第70話 | |
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2015年8月30日 日本狼「あれ?なんか違うな?」 メス「私がバカだった!」 |
昔々(むかしむかし)… 明治8年の秋 |
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・・・・・・。 |
鮮やかな紅葉(こうよう)で彩られた山で 一匹の日本狼が落ち葉の中に身をひそめて隠れていた 「紅葉で彩られた山」 |
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・・・・・・。 |
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・・・・・・。 |
日本狼の1m前方でノドを食いちぎられた猟犬(りょうけん)の死体が転がっている |
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・・・・・・。 |
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・・・・・・。 |
沈黙が続く。 沈黙が続く。 ・・・・ ・・ やがて、沈黙が破(やぶ)られ 猟師(りょうし)が紅葉(もみじ)を踏む音が近づいてきた |
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犬っこがやけに静かだな。 |
猟師は20台前半のヒゲヅラの男。 猟師は新品の猟銃を装備していた ※明治維新(めいじいしん)になってから銃を使う猟師(りょうし)が増えた。 |
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オオカミを30匹も殺した猟師! |
こいつだけは殺す! 復讐(ふくしゅう)が無意味でも殺す! 日本狼は怒りで震え、全身の毛を逆立てた。 |
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・・・・・・。 |
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ひでぇ! こりゃあ、狼に噛(か)まれた傷だな! |
犬の死体を発見した猟師が顔を歪(ゆが)ませ犬の死体に駆け寄った。 |
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(よし! エサにかかった!) |
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頭のかたい村長はバチ当たりと言うけんど、やっぱ狼は殺さないかん。 |
明治の世になったっちゅうのに、古臭い狼信仰(おおかみしんこう)なんてバカバカしい。 |
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(しゃがんで犬を見ろ!) |
見ろ っ! その、瞬間に噛(か)み殺す! |
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・・・・・・。 |
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とにかく犬の死体を火葬(かそう)しないとな。 |
最近は良くない病気もはやっちょる。 猟師は身をかがめ、犬の見開いた目をそっと閉じた。 その刹那(せつな)! |
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が う っ ! |
落ち葉の中に隠れていた日本狼がバッタのように飛び跳(は)ね、猟師に飛びかかった! ![]() |
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なっ! 落ち葉の中から狼! |
猟師は銃で攻撃しようとするが間に合わない! |
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がああああああああああああああああああ! |
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あひぃぃぃ!! おたすけぇぇ!!! |
日本狼は猟師の喉(のど)に噛(かみ)みつき、猟師の喉を噛みつぶす! ![]() |
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ひぃぶぃぃぃぃぃぃぃ!! |
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死 ね ! |
猟師の喉(のど)はつぶされたミカンのように汁を撒き散らした! ![]() |
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あ…あ… |
あ… |
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殺(や)ったか! |
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ビクン……ビクン…… |
ビク……ビク…… ビ… ・・・・ ・・ 猟師のノドから血が噴水のようにあふれる。 猟師は出血多量で絶命した |
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勝った! |
ついに銃を持った人間に勝った! 日本狼は声を上げないで歓喜した。 日本狼が歓喜し熱くなる。 |
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・・・・・・。 |
が、すぐ冷めた。 |
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つまらん。 人間が死んだだけで何もおきん。 |
復讐(ふくしゅう)など所詮(しょせん)は自己満足でしかない。 復讐(ふくしゅう)を続けても得るモノなどないのだ。 |
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・・・・・・。 |
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とにかく今のうちだ! 今のうちに巣穴に戻ろう! |
巣穴にいる子供達を連れてここから離れるんだ! 日本狼は猟師のホホ肉を喰いちぎり、子供がいる巣穴に向かって走った。 ・・・・ ・・ |
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なんだ? |
体が……だるい? 戦いの影響か? 日本狼は体の不調を感じていた。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ 「洞穴(ほらあな)」 夕方。 狼が住む洞穴(ほらあな)の内部。 日本狼は自分の巣穴に帰還した。 |
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・・・・・・・。 |
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・・・・・・・。 |
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!? |
巣穴に帰還した日本狼は驚愕(きょうがく)し、猟師のホホ肉をポトリと落とす。 |
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子供達が死んでるっ! |
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・・・・・・。 |
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・・・・・・。 |
