95話(最終回) | |
2019年8月19日 ラストです。 たぶん話のピークは男銃鹿編の気もしますが、まぁ完走できて何より。 |
女銃鹿はみんなやる男を処刑できなかった。 それから・・・ 一年後。 ここは、なゐの神衣の書斎。 なゐの神衣と60Gとセールちゃんはソファに座りながら話をしていた。 |
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でだ、あれから女銃鹿はどうなった? 調査報告をしてくれ。 |
なゐの神衣が豊橋名物ブラックサンダーあん巻きを上品に食べながら質問する。 「ブラックサンダーあん巻き(餡のかわりに柔らかいブラックサンダーがはいったあん巻き。おいすぃ)」 |
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相変わらず、処刑活動をやってるよ。 | |
処刑の回数は年に1回ぐらいに減ったがな。 (ブラックサンダーあん巻き もぐもぐ) |
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ほう、相変わらずか? 懲(こ)りん女だ。 |
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あと、人間の目に冤罪(えんざい)スレイヤーの角膜細胞を移植して・・・ |
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冤罪(えんざい)スレイヤーが使える人間を増やしたいとも言ってましたよ。 (ブラックサンダーあん巻き パクパク) 「冤罪(えんざい)スレイヤー」 |
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なるほど。 | |
冤罪スレイヤーが普及すれば、犯罪者を憎む人間が増え・・・ 死刑賛成派が増えるという皮算用か。 |
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そんな所だな。 | |
ま、色々あったようだが、女銃鹿の本質的な部分はなーんも変わってねーって事だ |
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女銃鹿の根っこにあるものは、死刑の根源にある強い想いだからな。 | |
そうそう変われんだろう。 |
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死刑の根源にある強い想いってなんですか? |
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簡単に言えば・・・ | |
誰かのために 悪を断(た)てだ。 |
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正義のヒーローさまがみーんなやってるありふれた営(いとな)みですね。 |
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女銃鹿の根っこにアルものが悪を断(た)てなら | |
死刑廃止派の根っこにある想いはなんだよ。 |
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誰にでも生きる権利がある。 | |
・・・だな。 (国家権力が生きる権利を踏みにじるのは危険だ・・・とも言う) |
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ふむ。 | |
そして女銃鹿はみんなやる男に生きてほしいと思ってしまった。 | |
なんてことはない。 女銃鹿がみんなやる男を殺せなかった理由は、死刑反対論者がいう「生命の尊厳を守れ」という理念そのものだよ。 |
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ふーん。 なんとも人間らしい話ですねぇ。 |
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そうだ。 実に人間らしい。 |
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女銃鹿が人間ならこの程度のありふれた結論でも構わないがな。 女銃鹿はグノーシャだ。 もっと先に行ってもらわなければ困る。 |
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相変わらずの超絶意識が高い系なこって。 |
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お姉さまはこれからどうなりますか? |
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いまの女銃鹿は必要な情報を経験し、スタートラインにようやく立った状態だ。 | |
これからグノーシャらしい切り口で、新しい結論を出すだろう。 |
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こんだけやってようやくスタートラインかよ。 (女銃鹿悲惨すぎる・・・) |
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ふっ。 | |
なゐの神衣はソファーに座りながら∞視点で外を見る。 外は何一つ変わらないいつもの日本。 見飽きてしまったいつもの日本。 |
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女銃鹿・・・ | |
今の価値観をぶっ壊しちまえよ。 そして私にいつもと違った景色を見せてくれ。 |
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お父様は相変わらずねぇ~。 さすがは破壊が大好き地震の神様。 |
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(うぜぇ、首絞めて殺してぇ) | |
(てめぇの超絶高い意識で何人のグノーシャが不幸になるんだよ) |
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女銃鹿・・・ | |
お前が変える未来をウッキウキで待つ。 なゐの神衣は女銃鹿に期待し、ウッキウキしていた。 未来への期待は全てに飽きたオッサンの心を踊らせる。 変化した世界が見てみたい。 ・・・ただ、それだけの願い。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ 一方、女銃鹿は・・・ ・・・・・・ ・・・・ ・・ |
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なのの♪ | |
メスと秋葉原で戦っていた。 |
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ちっ! なんで処刑の邪魔をするんですか? |
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お姉ちゃん処刑を邪魔されるとムッチャ怒りますよ! 銃口でいけないDVしちゃいますよ! 女銃鹿はビルの屋上で、主人公らしからぬ舌打ちをしまくる。 |
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いや~、いつもならね~。 お姉ちゃんの処刑活動の邪魔はしないんだけどねぇ。 |
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今回は別なんだよ~。 今回の犯罪者・・・キャベツ千切りマニアはさ~。 私と同じ「グノーシャ斬戮(ざんりく)会」の会員でね~。 |
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同門の恥さらしだから私が粛清(しゅくせい)しないと駄目なんだよねぇ。 | |
(街の住民がぜーんぶキャベツの千切りみたいになって大変だよも~) |
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なにを勝手な! |
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始末は私がやるからさ。 お姉ちゃんは家に帰ってスマホゲーのレベリングでもしてなよ。 |
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スマホゲーのレベリングて・・・ | |
そんなもんどこでも・・・ |
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というかさ、、、 | |
私達がグノーシャになる前はプレステ2の話をしてたけど、今はスマホゲーの話をしてるよね。 |
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それがなんだっていうんですか? | |
