第61話 | |
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メス「男銃鹿ちゃんって微妙に小者臭いし面白くないの♪」 |
2年前。 とある森の中。 |
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これがクソオヤジに期待されていた女銃鹿(めじゅうか)か… |
「とある森の中」 とある森の中で男銃鹿(おじゅうか)は女銃鹿(めじゅうか)に銃を教えていた。 |
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ぜはー! ぜはー! まだ訓練するんですか? |
男銃鹿と女銃鹿は本物の拳銃で、実戦に近い訓練をしていた。 |
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戦いながら体力をつけろ。 実戦では体力が必要だ。 |
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今日だけで10回ぐらい気絶してますよ! |
ユトリを下さい! ユトリ万歳! 森の中で銃の訓練をしていた女銃鹿はボロボロだった。 |
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銃撃するぞ。 銃で迎撃しろ。 |
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へ? |
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地球一周射撃! 地球一周射撃! 地球一周射撃! |
男銃鹿は銃を持った手をワキの下にいれて、銃口を背後に向ける。 そして、男銃鹿の背後へ3回射撃した。 「男銃鹿の背後へ3回射撃した」 |
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へ? へ? |
なんで後ろを撃(う)つのですか? 私は男銃鹿の前方にいますよ。 |
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キョドリすぎだ。使えない新入社員を見てる気分だ。 |
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私にどうしろと? どう対応していいのか分かりません。 |
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俺が撃った銃弾を迎撃しろ。 |
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だから銃弾はどこですか? |
あとユトリを下さい。 ユトリ万歳。 |
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俺が撃った銃弾は、地球を一周して女銃鹿の背中に命中する。 |
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銃弾が地球を1周? なんでそんなことするんですか? |
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ハイ。 時間切れ。 |
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ふへ? |
男銃鹿の撃った銃弾は瞬く間に地球を一周した。 そして女銃鹿の斜め上空に出現! |
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手加減したから打撲程度で済むだろう。実戦なら死んでたな。 |
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だから銃弾はどこですか? |
女銃鹿は状況が把握できていない。 流れ落ちた銃弾は… 女銃鹿の背中に3発命中した! |
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がはっ! ユトリを下さい! |
銃弾は女銃鹿の背中を殴打し、女銃鹿は前のめりに吹き飛ばされた。 |
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やっぱり俺の時よりもレベルが低いな。 無駄な動きが多すぎるうえに、いちいち悩むから効率が悪すぎる。 |
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そんなレベルが低いですか? どうしましょうか? |
女銃鹿は前のめりに倒れた体勢で質問した。 |
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邪魔なものは全て削れ。 必要なものだけを残せ。 |
全ての感情を捨てて合理的になれ。 完璧な答えがある筈(はず)だ。 |
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邪魔なものは全て削(けず)れたら誰も苦労しませんよ。 |
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苦労しながら邪魔な要素を削ればいい。 |
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そう…ですか。 |
・・・・・・ ・・・・ ・・ 私は2年前に男銃鹿から銃を教わった。 |
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男銃鹿はいつも冷静で合理的で強くてかっこ良かった。 |
だけど、異性として男銃鹿に魅力を感じた事は1度もなかった。 男銃鹿に人間味を感じなかった。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ そして現在。 時刻は深夜10:00。 福岡のとあるビルの屋上。 「福岡のとあるビルの屋上」 ビルの屋上で男銃鹿がつぶやいた。 |
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女銃鹿も生きるマイナスだ。 |
生きるマイナスは間引かれて消えた方が世のため人のためになる。 「男銃鹿達」 東京にいる女銃鹿が困惑した。 |
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男銃鹿。 あなたの気持ちが分かりません。 |
女銃鹿はビルの1階入口から外に出ていた。 ビルの外はブロックが敷(し)きつめられた広場になっている。 「ブロックが敷(し)きつめられた広場」 |
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おまえはいらない子だ。 死ね。 |
福岡県にいた男銃鹿は、東京にいる女銃鹿に銃口を向けた。 |
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私を撃ってもなんとも思わないんですか! |
私はあなたの弟子ですよ! 読唇術(どくしんじゅつ)で男銃鹿の唇(くちびる)を読んだ女銃鹿が問いかけた。 |
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なんとも思わないな。 不要なモノを削る行為に感情はいらない。 |
デリートキーで誤字を消す時と同じだ。 おまえは誤字を消す時に、いちいち誤字が可哀想だと考えるのか? 女銃鹿の唇を読んだ男銃鹿が静かに答えた。 |
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似たようなセリフを漫画にでてくる小者な悪人が言ってましたよ。 |
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漫画ね・・・ |
今の日本人は多かれ少なかれ漫画から影響を受けてるかもな。 まぁどうでもいい話だ。 男銃鹿は拳銃の引き金を引いた。 |
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って話の途中です! 漫画の悪人でも最後まで話を聞きますよ! |
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これ以上、長話をして時間稼ぎをされると俺が困る。 |