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8匹も死んでる! 生きている2匹は高熱で虫の息! |
何が起きた!? |
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クー。 |
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・・・・・・。 |
子狼達はジステンバーという病気にやられ全滅しかけていた ※明治維新あたりからジステンバーが西欧から国内に渡り、大量の狼がジステンバーにかかって死んだ。 (ジステンバーは空気感染する病気で嘔吐や発熱などの症状がある) |
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子供が死んでしまう! なんとかしないと! |
日本狼(にほんおおかみ)は子供を必死でなめる。 しかしなめたところで病気が治るわけではない。 |
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くー。 |
ゲポ。 1匹の子供が小さく嘔吐(おうと)し動かなくなった。 |
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・・・・・・。 |
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ど……どうすれば!? |
混乱する日本狼の視界が歪(ゆが)む。 日本狼の心臓音が早くなる。 日本狼の体温が激しく上昇する。 |
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私の体温も高い? 私も病気にかかったのか? |
親狼もまたジステンバーにかかっていた。 |
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くー。 |
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ええい! 私の体調はどうでもいい! |
子供を! 子供を守らなければっ! |
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この子だけは…… |
日本狼はヒザをつき、かばうように子供におおいかぶさる。 |
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・・・・・・。 |
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ダメだ… 意識が… |
意識は続かない。 日本狼は発熱にやられ気絶した。 |
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子供を… |
救う… ・・・・・・ ・・・・ ・・ 2日後。 ジステンバーは洞穴(ほらあな)に住む日本狼を皆殺しにした 急激(きゅうげき)な人間社会の変化が大量の生物を殺す。 日本狼が生き残る道は存在しなかったのだろうか? ・・・・・・ ・・・・ ・・ 120年後 肌寒い秋の夜。 古びた大倉庫の中。 「古びた大倉庫の中」 |
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・・・・・・。 |
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・・・・・・。 |
倉庫の中央で蜻蛉斬り(とんぼきり)というグノーシャと、なゐの神衣(ないのかむい)というグノーシャが誰かを見下ろしていた。 「なゐの神衣(ないのかむい)」 2人の足元で14才ぐらいの少女が寝ている。 「14才ぐらいの少女」 |
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日本狼のグノーシャがそろそろ目を覚ましそう。 |
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下劣な獣のグノーシャになるか、大神(おおかみ)のグノーシャになるか… |
さて、どうでる? |
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はっ!? ここはどこだ!? |
私の子供は? 14才ぐらいの少女がはねるように飛び起きた。 |
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私の子供? |
これは人間だった時の記憶? オオカミだった時の記憶? |
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ふむ。 カタキ持ちか? |
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て! 2人 |
という事は子供たちは連れ去られたのか? 最悪だ! |
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OH。 オオカミの記憶が残ってる。 |
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ガルルルルルルルルル! |
14才ぐらいの少女はすぐに飛びのき2人に向かって牙をむいて威嚇(いかく)した! 少女が威嚇(いかく)しただけで倉庫がカタカタと振動(しんどう)する。 |
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なるほど完全な狼だ。 日本狼の記憶を持つグノーシャも悪くない。 |
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最初が肝心。 ここは私がしばいとく。 |
1.4溝度ランサーで上下関係を分からせる。 蜻蛉斬りは両指の関節をバキバキならしながら14才の少女に接近した。 「1.4溝度ランサーは蜻蛉斬りが使う絶対温度の槍」 ![]() |
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屈服させてもつまらん。 荒事(あらごと)はやめておけ。 |
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了。 |
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子供を返せ! 子供を返せ! |
ガルルルルル ルルル! 14才ぐらいの少女がさらなる威嚇(いかく)を続ける。 倉庫が振動し、倉庫の天井から大量の埃(ほこり)が舞い落ちた。 |
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自分の変化に気づいてないのか。 |
とりあえず自分の両手を見ろ。 |
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ああん。 私の両手だぁ? |
14才ぐらいの少女は超素直に自分の両手を見る。 そして大驚愕(だいきょうがく)した! |
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なん じゃ こり ゃぁ ぁ! |
私の手が人間になってるぞ! 14才ぐらいの少女は両手を使い、自分の全身を触(さわ)る。 |
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全身が人間の肌! 私は人間になったのか! |
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もはやオオカミで非(あら)ず。人でも非(あら)ず。 |
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グノーシャだ。 |
おまえは日本狼のグノーシャとして生まれ変わったのだ。 |
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グノーシャだと? |
