第38話 | |
60G「どーせ女銃鹿が選ぶ不愉快な男ナンバーワンは俺になるんだろ」 |
俺は40人も殺したよ。 |
今考えると狂っていた。 悪魔に取り憑かれたとしか言いようがない。 |
「終刑務所(おわりけいむしょ)」 ここは岩手県の終刑務所(おわりけいむしょ) 島乃守(しまのまもり)は、刑務所の視聴覚室で映画を見ながら雑談していた。 「終刑務所(おわりけいむしょ)の視聴覚室」 「島乃守(しまのまもり)」 |
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おまえも悪魔に取り憑かれて人を殺したのか… | |
島乃守は海新助(かいしんすけ)と呼ばれる受刑者とTVを見ながら雑談していた。 海新助は小柄でおだやかそうな顔をした中年男性だった。 |
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あの時の俺はまともじゃなかった。 | |
女や老人を見つけては殺して金を奪ったよ。 簡単に金が手に入るから殺して奪った。 |
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RPGのモンスターを殺す時と同じ感覚。 まさにゲーム感覚で人を殺していた。 |
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あの時の俺は、悪魔に取り憑かれたように狂っていた。 |
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わしも罪のない島民をたくさん殺したよ。 |
わしも悪魔に取り憑かれていた。 「悪魔に取り憑かれていた」 |
わしは、あの時のわしが許せない。 |
島民と… ラブリープリティーな2人の娘を銃殺したわしを許せない。 「ラブリープリティーな2人の可愛い娘」 |
大事な娘を殺したわしに生きる資格はない。 |
死刑になって当然だ。 ・・・・ ・・ しかし死刑は廃止された。 |
!? |
まもっさん。 あんた死ぬ気なのか? |
毎晩、殺した娘に逆襲される夢を見るんだ…… |
わしは死んで詫びなければならない。 |
駄目だ! |
海新助は島乃守の右腕を赤くなるまで強く握った。 |
お……おい。 | |
死ぬのは駄目だ。 絶対に駄目だ。 |
海新助(かいしんすけ)は強くつぶやいた。 |
しかし…… わしはわしが許せない。 |
島乃守は、娘や島民を殺した犯人は自分だと信じていた。 自分の心の中にいる、悪魔が犯行を実行したと信じていた。 【女銃鹿の家】
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三号君行きますよ。 |
女銃鹿は女鹿のようにしなやかな跳躍をして窓から外に出た。 家の外は森におおわれている。 「森におおわれている」 |
行くってどこへ? | |
今から60Gと大闘争をはじめます。 |
三号君、力を貸して下さい。 「60Gと大闘争」 |
60Gちゃんと戦うんだー? 超無理ゲーなのー♪ |
私ならともかく、お姉ちゃんと3号君には厳しい相手だね。 |
私ならともかく? 妹ちゃん何様? |
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私の戦いに手を出さない約束です。 | |
むぅー。 面白くないかもー。 |
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(妹ちゃんはどんなグノーシャなんだろ?) | |
行きますよ3号君。 | |
手は出さないけど一言だけ言うの! |
お姉ちゃんが何をしても構わない。 だけど… 死ぬのは許さないよ。 |
もちろん死ぬつもりはありません。 目的を果たしてすぐに帰宅します。 |
女銃鹿は60Gがいる岩手県の方角を軽く睨んだ。 そして拳銃を握りしめながら、森の奥へと小走りに進んだ。 |
お……おい…… 待ってくれ女銃鹿! |
三号は女銃鹿をあたふたと追いかけた。 その姿は親ガモに何も考えないでついていく子ガモのようだった。 ・・・・ ・・ |
事情は知らないけど。 |
嫌な予感がエキサイティングしまくってるよ。 お姉ちゃんの頭部に巨大な不幸フラグが立ってる気がするけど… 大丈夫かな? 【終刑務所の100m手前にある山道】 同時刻。 60Gは、終刑務所の100m手前にある山道にいた。 |
女銃鹿と三号が動いた!? |
60Gは∞視点で女銃鹿を観察していた。 |
・・・・・。 |
女銃鹿は愛知県にある森の中で岩手県を見回している。 ∞視点で60Gの居場所を探しているようだ。 |
俺が今いる場所が岩手県。 女銃鹿は愛知県。 |
距離は630kmといったところか。 俺の銃撃が届くギリギリの範囲だ。 |
60Gは岩手県にいる筈です。 この距離は私が優位。 |
60Gを沈黙させた後に島乃守を処刑します。 |
させねぇ…… |
60Gはエコバックから2発の50口径弾を取り出し、手のひらにのせた。 「50口径弾」 |
∞行動を常に実行! |
60Gが吠えた瞬間… 60Gの体から衝撃波が発生した。 衝撃波の影響を受けた2発の50口径弾が、小刻みにゆれた。 |
(やばいことが起きる気がする) | |
ほんと損な役回りだぜ。 |
処刑を阻止したら、女銃鹿に嫌われまくるだろうな。 |
・・・・・・。 | |
まー、人助けなんざそんなもんか。 人助けをしても損しかしねー。 |
差しのべた手を噛みつかれるのが関の山だ。 |
それでも… |
60Gの体から発生した衝撃波が肥大化する。 衝撃波の影響を受けた、2発の50口径弾が宙に浮いた。 |
60Gの正確な場所が分からない… どこにいるのですか? |
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い……くぅ…… |
ぜ! |
60Gの体から発生した衝撃波は… 50口径弾を前方に吹き飛ばした。 |
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あ!? | |
∞行動を使用した時に、膨大な運動エネルギーが発生する。 | |
膨大な運動エネルギーは衝撃波を生みだし… 衝撃波は弾丸を、女銃鹿のいる場所まで送り届けるだろう。 |
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60Gの場所が分かりました! | |
今さら気づいても遅い。 俺の衝撃波は、太陽フレアから発生する衝撃波と同じぐらい早い。 |
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2発の50口径弾は、マッハ1000のスピードで女銃鹿がいる愛知県の上空へ向かって爆走。 2秒とかからず女銃鹿がいる愛知県の上空に到達した! |
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先手を取られました! 三号君防御を! |
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お……おう…… むげ……無限…… |
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だから遅ぇ! | |
60Gの放った二発の50口径弾は、女銃鹿の100m上空で衝突! 「二発の50口径弾が女銃鹿の100m上空で衝突」 |
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!? | |
!? | |
二発の50口径弾がぶつかった衝撃で… 直径1kmの巨大な衝撃波が発生した! 巨大な衝撃波は女銃鹿と三号に降りかかる! 「巨大な衝撃波」 |
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く…… | |
莫大な衝突エネルギーから発生する巨大衝撃波だ。 | |
巨大衝撃波は脳と三半規管を揺らし、意識を刈り取る。 人間だったら外傷性脳損傷になって、1発で廃人になるだろう。 |
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また1撃で…… | |
衝撃波の直撃をくらった、女銃鹿はひざをついて背中から倒れた。 |
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女銃鹿!? | |
・・・・・・。 | |
女銃鹿は意識を刈られ気絶した。 |
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女銃鹿! 女銃鹿! |
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どーせ、意識を取り戻したら戦いを挑むんだろ。 | |
どーせ、女銃鹿が選ぶ不愉快な男ナンバーワンは俺になるんだろ。 |
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でもな… | |
女銃鹿に親殺しは…絶対にさせねえ。 |
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