじゅうか)の自宅前」 |
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お帰りなさいなの! | |
・・・・・・。 |
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元気ないね。 今日は何をしてたのかな? |
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処刑した島乃守を火葬場で燃やしました。 | |
「島乃守(しまのまもり)火葬しました」 |
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そうなんだー。 死体遺棄だねー。 |
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女銃鹿……やっぱり顔色が悪いぞ。 | |
休んだ方がいい。 |
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そうさせてもらいます。 島乃守の処刑はきつかったです。 |
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デコの傷がヤバいね。 そろそろ限界なんじゃないかな? |
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女銃鹿のデコは内出血で赤黒く染まっていた。 「60Gとの戦闘でデコを負傷した女銃鹿」 |
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寝れば回復します。 | |
女銃鹿はゾンビのような足取りで、ヨタヨタと自室に移動した。 |
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女銃鹿…… | |
・・・・ ・・ |
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そろそろ限界かもね。 |
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!? | |
限界って……女銃鹿の限界か? |
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違うよ。 私が我慢をする限界。 |
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今までずーっと我慢してたの。 お姉ちゃんの行動に手を出さない約束をしてたから、我慢して手を出さなかったの。 |
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でもお姉ちゃんの状況がこれ以上厳しくなるなら…… | |
私が出るしかないね。 |
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そっか。 妹ちゃんは優しいな。 |
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えっと…… それとね……話は変わるけど。 |
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ん? | |
・・・・ |
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そろそろ妹ちゃんじゃなくて名前で呼んでもらいたいかもー。 | |
え? でもあの名前は…… |
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私の名字は! | |
女銃鹿の妹だよ! |
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そして名前は! | |
メスだよ! 「妹ちゃんの名前 → 女銃鹿の妹メス」 |
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それは名前なんだろうか? | |
女銃鹿の妹という名字はありえるだろうか? |
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女銃鹿の名字も「女銃鹿の妹」なのか? | |
細かいことを気にしない方がいいよ。 | |
お、おう。 | |
三号はメスの感性が理解できない。 三号にとってメスは謎が多い存在だった。 【女銃鹿の自室】 女銃鹿の自室 女銃鹿は服を着替えないでベッドの上に倒れ込んだ。 |
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疲れた。 | |
枕に顔をうずめ…… 何も考えないで眠りにつこうとした。 |
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ガサッ。 | |
頭部に固い感触が伝わる。 本来マクラがある場所に枕がない。 |
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ん? | |
マクラがある場所には…… A4サイズの分厚い封筒とマイクロSDカードが置いてあった。 「A4サイズの分厚い封筒」 「マイクロSDカード」 |
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なんですか? これは? |
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封筒の差出人は「なゐの神衣」のようだ。 「なゐの神衣(ないのかむい)」 |
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お父様から? なんか気になりますね。 |
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女銃鹿は立ち上がり、机の上に置いてあったタブレットを取り出し、マイクロSDカードをタブレットに差し込んだ。 「机の上に置いてあったタブレット」 |
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・・・・・。 | |
マイクロSDカードを差し込むとアプリが起動し…… 動画が再生される。 「動画が再生される」 ・・・・ ・・ |
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!? | |
なんだ? これは? 動画を見た女銃鹿は驚愕した。 |
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【再生された動画】 動画で再生された場面は、沖縄の海水浴場。 「沖縄の海水浴場」 水着姿の女銃鹿がいた。 水着姿のメスがいた。 そして水着姿の島乃守が海で遊んでいた。 「女銃鹿(めじゅうか)」 「メス」 「島乃守(しまのまもり)」 |
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パパ! 沖縄の海なの! |
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青すぎてヤヴァイ! 青すぎてヤヴァイの! 近所の海がゴミのようなの! |
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よーし。 泳ぐ前にパパ準備運動しちゃうぞ。 |
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準備運動は…… | |
ジャイアントスイングがいいね! 「ジャイアントスイング」 |
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任せなさい。 | |
やった! | |
島乃守(しまのまもり)はメスの両足をつかんで逆さ吊りにした。 |
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はしゃぎすぎです。 |
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GO! ジャイアントGO! |
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まーかーせーろー! | |
島乃守はメスの両足をつかんでコマのように回った。 |
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ジャイアントー! | |
ジャイアントー! | |
スイング! ・・・・ ・・ メスは5mほど遠くに投げられ…… 海面に落ちた。 「海面に落ちた」 |
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パパ! もう一回なの! |
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えー。 次はパパが投げられたいなー。 |
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ここまで仲良し親子だと不気味ですよ。 | |
よし! お姉ちゃん! |
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次はパパを投げてみよう。 |