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そうだ。 |
おまえは全滅した日本狼のグノーシャだ |
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は? |
日本狼が全滅ぅ? 私の一族は1匹残らず死んだのか? |
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おお勇者「日本狼」よ。 全滅してしまうとは情けない。 |
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なんで日本狼が全滅したんだよ! |
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日本狼(にほんおおかみ)が全滅した理由か。 |
諸説(しょせつ)あるが… 明治維新(めいじいしん)で日本人の生き方が変わった影響で、滅(ほろ)んだのだろう。 |
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明治維新ってなんだよ? |
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120年前に日本でおきた大改革だな。 |
明治維新によって日本は西欧の近代的な文化を取り入れ生まれ変わった。 |
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日本最大の大改革~。 その影響はガルガンチュア~。 |
今の日本でも明治維新の影響は残っている。 |
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ガルガンチュア? 明治維新の影響? |
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例えば処刑。 |
現在の処刑は絞首刑(こうしゅけい)が中心だ。 その絞首刑は明治からはじまり今も続いている。 ※絞首刑は首吊りの刑だよ。明治維新で斬首刑から絞首刑に変わったの。 |
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他にも♪ 他にも♪ |
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黙れ下っ端(したっぱ)の社畜! |
てめぇの蘊蓄(うんちく)なんてどうでもいい! 飼い主の後ろにすっこんでろ! |
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ガーン! 下っ端の社畜! |
確かに社畜は真実! なぜ分かる? |
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おまえからは飼い犬の臭いがプンプンするわ。 |
飼い主の顔ばかり見るバカな犬にしか見えん。 |
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マジで! |
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(さすがオオカミといった所か。上下関係をよく見ぬく) |
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蘊蓄(うんちく)はいらん。 |
日本狼が滅んだ理由を簡潔に説明しろ。 |
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明治維新以降、人間の考えが変わり狼を積極的に殺すようになった。 |
猟銃を持つ猟師が増えた。 乱獲で狼の食料が減った。 西欧から狼を殺す病気が伝わった。 |
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つまりあれか? |
人間の世の中が大幅に変わったトバっちりで私達日本狼(にほんおおかみ)は滅んだのか? |
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そうだ。 変化があれば何かが滅びる。 |
世の無常(むじょう)だな。 |
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ふざけんじゃ ねーぞっ! |
私の子供を! 私の一族を返しやがれ! 日本狼が激憤(げきふん)した。 ![]() |
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!? |
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無理な話だ。 |
お前の一族は戻らない。 |
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絶対に許 さんぞ! |
日本狼の怒号が衝撃波となり、衝撃波は倉庫の屋根を大気圏まで吹き飛ばす! 日本狼の怒りに連動するように、空に浮かぶ月が上下にゆれる! ![]() 左右に揺れる! ![]() |
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おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! |
月が昆虫のように縦横無尽 に動きだす! ![]() |
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すごい無茶苦茶… |
生まれた段階でここまで強力なグノーシャは初めて見た。 |
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許せないか? ならばどうする? |
人間を皆殺しにするか? 今のお前なら人間を皆殺しにする力ぐらいあるだろうな。 |
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当然だ! 当然皆殺しだろ! |
人間をぶっ殺して目にモノ見せてくれるっ! |
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(力はあるが浅薄(せんぱく)だな) |
大神の力を持つ獣といったところか。 |
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これは危険… |
力をつける前に殺す。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ 1.4溝度ラン・・・ |
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あれ? なんか違うな? |
報復なんてしてもあんまりメリットないな? 日本狼がいきなり怒るのをやめて考えを切り替えた。 |
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なに? 感情を一瞬で切り替えた? |
これは予測できない。 |
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え? え? |
攻撃しようとした蜻蛉斬り(とんぼきり)が前のめりにコケる。 そして自分の出した炎の槍に焼かれ大炎上した。 |
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ぎゃあああああああ! 焼ける!杉の葉みたいに焼ける! |
ゴロゴロゴロ! 蜻蛉斬りが回転しながら炎を打ち消した。 |
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メンゴ♪ メンゴ♪ |
前言撤回♪ 報復(ほうふく)はやっぱ中止するわ♪ |
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ほう……一族の報復(ほうふく)をイキナリ捨てるのか? |
