第34話 | |
なゐの神衣「死刑制度を語る上で冤罪(えんざい)問題は避けては通れない問題だ。女銃鹿も必ずその問題にぶち当たる。必ずだ」 |
これは……一体全体? | |
たぶん痩男(やせおとこ)の死体? |
「雑木林」 痩男が消滅して30分後。 蜻蛉斬りと60Gは合流して雑木林にきていた。 |
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これが……痩男? | |
「黒焦げになって砕けた国ノ塊」 60Gと蜻蛉斬りの目の前には黒焦げになって、砕けた国ノ塊(くにのかたまり)が鎮座している。 60Gの目には直径40mの炭の塊にしか見えなかった。 |
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知らないグノーシャの死体もある。 出会った少女にそっくり。 |
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「知らないグノーシャ(跳弾ちゃん)」 国ノ塊から30m離れた場所で、跳弾ちゃんの死体が転がっている。 跳弾ちゃんは、首の8割を切られて死んでいた。 |
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(グノーシャのとなりに倒れてる肉でできた人形は何?) | |
跳弾ちゃんの真横で肉でできた人形が倒れている。 |
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名探偵蜻蛉斬りさん! 推理をお願いします! |
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え……あー。 | |
ここで死んでる知らないグノーシャが痩男と戦闘して… | |
刺し違えたのでは? |
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それは考えにくい。 | |
そうですか。 | |
痩男は「物量型グノーシャ」の可能性が高い。 | |
倒せるグノーシャはあまりいないと思う。 |
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物量型グノーシャって、大規模で大量の攻撃手段を持つグノーシャですよね。 | |
現状では私、お父様、男銃鹿、日本狼の4体が物量型グノーシャ。 | |
「4体の物量型グノーシャ」 「蜻蛉斬り(私)」 「なゐの神衣(お父様)」 「男銃鹿(おじゅうか)」 「日本狼(にほんおおかみ)」 |
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(日本狼って日本オワタ推進委員会をやってる化物か……) | |
そんな化け物をどうやって短期間で倒したか? | |
答えは1つ。 |
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答えが分かったんですか!? | |
蜻蛉斬りがスタスタと歩く。 そして炭化した国ノ塊に接近し国ノ塊に指で触れた。 |
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痩男が自爆した。 | |
蜻蛉斬りが炭化した国ノ塊に両手をつっこんだ。 炭化した国ノ塊は砂山のようにもろい。 |
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え? | |
国ノ塊に両手をつっこんだ蜻蛉斬りが、国ノ塊から何かを引きずり出した。 |
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あ……ぁ…… | |
「引きずり出されたモノ」 引きずり出されたモノは島乃守(しまのまもり)だった。 島乃守は気を失っているが命に別条はない。 かすり傷と軽い火傷を負った程度だった。 |
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人間? この人間生きているのか!? |
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話は極めて簡単。 | |
生きた人間を依り代(よりしろ)にした痩男は、肉体の主導権を人間に奪われた。 痩男から肉体の主導権を奪った人間はすぐに自爆。 痩男を討伐した。 |
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人間に逆襲されたと? | |
うん。 | |
ざまぁみやがれ。 罰が当たったんだな。 |
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蜻蛉斬りは島乃守をそのまま放置し、ふところから携帯電話をとりだした。 |
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話はさておき… 急いだほうが良い。 |
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え? | |
警察が駆けつける前にグノーシャに使えそうな死体の回収。 | |
ならびにグノーシャの存在に結びつく証拠を隠滅をする。 |
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了解です。 | |
首を切られて死んだ謎のグノーシャは、優秀な依り代になるかもしれない。 | |
死体を回収して再利用。 「首を切られて死んだ謎のグノーシャ」 |
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この死んだグノーシャが一番謎ですよ。 どこから登場したんですかね? |
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少し前に出会った少女がグノーシャになった……かも? | |
1日やそこらで人間がグノーシャになった事例なんてないですよ。 | |
うん。 不思議。 |
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とりあえず…… 分からないことはスルー。 すぐに作業を開始。 |
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分かりました急いで作業に移ります。 「∞機動」と「∞行動」ができるグノーシャに応援を依頼して下さい。 |
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うん。 | |
蜻蛉斬りが携帯のスイッチを押そうとした…… ・・・・ ・・ |
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待って下さい! | |
最後に1つだけ質問をしていいですか? |
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? | |
