RPGにおける古き悪しき伝統戦術 | |
Bパートなの(下にあるAパートの続きなの) |
大戦争女王の部下をぶっ殺ーーーす! |
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この狭い場所ならエルフの魔法も使えまい! |
ここは狭い半球状の部屋。 ダークエルフのシネ=シネは4人の痩(や)せた男に取り囲まれていた。 「現在位置」 |
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それでさ・・・ RPGにおける古き悪しき伝統戦術って何かな~? |
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名前のとーり、古来から伝わる伝統的でポピューラーなRPG者の戦略だ。 | |
罠をハズさないでガンガン突き進む行為も、その1つだわな。 (さっき私がやっただろ) |
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ああ、PCのRPGで良くやったな~。 (特にTRPGが原作のRPGで) |
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そして、伝統的な古き悪しき戦術は他にもある。 | |
HPの高いエルフが扱える伝統的な邪悪戦術がな。 |
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ん? 何をするんだシネ=シネ? |
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? | |
景気づけだ! 汚い花火をブチ上げてやるよ! |
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私のラウンド! 私は魔法を使うぞ! |
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!? 何をするか分かった! |
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だから、何を? | |
古き悪しき伝統戦術が一つ! | |
仲間がいようが自分がいようが、攻撃魔法全ブッパをやるんだよ! 「ファイヤーボール」 |
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(えええ?) | |
つまり! | |
自分に向けてファイヤーボールをぶっぱするぜええ! | |
ひゃっはぁあああ! 「現在位置」 |
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ギ!? | |
ガ!? |
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爆裂! 炎上! |
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シネ=シネの指先から出たファイヤーボールは、シネ=シネを中心に爆発! 部屋がインフェルノ(業火地獄)に染まる! |
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敵全員に29点のダメージ! | |
で、セーヴィングスロー失敗! 私も29点のダメージだ! 「現在のステータス」 |
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ああ! 被害甚大なのぉおおー! |
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んーんー。 死んでないからムッチャセーフだよ~。 (運が悪いと死ぬからね、この技) |
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敵はどうなったかな~? |
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ひぎゃー! | |
ひぎゃー! | |
敵はひとたまりもない! |
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6人の男は紙のように燃え、紙のように吹き飛ばされて絶命した! | |
人間焼き肉を食っていた男たちは、一瞬で焼き肉に変わる。 |
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因果おーほーだねぇ。 ナムナムチーン、ナムナムチーン。 |
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じゃあ、ファイヤーボールで焼き肉になった男に近づいて・・・ | |
男の頬肉(ほほにく)を引きちぎるわ。 ベリッチョっな! |
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(え!?なんで?) |
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よく焼けており・・・ 簡単に頬肉は引きちぎれる・・・ |
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って、何すんだよ? |
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焼き肉になった男の頬肉(ほほにく)を口にいれて味見をするわ。 | |
くっちゃ! くっちゃ! そしてゴミのようにペッと吐き出す。 |
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OH | |
(イービル!) |
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やはりクッソまずいな、こんなものは貧者の食べ物だ。 私ほどの高貴なイービルが口にするものではない。 |
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シネ=シネちゃん・・・ | |
地獄なの・・・ |
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ファイヤーボールから生まれた炎はいまだくすぶり、死んだ男たちを燃やし続ける。 | |
ホルモンの匂いがする煙の中で・・・ 堂々とたたずむシネ=シネはまるで、炎で街を蹂躙(じゅうりん)した赤竜のようにも見えた。 |
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悪逆にして・・・ 不遜(ふそん)・・・ |
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(やばい! 悪逆にして不遜なイービルを予定していた私の芸風とかぶっている!) | |
Tさんはネタを先に使われた芸人のように打ち震えていた。 「Tさんはドラスレちゃんのプレイヤーだよ」 |
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先に進むぞ。 | |
焦げた邪悪が前に進む。 |
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(この人・・・怖い・・・) | |
(私は凄惨な光景をただ眺める村娘のように、黙ってこの場をながめていた) ・・・・ ・・ |
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では、切り替えて「次の部屋」に進むの。 |
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うむ。 |
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(切り替えるの はっや!) |
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では、次の部屋ね。 | |
扉をあけ・・・ パーティは幅100m×幅200m×高さ3mの長方形の部屋に入る。 ここは肉の保管置き場のようだ。 生ハム工場のように燻製(くんせい)された肉が吊(つる)されている。 |
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(え!?豚の燻製!?) |
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もちろんそれはただの燻製(くんせい)肉ではない! | |
人間、エルフ、ゴブリンが丸ごと燻製(くんせい)された肉がズラッと吊されていた! 見た目はホラーだが、美味しそうなハムの匂いがただよってくる。 「現在位置」 |
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・・・・・・。 |
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・・・・・・。 |
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・・・・・・。 |
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・・・・・・。 |
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(ジューシー) |
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ぴゃあああああああああ! |
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またいい悲鳴。 いいリアクション芸人になれる。 |
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へー。 | |
ほー。 | |
メスとシネ=シネは反応薄すぎだ。 | |
マスター的にはショッキングなシーンはショックを受ける演技をして欲しんだよなぁ。 |
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ゴブリンの燻製肉(くんせいにく)をスッゴイ食べたいかも~♪ |
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ええ・・・(引き気味) |