実に柔軟だ。 少し気に入ったぞ。 |
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(切り替えが早すぎてほとんど電波) |
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なぜ報復(ほうふく)を捨てる? |
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報復なんかしたって、ただ人間が死ぬだけだしな。 |
報復から生まれるモノは何もない。 私は昔、人間に報復したが何も得られなかった気がする。 |
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ならばどうする? |
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巨大な何かを生み出す! |
そして! 淘汰(とうた)される側ではなく、淘汰(とうた)する側に回る! |
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(やっぱり危険?) |
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・・・・・・。 |
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明治維新とやらのおかげで日本狼はオワッタ! |
一族の力不足を認めよう! 認めたうえで反撃をする! 次は日本狼である私が巨大な何かを生みだし、人間の大事なモノを終わらせる番だ! |
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具体的には何をするんだ? |
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具体的な話は後で見つける♪ |
手段は選ばん。 なんでも利用してやる。 そうだ! グノーシャの組織も作ろう。 |
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(具体策無しでビッグになると公言するDQN?) |
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アイデアすらないゼロからのスタートか。 |
私は嫌いではない。 気合いがあればなんでも出来る。 |
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見てろよ! 天国の息子たちよ! |
ママ勝ったるぞぉぉぉ! 日本狼は不格好なガッツポーズで気合いを入れた! |
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ママ!? この子は母オオカミ!? |
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うおぉぉぉぉ ん! |
日本狼(にほんおおかみ)が吠える! 日本狼が吠えるたびに月が縦横無尽に揺れた! ![]() |
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力強い。 さすがは狼といった所か。 |
日本狼に具体策はなかった。 だが、日本狼は何かを期待させる力強さがあった。 |
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人間よ! 目にもの見せてやる! |
日本狼は牙をむき出しにして笑う。 その顔は人と言うよりも狼だった。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ |
「女銃鹿(めじゅうか)の家」 そして現在 夜の9時 女銃鹿めじゅうか)の家。 |
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・・・・・・。 |
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・・・・・・。 |
メスと60Gは屋根の上にいた。 メスと60Gは∞視点を使い、山の展望台にいる女銃鹿を監視している。 |
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お姉ちゃんが真っ青な顔で冤罪(えんざい)スレイヤーを使ってるね。 |
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女銃鹿は酷(ひど)い犯罪を見ているのか? |
「女銃鹿は120km離れた山の展望台にいた」 |
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あれも酷(ひど)い… これも酷(ひど)い… |
犯罪ひどすぎぶっ殺したい。 女銃鹿は冤罪(えんざい)スレイヤーで犯罪者の行動を観察しているようだ。 |
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おいおい。 女銃鹿は大丈夫なのか? |
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大丈夫そうに見えないの。 |
お姉ちゃんが冤罪(えんざい)スレイヤーで何を見てるか知りたいよ。 |
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知るつってもな~。 冤罪(えんざい)スレイヤーを使えるのは女銃鹿だけなんだよな~。 |
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方法はあるかもしれないよ。 |
世の中はチョットした気づきやキッカケで、突破(とっぱ)できることが一杯あるの。 |
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気づきやキッカケかー。 お前の得意分野だな。 |
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考えるの! 考えるの! 考えるの! 考えるの! |
ポクポクチ―ン! ポクポクチ―ン! ポクポクチ―ン! チ―ン!チ―ン! メスは座禅を組みながら考える。 |
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女の子がチンチン連呼するなよ。 |
60Gも冤罪(えんざい)スレイヤーを使う方法を考える。 光る星を見ながら考える。 ・・・・ ・・ |
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あ! 光か! |
光る星を見た60Gが何かに気づいたようだ。 |
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何かに気づいたのかな! 光の早さで説明してなの! |
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まずは知ってる情報の確認だな。 |
人間は反射した光を目で感じ取る事でモノを見るよな? |
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うん! お姉ちゃんがそう言ってたの! |
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女銃鹿は光よりも早い、マイナスの光速でモノを見ると言ってたよな? |
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お姉ちゃんがそう言ってたね♪ |
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マイナスの光速はフツーの光じゃ出ないスピードだ。 |
となると… 女銃鹿はフツーの光を使わないで物を見てる事になる。 |
