82話 | |
2018年10月20日 黒雲「マツリ…悪を祭り上げる…祭事がハジマル…」 |
大地震が起きてから6時間後… 朝もやに覆(おお)われた朝6時。 |
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パラパラパラパラパラパラパラ。 (↑ヘリの音) |
日本の上空660m地点でヘリが飛んでいた。 ヘリは地震が起きた被災地に向かって飛んでいる。 |
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パラパラパラパラパラパラパラ。 (↑超かっこいいヘリの音) |
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ヘリの名はEC225スーパーピューマ。 全長19・5メートル、搭乗人員20人(操縦手は2名) VIPの足とも言われる超かっこいい要人輸送専用ヘリである。 「EC225スーパーピューマ(本物見たけど、超かっこいい)」 |
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う~ん、困っちゃったよ~。 困ったことは立て続けにおきるね~。 |
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・・・・・・。 | |
「ヘリの乗員席」 そのEC225スーパーピューマの乗員席で、内閣総理大臣とないの神衣が会話をしていた。 「なゐの神衣(ないのかむい)」 「内閣総理大臣」 ※ちなみにこの話は0話よりも前の過去編だよー。現在編ではなゐの神衣は行方不明だよ。 |
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どーしよっかーナイノちゃーん。 |
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ソーリちゃん。 | |
大地震は多くの首相が体験した苦難です。 ソーリちゃんもこの苦難を乗り切って下さい。 |
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まぁ、普通の大地震ならねぇ~。 大丈夫なんだけどね~。 |
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・・・? | |
では、普通の地震ではないと? |
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うん。 | |
それに問題が2つもあってね… 別件で、アメリカから言われてるんだよねー。 |
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別件ですか? | |
それは・・・ ・・・・ ・・ 死刑問題ですか? 「死刑問題」 |
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おお♪ ナイノちゃんは察しがいいね~♪ |
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最近アメリカが民主党政権に変わったのは知っているね? |
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はい。 | |
それで、次のアメリカ大統領はなんでもグワッとやっちゃう人で… | |
かねてよりの民主党の悲願だった… アメリカの完全死刑廃止を実現させちゃったんだよね~。 ※この世界のアメリカは全州で死刑が廃止されたの。 |
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世の中、動く時はグワッと動いちゃうね~。 クマった。クマッタ。 |
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・・・・・・。 |
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それでね~。 アメリカが死刑廃止になっちゃうと… |
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G7で死刑やってる国は日本だけになっちゃうんだよね~。 |
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そーなるとアメリカさんとEUさんにプレッシャーかけられて… |
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日本も死刑をやめちゃいなYO! って空気になっちゃうわけよー。 |
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つまり外圧で死刑廃止ですか? |
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そーなるね~。 | |
こんな感じで日本とアメリカが死刑廃止国になれば… 次は東南アジアかインドあたりが死刑廃止国になって… 世界中の自由主義陣営が死刑廃止国になるんだろ~ね~。 こわいね~。 |
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まるで、オセロですね。 | |
アメリカが死刑廃止に裏返った瞬間、いっせいに裏返る死刑廃止オセロだ。 そういう意味でアメリカは死刑存置の砦だったんでしょうな。 |
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それで死刑廃止にするとして… | |
死刑を廃止したら国民キュン達はむっちゃ怒ると思うんだよね~。 (なんせ日本人の8割が死刑賛成してるし) |
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そーりちゃんがまた国民のサンドバックになるんですね。 | |
雑コラでイジられてSNSでボコられると・・・ |
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しかも悪い話は重なるもので | |
今回起きた地震はけっこう特殊な地震なんだよねー。 ダブルパンチで内閣総辞職しちゃいそうだよー。 ソーリは頭をかかえて苦悩した。 |
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? | |
特殊な地震……とは? なゐの神衣が質問しようとした時 |
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パラパラパラパラパラパラ。 (↑ヘリの音が少し変わる) |
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ヘリがゆっくりと下降をはじめる。 |
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と・・・ | |
ついたようだね。 | |
到着しました! 準備をお願いします。 |
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操縦していた自衛官がソーリとなゐの神衣に声をかける。 どうやら目的地の被災地に到着したようだ。 |
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ああ、じゃあ、、話の途中で悪いけど降りる準備をしようか。 | |
お出迎えもあるしね。 |
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はい。 | |
なゐの神衣は、ヘリの窓から地震が起きた被災地を見下ろす。 「被災地」 被災地は 家は崩れ。 橋は崩れ。 残骸が汚く混ざり合っていた。 街は・・・ まるでゴミ箱の中のように荒れ狂っている。 |
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ひゃーーー、酷いありさまだね。 | |
僕は大地震を見るのは4回目だけど、何度見てもこの光景は衝撃的だな~。 そ~りは手で口を押さえながらショックを受ける。 そんな中・・・ |
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ん? あれは、あの男は? |
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・・・・・・。 | |
なゐの神衣はヘリの中から地上にいる人物を発見した。 |
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∞視点 | |
なゐの神衣はその人物を∞視点で拡大して見る。 500m下、公園の入り口… そこには諸悪今源之助(しょあくこんげんのすけ)がいた。 「諸悪今源之助(しょあくこんげんのすけ)」 |
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あれは、日本極端党の男か… | |