女銃鹿がニューナンブm60を構えメスの脳天を狙って銃撃する。 |
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随分と長い旅をしてきたな~と思ってさ。 | |
メスはテニスのジャンピングサーブをするようなフォームで刀を振り 女銃鹿の放った弾丸を粉微塵にする! |
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!? | |
ついでにメスの刀から凄まじいショックウェーブが発生し、女銃鹿を吹き飛ばした! |
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ぶわっ! | |
うっうわぁぁぁ! | |
女銃鹿はショックウェーブに吹き飛ばされ 10階建てのビルの屋上から真っ逆さまに落下した! |
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お姉ちゃん修行が足りませんな~♪ | |
危険な荒事は全部私がやったほうがいいんじゃないかな~? |
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くっ! なんの! |
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女銃鹿は落下しながらビルの壁をけって自分の位置を変える! 位置を変え! 街路樹の上に真っ逆さまに落ちる! |
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バキバキバキバキ! | |
バキバキバキバキ! | |
そして木の枝を破壊しながら、両足で地面に着地した! |
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がぁぁぁ! なんとか着地成功! |
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でも両足がバッキバキですよ! たぁぁぁぁぁ! クソ妹がぁぁ! 天使じゃなければぶっ殺すぞこらぁぁ! 女銃鹿がコミカルに憤怒する。 |
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あい、あれ・・・ |
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怪我してるじゃない? もしかして厄介事? |
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落下をみた通行人が、女銃鹿からソソクサと離れ・・・ 女銃鹿が地味なピンチに白目になる。 |
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ヤバい。 誰も助けてくれない、これからどうしましょう。 |
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・・・・ ・・ そんな女銃鹿にたまたま通りかかった通行人が女銃鹿に話しかけた。 |
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おい、あんた大丈夫か? | |
!? | |
待ってろよ! | |
すぐに救急車を呼ぶからな! 2人はみんなヤル男と、みんなエエ子の2人だった。 2人は女銃鹿の存在を知らないようだ。 |
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あ・・・ ああ・・・ |
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1年ぶりの再開に女銃鹿の心がざわつく。 |
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って! 足が折れてるじゃないですか? |
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みんなやる男は袖(そで)を引きちぎり 包帯代わりにして女銃鹿の足に巻く。 |
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まてよ! 不衛生だよ! |
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包帯なら近くの薬局で買ったほうがいいだろ! |
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・・・・・・。 | |
みんなやる男とみんなエエ子の行動は善良そのもので その善良さを見ただけで、女銃鹿の目がウルっとなる。 |
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涙? お嬢ちゃん怪我が痛いのか? |
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いえ、そんなことは・・・ 私は傷の治りが早い方なので・・・ |
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女銃鹿は強引に立ち上がる。 |
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え? 足がバッキバキですよ? |
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大丈夫ですから・・・ まだ戦いの途中ですし・・・ |
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で、でも。 |
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そんなことよりも・・・ | |
偶然出会ったついでに、二人に質問してもいいですか? |
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うん。 なに? |
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お二人は・・・ | |
今、幸せですか? |
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ん? (政治団体の勧誘?) |
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ん? (宗教の勧誘?) |
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みんなやる男とみんなエエ子は一瞬だけ怪訝(けげん)そうな顔をするが 即座に質問に答える。 |
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まー、普通に幸せかな。 可もなく不可もなく。 |
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うん。 フツーに幸せ。 |
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家が崩壊するレベルの家族喧嘩が年に20回ぐらいはあるけど、まーまー幸せ。 (ウチぐらいがフツーだろ) |
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それは何よりです。 | |
変な人とは関わらないように気をつけて下さいね。 |
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はぁ・・・ | |
はぁ・・・ |
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生きてれば良いこともありますよ。 | |
??? | |
??? |
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・・・・・・。 | |
女銃鹿が「みんなやる男」と「みんなエエ子」を見る。 まぶしい太陽に照らされ生きる2人の姿は、何よりも美しく見えた。 ? |
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生者は、ただ美しい。 | |
そして生者を殺す行為は生物の営みの1つである。 だからこそ人は苦しみ悩み続ける。 |
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・・・・・・。 | |
さよならです。 | |
女銃鹿はつぶやき。 傷ついた足を引きずりながら前に出た。 目指す的(まと)は遥かに遠く、答えはまだでない。 弾丸は前に進む! ・・・・・・ ・・・・ ・・ ∞射程の女銃鹿 完 |
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