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女銃鹿はどうやってモノを見てるんだ? |
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お姉ちゃんの目から光が出てるんじゃないかな? |
お姉ちゃんの目からマイナスの光速で動く光が出て、その光が過去に移動するの。 |
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その光は過去のモノに当たり反射する。 |
そして過去で反射した光が女銃鹿の目に戻り、女銃鹿は過去を見る。 |
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なるほど。 すごくシンプルなメカニズムなの。 |
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だとしたら、女銃鹿と同じモノを見る方法は簡単かもしれんな。 |
ようは女銃鹿の目から出ている光を見ればいいだけだ |
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!? どうすればいいのかな! |
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まず女銃鹿の目からマイナスの光速で動く光がでる。 |
そして過去のモノに反射して女銃鹿の目に返ってくる そこまでは分かるな? |
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うんうん。 |
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そこで俺たちが動く。 |
俺たちは女銃鹿の目と同じ位置に∞視点を配置する。 |
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そうすれば女銃鹿の目から出た光が、俺達の目にも入る。 |
うまくいけば女銃鹿と一緒に過去が見れるかもしれんぞ。 |
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それだけでいいのかな? |
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そう。 やるこたぁ簡単。 |
女銃鹿の目と同じ場所に∞視点を置いて、女銃鹿が見たモノを見るだけだ。 |
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予想よりもはるかに簡単な方法なの! 今すぐ兆速(ちょうそく)で実行しようよ! |
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失敗したらゴメンな。 |
まぁ、失敗しても∞視点で見るだけだから、俺達の眼球には問題が起きないと思うぜ。 ・・・・ ・・ |
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自宅にいるメスと60Gが何かをやろうとしている? |
いや… そんなことはいい… |
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・・・・・・。 |
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今は犯罪者の観察を優先します。 |
今見ている犯罪は、今までで一番酷い。 ・・・・ ・・ |
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さて、行くぞメス! 何が見えてもビビるんじゃねーぞ! |
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うん! 60Gちゃん行くよ! |
メスと60Gが目の筋肉に力を入れる! グノーシャがグノーシャの標準能力を行使する! |
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∞ 視 点 ! |
メスと60Gは、女銃鹿の目と同じ場所に視点を置いた! |
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!? |
何かが起きた気がします??? 120km離れた自宅にいるメスが何かをした??? ・・・・・・ ・・・・ ・・ |
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○▽□×$%#&!? |
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○▽□×$%#&!? |
メスと60Gの視界は光の大洪水にのみ込まれる! 光が視界を埋め尽くす! 「光の大洪水」 ![]() |
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目にすっごい早い光が流れ込んでくるの! |
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なんじゃこりゃぁぁ! 光の大洪水しか見えねぇ! |
・・・・ ・・ やべぇ! 大失敗か! |
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いや! 大成功だと思うの! |
落ちついて見れば明暗が見えてくるの! 光の大洪水は最初だけだよ! |
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マジか? |
落ちつけ俺! 落ちつけ俺! |
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暗い場所が見えてきたの! |
光は一瞬で形に変わり メスと60Gの目に過去の映像が飛び込んできた! ・・・・ ・・ |
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これは広い港? いや造船所(ぞうせんじょ)か? |
メスと60Gは巨大な造船所の跡地(あとち)を視認した。 |
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船を造る所に見えるかも~。 |
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そのようだな。 つーか無茶苦茶暗い。 |
明りはほとんどねー。 真っ暗で黒いシルエットしか見えない。 |
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次は光不足に突入だよ~。 誰か明りをつけて下さいなの~。 |
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おい! 造船所の中央になんかあるぞ! |
なんかデカイオブジェがある。 60Gが何かに気付く。 メス達が造船所の中央を注目した。 |
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あれは!? |
・・・・ ・・ |
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ガ ○ ダ ム ! |
メスと60Gの目に全長18mの等身大ガ○ダムが映る 暗くてガ○ダムのシルエットしか見えないが、あきらかにガ○ダムのオブジェだった。 |
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ぴゃぁぁぁぁぁぁぁぁ! ガー○ダム!ガ○ダム! |
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ご褒美か!ご褒美か! ご褒美なのか! |
