83話 | |
2018年11月11日 ???「悪を祭り上げるモノは、悪として祭り返されるだろう。 そして悪を祭り返したものも、やがて悪に祭り上げられる」 |
来い。 | |
着た。 |
すーぴーーすーぴーー(爆睡中) | |
早朝。 ここは被災地の公園。 なゐの神衣(ないのかむい)は諸悪今源之助(しょあくこんげんのすけ)と別れ 公園の便所裏に移動していた。? |
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・・・・・・・。 | |
便所の裏では、夜銃という名前のグノーシャが待ち構えている。 夜銃は身長2mの大柄なグノーシャで、夜銃の顔は髪とヒゲにおおわれて見えない。 「夜銃(0話よりも過去の話なので生きてる)」 |
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メス王子にお姫様だっこされてましゅ~。 んご~。 |
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そして女銃鹿もいる。 女銃鹿は、夜銃にお姫様だっこされながら爆睡していた。 |
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なんだ。 寝ている女銃鹿を連れて来たのか? |
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ヒマそうなのを1匹連れてこいと言われたからな。 | |
平日の9時に爆睡している女銃鹿を連れてきた。 |
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よりにもよって一番使い道がない女銃鹿を・・・ | |
まぁ、いい。 中学生でもできそうな作業をやらせるか・・・ |
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すーぴーすーぴー(よだれを全ぶっぱしながら爆睡中) | |
女銃鹿はまだおきないな。 | |
女銃鹿の乳首スイッチを押して起動してもいいか? |
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やめろ。 | |
女銃鹿とおまえは別行動だ。 (おまえと女銃鹿が顔をあわせれば殺し合いがおきる) |
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そうか・・・ スイッチはダメか・・・ |
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まぁいい。 ならば先に動くぞ。 |
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おまえの役目は諸悪今源之助(しょあくこんげんのすけ)と接点がある人物の調査だ。 | |
行け。 |
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御意。 | |
夜銃はミサイルのように飛び上がり、稲妻のように流れ落ちる。 その動きは光速に達していた。 |
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あで! | |
そして お姫様だっこされていた女銃鹿は支えを失い地面に落下。 女銃鹿のケツに地味な青アザが刻まれた。 「女銃鹿が目を覚ました」 |
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つぅ・・・いったぁ~。 地味いったぁ~。 |
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おはよう。 ニート。 |
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え? お父様? |
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なんで外に? 私は家のベッドで寝ていた筈(はず)! |
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メンドイから説明は省く。 | |
それよりも今すぐ働けニート。 |
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って! まさか! |
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私がいつまでもニートをしてるから、強制的に働かせると? もしかしてエロい仕事れすか! (私には心に決めた妹が・・・) |
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くだらん事を言うな。 | |
私ほどの男が小事(しょうじ)にうつつをぬかすと思うのか? |
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たしかに・・・ | |
では、何をするんですか? 私はこう見えても意外と無能なんですよ。 |
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簡単な仕事だ。 | |
刺身にタンポポをのせる伝説の仕事ですか? | |
いや・・・ | |
ちょっとムカつくオジちゃんに出会ってな。 そのオジちゃんに嫌がらせをするから、お前も手伝え。 「このオジちゃんがムカつくから嫌がらせをするわ」 |
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へ? | |
むかつくオジちゃんに嫌がらせする・・・だけ? だけ? |
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そうだ。 | |
むっちゃ、小事(しょうじ)じゃないですかぁ! | |
女銃鹿はポニーテールを左右にフリながら、頭をかかえた。 これが女銃鹿の人生初仕事となる。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ 「医療テント」 同時刻。 被災地にある医療テント。 みんなやる夫は、医療テントの中で3人の刑事から取り調べを受けていた。 |
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それでは取調べを始めます。 | |
あなたには黙秘権がありますので、自分の不利になることは無理に言わなくても構いません。 「テント内」 |
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医療テントの中で取り調べですか? | |
警察署は地震で壊れて使えませんからね。 | |
我々も柔軟に行動するしかないんですよ。 |
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警察署が地震で? (まさか手抜き工事?) |