必要な時に必要なモノを殺す。 それだけで世界はうまく回転する。 |
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(だ…駄目だ。 冷徹すぎてかけひきが出来ない) |
男銃鹿… どうしてここまで冷徹なんですか… |
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長話は無用。 さよならだ。 |
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(駄目だ! 迎撃しないとやられる!) |
女銃鹿は拳銃の引き金を引き男銃鹿に… |
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っそい! |
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!? |
男銃鹿は躊躇(ちゅうちょ)しない。 男銃鹿は迷わない。 男銃鹿は最速最短で銃の引き金を引いた! |
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!? |
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マイナス! 二秒射撃! |
引き金を引く指先は光速を越え… 光速よりも早い撃針が雷管を叩く! 撃 発 ! 男銃鹿の拳銃から光速を越えすぎた弾丸が放出された! 人間があらゆる英知を結集しても、男銃鹿の弾丸は観測できない。 |
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グチャ!!? |
銃弾は発砲する2秒前に女銃鹿の眉間(みけん)に直撃! ![]() 女銃鹿は自動車にはねられた実験用ダミー人形のように吹き飛ばされた。 |
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・・・・・・。 |
そしてBB弾で撃たれた空き缶のように転がり、近くのベンチに激突! 動かなくなった。 |
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また瞬殺か… とんでもないな… |
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女銃鹿らしいあっけない結末だ。 |
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女銃鹿… |
男銃鹿の背後で様子を見ていた老人のグノーシャが、複雑そうな顔で女銃鹿を見ていた。 |
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最初から勝負にならないのは分かっていた。 でも自分の弟子をここまでちょうちょしないで消すとは… |
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・・・・・・。 |
ビルの30階にある事務所から蜻蛉斬り(とんぼきり)となゐの神衣(ないのかむい)が女銃鹿を見下ろしていた。 「ビルの30階」 |
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男銃鹿の心はどうなっている? |
犯罪者とも違う。 戦争屋の私とも違う。 あえて近いモノをあげるなら… 邪魔なモノを消しつづけるウィルス対策ソフト? |
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男銃鹿の心がウィルス対策ソフトなら、不完全なウィルス対策ソフトだな。 |
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? |
不完全? |
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女銃鹿はまだ生きている。 |
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眉間(みけん)を撃たれた女銃鹿が? |
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立て女銃鹿。生きて本物の∞を私に見せてみろ。 |
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(あれ? お父様は女銃鹿の味方?) |
だったらお父様が男銃鹿をしばき殺せばいい。 お父様の考えが分からない。 |
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本物の∞を死刑問題にぶつけ新たな世界を拓(ひら)いてみせろ。 |
おまえには未来がある。 こんな所で死ぬな。 ・・・・ ・・ |
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え? あれ? |
倒れていた女銃鹿が何事もなかったようにヒョイっと立ちあがった。 |
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!? |
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!? |
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当然だ。 |
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まだ生きてる? |
眉間(みけん)が少しキレてるだけで私は生きている? どうして? |
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山を貫(つらぬ)く俺のマイナス光速射撃を喰らって軽傷だと… |
何が起きた? ・・・・ ・・ |
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愛知 県か らの 無限 防御 っ! |
女銃鹿から連絡を受けた売れ杉三号は∞視点で女銃鹿の位置を特定し… 愛知県から東京の女銃鹿に∞防御をかけていた 「キャラクターの現在位置」 |
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お父様? 何がおきた? |
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売れ杉三号の∞防御だ。 |
おそらく愛知県から東京の女銃鹿に∞防御をかけたのだろう。 |
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全力でドヤ? |
売れ杉三号は女銃鹿宅の屋根にいた。 「女銃鹿の家の屋根」 |
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もしかして三号君の∞防御? |
三号君は私の家にいましたよね? 超遠距離防御じゃないですか! |
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売れ杉三号がここまで育っていたとは、影が薄すぎて存在を忘れていた。 |
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ふっ。 |
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良かった… |
しかし… 三号君と私だけでは男銃鹿の相手になりません。 |
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どうする男銃鹿? |
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∞防御の支援を受けているかもな。 |
だったら スイングバイ加速射撃を30発ぐらい当てて、熱で溶かしてやる。 |
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スイングバイ加速射撃を30発!? |
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今度こそさよならだ。 |