ソーリに会わせていい男ではない。 なゐの神衣は冷やかな顔で地上を見下ろした。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ 10分後。 ヘリは公園の平原を着地し 自衛隊員40人、消防職員4名、警察官20名がソーリを迎(むか)える。 「公園の平原」 |
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総理こちらです。 |
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いや~、いつもありがとね~。 | |
ソーリは自衛隊にエスコートされ、ジープで被災地の視察に出かけた。 |
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総理! | |
総理! | |
パシャ! パシャ! パシャ! (↑カメラで総理を写す音) 記者が総理に質問する。 |
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ん~、大所帯すぎて近寄れね~な。 | |
ここは強引に接触するか・・・ 公園の入り口にいた諸悪今源之助(しょあくこんげんのすけ)は、足早で歩き、首相に接触しようとする。 が! |
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待て。 | |
なゐの神衣は背後から諸悪今源之助の肩をつかみ、諸悪今源之助を制止した。 |
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あん? 肩がおめぇだろー殺すぞ。 |
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諸悪今源之助(しゃあくこんげんのすけ)はチンピラのような目でなゐの神衣を睨(にら)む。 |
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(クズの目だな) | |
目で殺そうとしている。 |
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!? | |
ああ? あんたか? 諸悪今源之助の顔は、温和な顔に変異した。 |
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すまない。 地震で殺気だっていた。 |
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許してくれ。 |
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総理にようがあるのだろ? | |
だが、残念ながら総理はあなたにはお会いしない。 用件があるなら私が聞こう。 なゐの神衣は機械のように事務的な対応をする。 |
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相変わらず冷静な顔をしてるね~。 | |
あんたは、あんたの父親にそっくりだよ。 |
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(私の父親?) | |
こいつは・・・ 昔の私を・・・ 私の父親と勘違いしているのか? 「なゐの神衣はすごーく昔から政治家をやっていた」 |
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いや~、あんたの父親はホントに凄かったよ。 | |
あんたの父親は… 大地震が起きれば、土建屋を率(ひき)いてやってきて、アッと言う前に街を復興させたもんだ。 |
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・・・・・・。 | |
そして! | |
アッと言う前に地震から生まれる利権をかっさらっていった。 |
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(地震から生まれる利権だと?) |
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地震利権で得られる巨万の富は、ヤクザじゃ決して稼(かせ)げない。 | |
俺は政治家が稼ぐ桁違いの金を見上げ、心の奥底から震えたよ。 |
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(私の姿を見て、金儲(もう)けだけか…) | |
(くだらんチンピラだ。デンプシーロールを喰らわせたい) |
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でだ、今回は俺にもチャンスが巡(めぐ)って来たわけだ。 | |
すでにうちが手配した業者が復興事業をしている。 俺もあんたの父親を目指して頑張るぜ。 諸悪今源之助はコブシを前に出して、自身を鼓舞(こぶ)した。 |
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(クズのクセに対応が早い) | |
いや、これは・・・ 何かカラクリがありそうだな。 |
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この感じだと、あんたも復興事業に一枚噛むんだろ。 | |
俺も復興事業でひと儲(もう)けする予定だからさー。 総理に俺のことを紹介してくれよ |
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マイ同志。 | |
諸悪今源之助はさわやかな笑顔で、なゐの神衣の肩をポンと叩き。 この場を立ち去った。 |
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(このクズと私が同志だと?) | |
イラ、イラ、イラ、イラ、イラ… なゐの神衣はイラついていた。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ |
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・・・・・・。 |
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・・・・・・。 | |
祭囃子(まつりばやし)の音が聞こえる。 |
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悪を祭り上げる… | |
祭事がハジマル… ・・・・・・ ・・・・ ・・ 1時間後。 災害用医療テントの中。 「災害用医療テント」 |
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エエ子・・・ | |
みんなやる男は、災害用医療テントの中にあるベッドの上で夢を見ていた。 「災害用医療テントの中にあるベッド」 |
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○▽×%$×○ | |
悲惨な夢だった。 地獄のような夢だった。 |
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お前だけは幸せになれ! | |
悲惨な夢だが……記憶に残らない夢だった。 |
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・・・・・・。 | |
7時間前、みんなやる男は土砂崩れに巻き込まれていたが 左腕を骨折しただけで奇跡的に一命をとりとめる。 その後、消防団員に助けられたみんなやる男は、ベッドの上で意識を失っていた。 |
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おい・・・ そろそろ・・・ |
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はっ!? | |
ここは!? 地震はどうなった!? そして、みんなやる男は目を覚まし 跳(は)ね上がるように上体をおこした。 |
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容疑者が覚醒したようですね。 |
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よし! すぐに事情聴取だ! |
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事情? | |
誰だ? |
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警察です。 | |
コートを着た男がみんなヤル男に警察手帳を見せる。 |
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け、警察!? なんで? |
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人工地震についてお話があります。 | |
目を覚ました「みんなヤル男」は3人の刑事に囲まれていた。 「災害用医療テント」 |
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