第46話 | |
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メス「お姉ちゃん!それは大失言なの!」 |
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もしもし羽山さん! すぐに来て下さい! |
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どうしましたか? 女銃鹿? |
「分厚い封筒」 封筒に入っていた書類に目を通した女銃鹿(めじゅうか)は、羽山あきらに電話した。 「羽山あきら」 羽山あきらは名古屋駅のホームにいる。 「駅のホーム」 |
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島乃守は無実かもしれません! |
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!? |
どういうことですか? |
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お父様から頂いた資料にそう書いてありました! |
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(お父様?) |
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とにかく家に着てください! |
専門家の羽山さんにも資料を見てもらいたい! |
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分かりましたすぐに女銃鹿の家に行きます! |
羽山あきらは大急ぎで、駅のホームからタクシー乗り場に向かう。 |
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くそっ! 冤罪か! |
羽山あきらは絶望していた。 しかし女銃鹿ほど絶望していなかった。 ・・・・ ・・ 女銃鹿の家。 「女銃鹿の家」 ここは女銃鹿の部屋。 女銃鹿の家に急行した羽山あきらは資料に目を通し、手持ちの資料と比較した。 |
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・・・・・・。 |
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・・・・・・。 |
「女銃鹿の部屋」 悪夢のような軽作業。 女銃鹿と羽山あきらは終始無言だった。 ・・・・ ・・ 4時間後 |
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どうですか? |
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説得力がある。 |
女銃鹿の用意した資料は、警察の捜査資料よりも説得力がある。 「女銃鹿の用意した資料」 |
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!? |
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資料の内容は3点。 |
1つ… 島乃守は痩男(やせおとこ)という化け物に取り憑かれて島民を虐殺した。 2つ… 女銃鹿は島乃守(しまのまもり)を犯罪者と勘違いして島乃守を殺した。 3つ… 島乃守は女銃鹿が人間だった時の父親だった。 |
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信じたくない話です。 |
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(女銃鹿は相当焦っている) |
普段教えてくれない情報をあっさりと俺に開示した。 |
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(この情報でお父様と言う男と取り引きが出来るかもしれない) |
「お父さま(なゐの神衣)」 |
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お父様の資料に説得力がありますか? |
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え……ええ。 つじつまが合います。 |
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うう…… |
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島乃守の島民虐殺事件は謎が多い事件でした。 |
警察でも把握できてない部分が多い。 「島民虐殺事件は謎が多い」 |
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女銃鹿の渡してくれた資料は、警察が分からなかった疑問の答えになっています。 |
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・・・・・・。 |
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ただ…… |
女銃鹿の渡してくれた資料は、痩男というモンスターが登場する荒唐無稽(こんとうむけい)な内容です。 再検証する必要があります。 「資料の再検証が必要」 |
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再検証して島乃守が無実だったら…… |
私は…… 私は…… |
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・・・・・。 |
羽山あきらの目が一瞬だけ鋭くなった。 |
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女銃鹿は島乃守の無実が分かったら処刑をやめますか? |
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そ……それは…… |
・・・・ ・・ |
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俺は…… |
島乃守が無実でも、処刑を続けるべきだと思います。 |
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は……羽山さん!? |
羽山あきらの顔には迷いがない。 女銃鹿はそんな羽山あきらを少しだけ恐ろしいと感じた。 【死刑存置】 「女銃鹿の部屋」 |
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そもそも死刑に冤罪はつきものです。 |
人間は神様ではない。 どこかでミスをします。 無実の人間を手違いで処刑するケースは絶対に無くなりません。 |
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死刑が確定した、死刑確定囚のうち何割ぐらいが無罪を主張していると思いますか? |
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分かりません。 |
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少なく見積もっても…… |
1割以上の死刑確定囚は無罪を主張しています。 |
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1割! |
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自分の身が可愛いだけの犯罪者が、自分を守る為だけに無罪を主張するケースがほとんどだと思います。 |
しかし中には…… 本当に無実の人間もいるでしょうね。 「無実の人間」 |
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無実の人間が死刑。 |
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処刑は無実の人間を殺す危険性があります。 |
それでも… それでも… ・・・・ ・・ |
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国は処刑を続けるべきだった! |
死ななければならない極悪人は間違いなく存在する! |
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羽山さん。 |
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強盗するついでに母娘を強姦し殺害! |
死んだ母娘を屍姦(しかん)! そんな犯行を何度も繰り返す極悪人がこの世界には存在します! |
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そんな極悪人は罰を受けなければならない! |
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・・・・・。 |
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何かの間違いで無実の人間が罰を受ける時もあるかもしれない。 |
それでも許されない人間を殺すべきだ。 |
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女銃鹿。 |
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はい。 |
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島乃守が無実だったとしても…… |
このまま死刑を続けよう! |
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私は…… |
もし島乃守が無実だったら…… |
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私は… |
警察に自首します。 |
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女銃鹿! 駄目だ! |
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だって間違いを犯して罰を受けないなんて、おかしいじゃないですか! |
島乃守は私が人間だった時の父親かもしれません! 島乃守は無実かもしれません! |
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もし間違いだったら私が罰を受け…… |
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駄目だ! |
羽山あきらは女銃鹿の右手首を握りつぶすような勢いで強く握った。 |
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!? |
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ここで警察に自首したら…… |
2度と処刑ができなくなる! |
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・・・・・。 |
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・・・・・。 |