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ええ・・・(ドン引き) |
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ふむ、そういえば | |
さっきの男はこれしか食べるモノがないと言っていた。 ようするに、食料不足で人を食べてるってこと? |
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つまり今回は食料不足の話なのかな~? |
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(違いますぞ、メス氏、ドラスレちゃん) | |
(これは腹ペコでホラーな話じゃなくて、すごーく政治的な話なのだ~) |
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どうする? この部屋を調べる? |
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いや、ズンドコ先に行こう。 TRPGで「全ヶ所ローラー調査」など愚の骨頂よ。 |
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もったいない。 この場所を遊園地にしてしばらく遊べそうなのに・・・ |
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とくに吊るされてる人肉の燻製(くんせい)で遊べそうなのに・・・ |
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ドラスレちゃんこっわ! | |
つか、このイービルパーティずっと続くの? マスター超怖いんだけど・・・ |
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とにかくズンドコ先に進むの。 | |
ではパーティは部屋の奥に進んだ。 | |
部屋の奥には木の扉があり、扉の隙間から太陽の光がもれている。 どうやら出口のようだ。 |
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短いダンジョンも終わりのようだね♪ 次は私が扉を開けるよ♪ |
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罠がありそうな場所でも、誰かが生贄になって扉を開けるんだよなー。 | |
うちはシーフがいねーから。 |
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うう・・・シーフってありがたいかも。 |
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とにかく扉を開けて外に出よう。 | |
食糧不足の国らしいし、外はどんな惨状になってるか興味がある。 |
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(うんうん) | |
じゃあ開けるよ! | |
ダウンタウンの浜ちゃんみたいにガチャッと扉を開けて! ズバッと外に出るの! |
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扉が開き、黄金色の光がメスたちを照らす。 | |
とても眩(まぶ)しい昼間の光。 すぐに目がなれ、目の前に何があるか分かる。 |
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外に何があるか見るの! |
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外は1面麦畑になっていた。 | |
全長何十キロもあるような巨大な麦畑。 ズッシリと実った豊作の麦畑。 「現在位置」 |
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今まさに収穫日和。 |
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あっれぇ!? |
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んんん? |
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(なんで?) |
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ほう。 こいつは謎だな。 |
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なぜ痩せた男達は、この麦を食わないんだ? なぜ麦があるのに飢えて人間を喰らった? |
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ちょっ! どういうことかな? |
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状況が混沌としすぎて意味が分からないの! もしかして、ハチャメチャな世界なのかな? |
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混乱するPC達。 | |
そんなPC達に突然誰かが話しかけた。 「誰か」 |
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ハチャメチャな世界? | |
とても整合性の取れた世界だよここは。 |
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金髪で赤目。 そして黒衣の男。 |
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見るからに爽(さわ)やかなイケメンボーイが、麦畑のあぜ道に座りながら語りかけてきた。 「現在位置」 |
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だれ? |
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だれかな? |
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俺はレブラック。 | |
ある人のアバターだよ。 「謎の男 レブラック」 |
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アバター? イモータルルールにのってた気がするけどなんだっけ? |
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たしかイモータルからアメーバーみたいに分離した生き物だったような? ※微妙に違います。 |
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んだと? じゃあ、イモータルと関係してる奴か? |
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それよりも、ココは整合性の取れた世界って言ったよね? | |
「お腹が減って人を食べちゃう世界」と「麦がいっぱい実ってる世界」が同居してるココはおかしいと思うの! |
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おかしくはないさ。 この手の話はどこにでもある。 |
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(え???) |
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これだけでは情報が少なくて意味不明。 ヒントをプリーズ。 |
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そうだね。 この国は・・・ |
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このサガ公国は・・・ 大戦争女王の「ド卑怯作戦」に国ごとハメられた。 だからこうなった。 「大戦争女王メス=ブルーファントム」 |
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大戦争女王!? |
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ド卑怯作戦? |
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ど卑怯作戦って私がよく使う作戦と同じ名前なの! | |
またマスターが私の設定をパクったのかな? |
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はい。 | |
ガーン! | |
認めるの早すぎなの! |
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とは言え・・・ | |
メスのド卑怯作戦でも国ごとハメるような大規模な作戦は見たことがない。 もしかして大戦争女王ってメスの上位互換? いうなればグレーターメス? |
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つまり新製品の大戦争女王のほうが性能が上というわけか(笑) |
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NOOOOOO! 私の芸風と個性がぁぁぁぁぁ! |
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メスは芸風を面白くパクられた芸人のように戦慄(せんりつ)した。 アイデンティティー・クライシスの大危機である。 |
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(ショッキングなシーンではマユ一つ動かさないのに・・・) | |
芸風がかぶるとショックを受けるんだね。 必死な新人芸人みたい。 イマイチ基準が分からないカキリンだった。 「というわけで、次回に続くのん」
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