この島に入る時に蜻蛉斬りさんがいいましたよね。 | |
痩男は大物の殺人鬼かもしれない。 大物の殺人鬼がいかなる人物か見てみたいと… |
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蜻蛉斬りさんからみて痩男(やせおとこ)はどんな人物でしたか? | |
クソ野郎だった。 | |
(クソ野郎?) | |
60Gの言葉を思い出した。 | |
60G「殺人鬼は犯罪被害者の人生を一瞬で無茶苦茶にしておいて… それでも自分の事ばかり考えるクソ野郎だ」 60Gは島に入るときそう言った。 |
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・・・・・。 | |
痩男も被害者の人生を一瞬で無茶苦茶にしておいて… | |
それでも自分の事ばかり考えた。 それでも自分の演技を成功させる事ばかり考えた。 痩男もクソ野郎なんだと思う。 |
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同感です。 大物殺人鬼なんてこの世界にはいない。 殺人鬼は全員クソ野郎でいいんですよ。 |
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・・・・ ・・ |
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・・・・・。 | |
蜻蛉斬りさん? なぜ沈黙? |
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どうせ殺すなら卑しい演技の為でなく…… | |
大義のために殺すべきだった。 |
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え? それはどういう意味ですか? |
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あ…… | |
・・・・ ・・ |
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メンゴ。 メンゴ。 忘れてー。 |
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すっげー気になるんですが…… | |
これ以上の無駄話は時間の無駄。 すぐに作業。 |
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モヤモヤに押しつぶされそうだ。 | |
60Gは不満を言いながら死体を運搬する作業に戻った。 蜻蛉斬りは仲間のグノーシャに携帯電話で連絡し応援を求めた。 |
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(大義のためなら大量虐殺をしてもいいと言ったら、60Gはどう思うだろう?) | |
蜻蛉斬りは携帯電話で連絡しながら考察した。 |
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・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・ ・・ 【5年後……とあるビルの屋上】 痩男が死んでから5年後。 とあるビルの屋上。 2人の男女がビルの屋上で会議をしていた。 女性の身長は160cm前後。 真っ赤なニットポンチョを着ている。 目つきは鋭く、髪を後ろに結んでいた。 彼女の名前は女銃鹿(めじゅうか) 拳銃のグノーシャ。 |
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レポートに書いてある犯人の処刑をご希望ですか? | |
女銃鹿が男のいる方を見た。 男は身長170cmの中肉中背。 優男という言葉がピッタリ適合する青年…… 彼の名前は羽山あきら。 警視庁刑事部捜査一課の鑑識課に所属している。 |
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大物中の大物犯罪者です。 | |
大物犯罪者が事件を起こしてから1年ぐらいは、そのニュースばかりがTVで放送されましたよ。 |
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昔の事件ですね。 私はまだ生まれてませんよ。 |
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え? 女銃鹿何歳? |
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女銃鹿は、羽山あきらに渡された分厚いレポートの塊を丹念にチェックした。 |
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謎が多い事件です。 しかし証拠も多い。 |
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犯行に使われた凶器。 目撃者の証言。 犯人の自供。 その全てが犯人を裏付ける証拠になっている。 犯人は…… ・・・・・・ ・・・・ ・・ |
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犯人は島乃守 | |
「島乃守(しまのまもり)」 |
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島民300人殺しの島乃守。 日本の犯罪史に残る大犯罪者です。 |
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島乃守いわく…… 悪魔に憑りつかれて大量虐殺をした。 島乃守は共犯者と徒党を組んで、被害者の頭部をライフルで撃ち抜き300人の人間を虐殺しました。 |
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共犯者はまだ捕まってないのですね。 | |
現場を隠ぺいした痕跡は見つかりましたが…… | |
共犯者の居場所は発見されませんでした。 |
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被害者の遺族は? | |
島乃守の処刑を望んでいます。 | |
そうですか…… | |
謎の多い事件ですが… 証拠の資料を見る限り、島乃守が大量の人間を殺したのは間違いないでしょう。 |
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女銃鹿。 | |
間違いを起こさないために… もう一度事件を洗いなおしてください。 |
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まかせて下さい。 | |
事件の洗いなおして、犯人が島乃守と確定したら… | |
島乃守を… 処 刑 し ま す |
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