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では、本題に入ります。 | |
7時間前に地震がおきたのは知っていますね? 「7時間前に大地震おきたー」 |
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もちろん。 | |
それで匿名(とくめい)の通報がありましてね。 | |
あなたのつくった人工地震装置で地震がおきたのではないか? ・・・と通報がありました。 「匿名(とくめい)で通報したオジちゃん」 |
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な! 人工地震装置! |
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みんなやる夫は、ベッドで寝た体勢からガバっと上体をおこす! |
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何か知っていますか? | |
思い出した! | |
地震トリガーがある山でチンピラが作業をしていたんだ! 奴らが地震トリガーを動かしたに違いない! 「地震トリガーはおきそうな地震を発生させる装置」 |
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なるほど。 | |
たしかに人口地震装置の周りに入れ墨をした男の死体が8人も見つかりましたかよ。 |
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そのチンピラとあなたとのつながりは? | |
知らない! 初めて見る連中ばかりだ! |
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そうですか。 | |
刑事がメモを取りながら言葉を選ぶ。 |
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単刀直入に言いますとね。 | |
我々はあなたがそのチンピラに指示をだして、地震を発生させたのではないかと疑っているのですよ。 |
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ば!馬鹿な! | |
私がそんなことをしてどんな意味が! そもそも! |
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証拠がありませんよね(きっぱり) |
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刑事が肩をすくめながら答えた。 |
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へっ? | |
地震で無茶苦茶になったせいで証拠の発見が困難なんですよ。 | |
そして、あなたに動機がない。 目撃者もいない。 |
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・・・・・・。 | |
そもそも地震発生装置とやらでホントに地震が発生したんですかねぇ? | |
起訴するにはあまりに証拠がなさすぎるんですよ。 |
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今後の捜査次第ですが・・・ | |
あなたは嫌疑不十分で不起訴処分になると思います。 |
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つまり、俺は無実ってことですかね? |
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まぁ、今後の捜査次第ですね。 | |
ただ特殊すぎる状況ですので、あなたの力もお借りしたい。 | |
刑事達はギョロついた目でみんなやる夫に協力を求めた。 |
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捜査にご協力下さい。 | |
ギョロッ (みんなやる夫をギョロついた目で見る) |
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・・・・・・。 | |
(まだ、疑われている気もするが・・・) 事情は分かりました。 真実に近づくために協力します。 みんなやる夫は協力を約束した。 |
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ありがとうございます。 | |
と、その前に | |
家族に電話をしていいですか? 妻と娘の安否(あんぴ)を確認したい。 |
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ご家族が心配してるかもしれませんね。 | |
どうぞ。 |
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では、失礼して・・・ | |
みんなやる男はポケットの中にはいった携帯電話の電源をいれ、妻に電話をかける。 ・・・・ ・・ トゥルル・・ガチャ 待ち構えていたように即座に電話がつながった。 |
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おう俺だ。 | |
あんた何をしてたのよ! | |
エエ子とも連絡がとれないし、どうなってるのよ! ジャバ・ザ・ハットにそっくりなみんなやる夫の妻が、涙声で電話にでる。 |
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なに? エエ子と連絡がとれない! |
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まさか、地震に巻き込まれたのか? 「娘のみんなエエ子は消息不明」 |
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それにテレビやネットであんたのことが無茶苦茶叩かれてるわよ! | |
私、怖くて怖くて・・・ 私はどうすればいいの! みんなやる夫の妻が号泣しながら問いかけた。 |
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俺がテレビやネットで叩かれてる? | |
なんで? まだ送検すらされてないのに・・・ みんなやる男はスマホを強く握りながら狼狽(ろうばい)した。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ ネット。 テレビ。 新聞。 様々なメディアの間で 様々な憶測が飛びかっていた。 ・・・全てはテレビの報道からはじまる。 |
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人工地震を発生させたとして、容疑者のみんなやる夫は警察によって確保されました。 | |