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高校生の私にジャイアントスイングをやれと? | |
投げられるのは初めてだから優しくしてね。 | |
島乃守は背中をついて、女銃鹿と同じ外見の少女に、汚い足を差し出した。 |
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どうなっても知りませんよ。 | |
女銃鹿と同じ外見の少女は、島乃守の小汚い両足をつかみ…… コマのように回転した。 |
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!? | |
しかし、上手く回転しない。 回転するスピードが足りないせいで、頭部が地面から離れない。 「頭部が地面から離れないまま回転」 女銃鹿と同じ外見の少女は、島乃守の両足を抱えたままコンパスのように回転した。 |
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頭部がすれてヤヴァイ…… 死ぬ……死ぬ! |
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頭皮がえぐれて頭蓋が飛び出しちゃう! |
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パパが死んじゃうの! | |
投げますよ! | |
女銃鹿と同じ外見の少女は、海に向かって島乃守を投げた! が……不発。 |
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げひ! | |
島乃守は無様に転げ落ち…… 近くの岩に頭部を激しくぶつけた! |
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やっちゃった! | |
お姉ちゃん殺っちゃったの! |
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・・・・・。 | |
お父さん大丈夫ですか! | |
だ…… | |
大丈夫! パパはダイアモンドヘッドだから大丈夫! |
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うわ…… 血が噴き出してます。 |
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島乃守の頭部から噴水のように血が吹き出していた。 |
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赤い潮を吹くクジラさんが1匹…… | |
パパ死ぬほど頭が固いから余裕だな(キリッ) | |
パパの得意技は頭突き! 頭突きで娘に襲いかかる悪人を倒してやるぜ! |
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悪人を倒す前に出血多量で死ぬかも。 | |
お父さん待っててください! すぐに医者を呼びます! |
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女銃鹿に似た少女は大慌てで助けを呼んだ。 |
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ふふ♪ いい動画が撮れた♪ |
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タブレットで再生された動画はそこで終了した。 平和そうな家族の小さな小さな出来事だった。 【女銃鹿の部屋】 |
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この動画は私? | |
人間だった時の私? ・・・・ ・・ |
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動画の中で島乃守が…… | |
頭突きで娘に襲いかかる悪人を倒してやるぜ! ……と言っていました。 「島乃守(しまのまもり)」 |
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私が60Gに追いつめられた時…… | |
島乃守は60Gに頭突きをしました。 これは偶然? 「島乃守の頭突きをくらった被害者60G」 女銃鹿の中にある嫌な予感が肥大化した。 女銃鹿はマイクロSDカードと一緒に置いてあった封筒に視点を移す。 「封筒」 |
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この封筒に何が書いてあるのですか? | |
女銃鹿は震えながら封筒を雑に引きちぎり、封筒の中から分厚い書類を取り出す。 そして1枚目の書類に目を通した。 「1枚目の書類」 |
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・・・・・・・。 | |
レポート① 事件の発端。 |
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痩男(やせおとこ)による島民の虐殺。 「痩男(やせおとこ)」 |
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痩男? 誰ですかそれは? |
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痩男が島民を虐殺した??? だったら島乃守の犯行は??? |
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レポート② 被害者の死刑判決。 |
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被害者 島乃守(しまのまもり)が冤罪で服役するまでの流れ。 無実の島乃守に死刑判決が下された理由。 |
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無実? 島乃守が無実? |
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資料を持つ女銃鹿の手が恐怖で震えた。 |
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レポート③ 島乃守の家族構成。 |
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家長 島乃守 妻 島乃空気 長女 島乃勇気 次女 島乃桜 ・・・の計4人 |
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島乃勇気と島乃桜は痩男が殺害。 | |
島乃桜の死体はグノーシャとして再利用。 命名 メス 「島乃桜の死体 → メス」 |
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・・・・・。 | |
島乃勇気の死体もグノーシャとして再利用。 | |
命名 女銃鹿 「島乃勇気の死体 → 女銃鹿」 |
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私が人間だった時の名前は島乃勇気? | |
そして島乃守は私が人間だった時の父親? 「私が人間だった時の父親?」 |
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レポート④ 第二の悲劇。 |
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女銃鹿が…… 無実の島乃守を処刑するまでの流れ。 「無実の島乃守を処刑」 |
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! | |
女銃鹿の心臓が一瞬だけ停止した。 【とあるビルの屋上】 同時刻。 とあるビルの屋上。 ビルの屋上には蜻蛉斬り(とんぼきり)がいた。 |
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・・・・・・。 | |
蜻蛉斬りは∞視点で女銃鹿を監視していた。 |
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喪失体験をしたばかりのグノーシャは危険。 | |
警察に駆け込んでグノーシャの存在をばらす危険性もある。 お父様を裏切る危険性がある。 「お父様 = なゐの神衣」 願わくばお父様を裏切らないで、前に進んで欲しい。 |
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もし…… | |
不都合な行動を選択したら… 処刑 …するしかない。 |
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全力で…… | |
蜻蛉斬りは風変わりな面を取り出し装着した。 「風変わりな面を取り出し装着した」 |
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私は蜻蛉斬り(とんぼきり)槍のグノーシャ。 |
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槍は古来から処刑に使う道具でもある。 |
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