メスと60Gが凄まじい勢いで過去の映像に喰らいつく。 そう2人ともガ○ダムが大好きなオタクだったのだ。 等身大ガ○ダムを見たメス達は、本来の目的を100%忘れさった! |
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アフロ逝きまーすっ! |
屋根の上にいたメスが水泳選手のようにダイブする! それは屋根から飛びおりる死のダイブだった |
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あぶねー! おちつけ! |
60Gは落ちそうになったメスの首をつかんでメスを救出! 首をつかまれた猫のように、メスの体が宙ぶらりんになる。 |
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突然だけど一緒に歌うの! |
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え? 俺も? |
テンションがおかしくなったメスが、突然ガ○ダムの替え歌を歌い出した。 ・・・・ ・・ ★★★ 替え歌 永遠のアフロ ★★★ |
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アフロ~♪ ふりむかないで~♪ |
宇宙のかなたに輝く星は~♪ アフロお前の生まれた~♪ 毛根(ふるさと)だ~♪ |
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おぼえているかい 少年の日のことを~♪ |
あたたかい温風(ぬくもり)の中で生まれた朝を~♪ アフロ~♪ チリチリ毛~アフロ~♪ |
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アフロは頭皮が痛むモノ♪ 痛むモノ♪ |
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ただ明日へと~♪ 明日へと~♪ |
永遠に~♪ |
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あ~~~♪ |
![]() メスと60Gは寒い替え歌を歌いきる。 はたから見れば死ぬほど寒い光景だが、メスはとても充実した気分だった。 ・・・・ ・・ |
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死ぬほど寒い歌を歌いきってしまった。 自己嫌悪しかねぇ… |
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寒くないよ♪ 身内だけの楽しい時間だよ♪ |
楽しい時間は大事なの。 |
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女銃鹿は冤罪(えんざい)スレイヤーでガ○ダムのオブジェを見てたんだな。 |
暗くてシルエットしか見えないが100%ガ○ダムのオブジェだ。 |
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あ♪ 造船所の電気が付いたの♪ |
もっとしっかり見て見ようよ! ・・・・・・ ・・・・ ・・ 造船所に明りが付く。 18mのガ○ダムが鮮明に見える。 ・・・・ ・・ 血まみれで苦しむ人間が見えた。 ![]() |
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! ! |
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! ! |
こ…これは!? 酷すぎるよ! |
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血みどろガ○ダム! |
メスと60Gは∞視点を解除し、女銃鹿が見ているモノを見るのを即座にやめた! |
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うぷっ… |
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おえええええええ! |
メスと60Gは吐き気を感じ屋根の上からゲロを吐く! スイカで出来たゲロを吐く! |
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これ大事件どころじゃねーだろ! |
犯罪史にぶっちぎりで残る大事件だぞ! メスと60Gはゲロを吐きながらうずくまる。 |
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ガ○ダムのオブジェが鮮明(せんめい)に見えたの! |
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そのガ○ダムのオブジェは全て… |
人間で出来ていやがった! 「人肉ガ○ダム」 |
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しかも素材の人間は全員生きてたよ。 生きながら絶望してたの。 |
メス達は生きた人間を縫(ぬ)いあわせて作った血まみれのガ○ダムを目撃していた。 |
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人間でオブジェをつくる発想は大昔からあるホラーのネタだが、これは桁違い(けたちがい)にやべぇ… |
何千人犠牲にしたんだ? 一瞬見ただけだが、うっかりSANチェックを失敗しかけたぞ… |
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本物の破壊力は凄すぎるね。 |
残虐(ざんぎゃく)ゲームになれてる私でも大ショッキングだよ。 |
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もしかして女銃鹿が言ってたグノーシャの犯罪者の犯行なのか? |
60Gは∞視点で展望台にいる女銃鹿の顔をチラ見した。 |
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・・・・・・。 |
女銃鹿の顔は真っ青な顔で犯罪を観察している。 |
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犯罪現場をずっと観察かよ? |
マジで女銃鹿大丈夫か? SANチェックを何回やってるんだ? |
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ずっとあんなモノを… |
もしかして… お姉ちゃんは… 凄まじい犯罪映像を死ぬまで見続るのかな? それでお姉ちゃんは幸せなのかな? |
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・・・・・・。 |
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駄目だよ。 こんなの。 |
こんなのに関(かか)わり続けたら心が壊れちゃうよ。 |
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メス・・・ |
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私がバカだった! もっと早く気付くべきだったの! |
処刑問題なんて暗黒世界の地獄ワールドでしかない! お姉ちゃんはもっと楽しい事に関わって生きるべきだよ! |
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メスそれは… |
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処刑は別の人にやらせればいいのっ! |
お姉ちゃんと処刑を分離するの! メスは強く決断した。 |
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