「みんなやる夫」 |
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へ~。 これが容疑者の顔か~。 |
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つか、なんで人工地震なんておこしたんだ? 意味ないじゃん。 頭おかしい人? |
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さぁ~。 | |
てかさ・・・ | |
容疑者の顔ってサヨクっぽくね? これと似た顔のオッサンしってるわ。 「こんな顔のサヨク知ってるわ~!」 新聞記者も動く。 |
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おい! 大発見だ! |
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容疑者が総理と一緒に写っている写真を見つけたぞ! 「総理と容疑者が一緒に写ってる写真みっけー」 |
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つまり、総理が失政をごまかすために人工地震を発生させたんだな! | |
ソーリーノセイダー! メディアで様々な決め付けが飛びかう。 |
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みんなやる夫が日本極端党から資金援助を受けてるソースを発見したぞ! | |
そして日本極端党は・・・ サヨクで○○人の集団だ! つまり犯人は・・・ |
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なんじゃその無茶苦茶な決めつけはー! | |
くたばれよ差別主義者! ネットやメディアで、いつものように右派と左派が意地の張り合いを続けていた。 |
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な、なに・・・これ? | |
ネットやメディアの小競り合いをみんなやる夫の妻が震えながら見る。 水を浴びた小動物のように震えながら見る。 |
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よーし疑惑と言うことで報道しちゃうぞ~。 | |
総理と容疑者のツーショット。 総理が人工地震を発生させた!? ・・・という疑惑 「疑惑ほーどー」 |
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おおい! なんつー嘘を報道してんじゃーい! |
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権力批判なら嘘タレ流してもええんかーい! |
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歪(ゆが)んだ愛国心でフェイクばっかり言うおまえがいうなー! | |
この売国奴がぁぁ! | |
だったらワイも日本極端党のつながりでサヨクの犯行説を流しまくったるわ! |
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黙れ! 反動だけの底辺馬鹿が! |
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また選民主義かよ反日の差別主義者が! |
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お前がいうなーーーー! | |
お前がいうなーーーー! | |
人格攻撃の応酬がはじまり、争いは終わる気配がない。 |
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おおしっ! | |
みんなやる夫の家に電突したったるわー! 悪いサヨクは許さない! |
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おおしっ! | |
みんなやる夫の家に電突したったるわー! 悪いウヨクは許さない! |
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ひぇ!? | |
何がおきたのよ? なんで身に覚えのない話で叩くのよ? |
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×◎!殺$&&×◎す%#! | |
&死×◎!%#×◎ね%#! | |
ウヨクやサヨクがみんなやる夫の悪口をいいまくる。 100%間違った情報でみんなやる夫を叩きまくる。 その喧騒は・・・ 祭りのようにも見えた。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ 同時刻。 上空10000m地点。 黒い雲の中。 |
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・・・・・・。 | |
黒い雲の中で 何かがみんなやる夫が叩かれる光景を見つめていた。 |
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そうだ。 もっとやれ。 |
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もっと悪を祭り上げろ。 何かが上空10000m地点でうごめき続ける。 |
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サヨクは、ウヨクの生首を天にさらしこれぞ悪であると宣言しろ! | |
ウヨクは、サヨクの生首を天にさらしこれぞ悪であると宣言しろ! | |
そして我こそは正義と天に宣言せよ! その何かは軍隊のようにも見える。 ・・・・ ・・ |
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悪を懸命に祭り上げるのだ! | |
悪を! 悪を! ひたすらに祭り上げるのだ! |
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さすれば! | |
悪に祭り上げられたものも黙ってはいまい。 |
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やがて、、、 | |
悪を祭り上げたモノは、悪として祭り返されるだろう |
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そして悪を祭り返したものも、やがて悪に祭り上げられる。 | |
この定めに打ち勝つ人間は存在せず。 | |
我々、「負けた豪族」もまた、太古の昔に悪として祭り上げられた。 | |
上空1万メートル地点で、凄まじい怨念と敵意がうずまいていた。 |
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