・・・・ ・・ |
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違う! |
女銃鹿は羽山あきらの手を力づくでふりほどいた。 |
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女銃鹿? |
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私と羽山さんは何かが違う! |
口では説明できません! でも何かが違う! |
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・・・・。 |
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・・・・。 |
場にいるだけで胃潰瘍になりそうな重い空気が場を支配した。 |
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女銃鹿…… 喧嘩はいくないぞ…… |
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真面目ちゃんと、真面目君の争いはシャレにならないの。 |
こういう言い争いは、アメリカンジョークを交えつつ、半笑いで話せばいいと思うの。 |
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!? |
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二人とも聞いてたんですか? |
騒ぎを聞いて駆けつけたメスと三号が、扉から言い争いをのぞいていた。 「メス」 |
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・・・・・。 |
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・・・・・。 |
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・・・・・。 |
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・・・・・。 |
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(沈黙に殺されそうなの…ここは意表をついて裸踊りでも…) |
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・・・・・。 |
はぁ。 重苦しい沈黙の中、羽山あきらが小さなタメ息をついた。 |
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確かに女銃鹿は俺と違う。 |
女銃鹿は俺よりも善良なんだと思う。 だから自分の間違いが許せない。 |
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羽山さん。 |
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いいですよ。 |
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え? |
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もし島乃守が無罪だったら自首してください。 |
俺もつきあいます。 |
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迷惑をかけてすいません。 |
女銃鹿は羽山あきらの切り替えの速さに少し戸惑った。 |
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(羽山さんの聞き分けが良すぎて怖いの) |
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(女銃鹿は警察の常識を大きく逸脱している) |
今の警察に女銃鹿の犯行を立証できない。 うまくやれば無罪にできる。 |
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女銃鹿、警察に自首するのか? |
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まだ分かりません。 |
資料の裏をとって、島乃守が無実だったら自首します。 「島乃守が無実だったら自首します」 |
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・・・・・。 |
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そして警察に全て話して罰を受けます。 |
グノーシャの事を洗いざらい話します。 |
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!? |
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だったら俺も…… |
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あの…なの……の…… の…… |
なの? 女銃鹿の発言を聞いたメスは驚愕した。 メスの白い肌が真っ青に変色する。 |
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? |
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ん? どうかしたかメス? |
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警察にグノーシャの事を洗いざらい話す? |
お姉ちゃんそれは駄目だよ。 |
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え? |
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大失言なの! |
すぐに撤回するの! 怖い人が来てやばい事になるよ! |
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怖い? |
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人? |
【とあるビルの屋上】 ここはとあるビルの屋上。 ビルの屋上にいた蜻蛉斬りの耳がかすかに動いた。 「蜻蛉斬り(とんぼきり)」 |
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警察にグノーシャの事を洗いざらい話す? |
島乃守が無実だったら…… 警察に自首して…… グノーシャの事を洗いざらい話す? |
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女銃鹿の考えを把握。 |
蜻蛉斬りは∞聴覚という能力で女銃鹿達の話を聞いていた。 ∞聴覚とはあらゆる場所の音が聞ける能力である。 |
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ピピピピピピッピッ! |
蜻蛉斬り(とんぼきり)は携帯電話を取り出し、ないの神衣に連絡した。 「なゐの神衣(ないのかむい)」 |
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なんだ? |
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女銃鹿が警察にグノーシャの情報を流す危険性が増加。 |
ただいまより… 女銃鹿を恫喝(どうかつ) 女銃鹿の思想を修正する。 |
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好きにしろ。 |
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許可を求む。 |
1.4溝度ランサーの使用許可を求む。 |
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此岸(しがん)を全て破壊するつもりか? |
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恫喝に必要。 許可を求む。 |
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好きにしろ。 |
ただしメスには危害を加えるな。 あいつは面白い。 三号は……まぁどちらでもいい。 「メスには危害を加えるな」 |
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了解。 |
蜻蛉斬りの足下には都市迷彩柄のゴルフバックが置いてある。 蜻蛉斬りはゴルフバックを開けて奇妙な武器を取り出した。 |
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槍投げ機。 |
奇妙な武器はミサイルを置く台と手を握るグリップ、そして主軸で構成されている。 蜻蛉斬りはこの武器を槍投げ機と呼んでいた。 「槍投げ機」 |
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今から女銃鹿の恫喝を開始する。 |
蜻蛉斬りは槍投げ機のグリップを右手で持ち、ゴルフバックを左肩にかけた。 |
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∞ 無 限 |
蜻蛉斬りは女銃鹿の家に向かって400km前方に跳躍した。 その速度は光速を優に超え、数学の常識も因果関係をも超越した速度だった。 「女銃鹿の家」 蜻蛉斬りは、跳躍する0.1秒前に女銃鹿の自宅前に到着した! |
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∞筋力、∞体力、∞防御、∞直進 ∞投擲、∞成功、∞行動、∞運搬… |
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全員家から脱出! |
∞斬戮(ざんりく)で家に穴を開けるからその穴から脱出なの!! |
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? |
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? |
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家を投げる。 |
蜻蛉斬りは槍投げ機の後端を女銃鹿の家にひっかけ… 女銃鹿の家を軽々と持ち上げた! 「槍投げ機の後端(こうたん)」 そして女銃鹿の家を 上空に投げた! 「家を上空に投げた!」 |
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脱出ー! 脱出ー! |
女銃鹿の家は凄まじい力で上空に投げられた! 上空に投げられた瞬間… 家は摩擦熱で燃焼し火の玉に変わる! |
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築1年の家が消滅した! |
火の玉と化した女銃鹿の家は、凄まじい速度で上昇し… 大気圏を越え宇宙空間を直進し、月に向かって直進した。 そして 月をつらぬいた! |
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