男銃鹿は拳銃を天に向けた。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ 同時刻。 ここは東京のビルにある地下駐車場。 「東京のとあるビルにある地下駐車場」 |
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ニン♪ 手札が揃(そろ)ってきたね。 |
お姉ちゃん時間稼ぎダブル乙なの♪ 気絶していたメスは意識を取り戻していた。 男銃鹿に撃ち抜かれた足は動きそうにないが、上半身は元気そのものだ。 |
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メールで応援を頼んだグノーシャから95件の返信があった。 |
92人のグノーシャが今すぐ応援に駆けつけるそうだ。 |
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通信インフラさまさまなの! 速攻で反応が返ってくるね! |
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一斉に攻撃して秒殺してやんよ! 冷徹マシーン男銃鹿! |
秒殺して 男銃鹿は魅力のかけらもないゴミキャラだったぜ…と語り継いでやる。 |
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男銃鹿ちゃんって微妙に小者臭いし面白くないの♪ |
さっさと終わらせてお家でTRPGをやろうよ♪ |
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まったくだ。 理屈っぽい馬鹿の相手はウンザリだ。 |
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今から動くよ。 |
ボロボロの60Gちゃんには悪いけど、しばらく私の足代わりになって欲しいの。 |
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おうよ! |
60Gはメスを肩車して、ゆっくりと立ちあがった。 60Gの体は穴だらけで大して回復していない。 動くたびに穴があいたビニール袋のように、体から血がビュービューと噴き出した。 |
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60GちゃんGO! |
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任せろ! |
60Gはメスを肩車しながら、駐車場の外に向かって走った。 ・・・・・ ・・・ ・・ |
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「福岡にあるビルの屋上」 同時刻。 福岡にあるビルの屋上。 |
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溶かすぞ女銃鹿。 |
男銃鹿が拳銃を天に向け、軽く息を吸った。 |
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もしかしてスイングバイ加速射撃か!? |
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∞防御でも防御できませんよ! |
運よく銃撃を防御できたとしても崩壊した地形に、のまれて窒息死(ちっそくし)します。 |
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その程度ではすまないがな… (俺のスイングバイ加速射撃はもっと凄い) |
じゃあな女銃鹿。 わりとつまらない女だったぞ。 |
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ど…どうすれば!? |
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女銃鹿ぁ! めじゅうかぁ! |
女銃鹿ぁ! 愛知県にいた三号が絶叫しながら女銃鹿に全力で∞防御をかけた。 女銃鹿の肌が白金色の膜(まく)でコーティングされる。 |
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こ…これは? |
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今度こそ さよならだ。 |
男銃鹿の拳銃に装填(そうてん)された5発の銃弾が閃光手榴弾のように強い光を発した。 膨大な光が周囲を包み込む。 |
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この光がスイングバイ加速射撃!? |
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女銃鹿… 今度こそ終わりなのか… |
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ス イ ン グ バ イ 加 速 ! |
しゃ・・・ |
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撃 発 ! |
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撃 発 ! |
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な!? |
遠くから銃撃音? |
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支援に来たぞ女銃鹿! |
それは突然の出来事だった。 大阪の繁華街にいた2人のグノーシャが、男銃鹿に向かって銃撃をした! 「キャラの現在位置」 |
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男銃鹿! お前の計画を阻止する! |
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何が老人の虐殺だ! 馬鹿なんじゃないのか! |
大阪の繁華街にいた2人のグノーシャは女銃鹿の連絡を受けて、応援に駆けつけたグノーシャだった。 |
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女銃鹿の応援にきたグノーシャか!? |
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くたばれ冷徹野郎! |
2人のグノーシャが撃った銃弾は空気との摩擦(まさつ)で発熱し… 白く燃えるプラズマの弾丸に変化していた。 |
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ちっ。 |
男銃鹿はスイングバイ加速射撃を強引に中止した。 男銃鹿の銃弾から発生していた強い光も一瞬で収縮し……消える。 |
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避(よ)けろぉ! |
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分かっている。 |
男銃鹿は飛び込み前転をして、プラズマの弾丸を簡単に避けた。 |
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複数のグノーシャに狙われている? |
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敵は4人か!? |
・・・・ ・・ |
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4人ではないな。 |
94人のグノーシャで男銃鹿をつぶす。 沖縄の海岸にはスキンヘッドで筋肉質なグノーシャが男銃鹿の様子を見ていた。 |
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敵が30人以下ってことは無いな。日本中からグノーシャの攻撃がくるぞ。 |
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30人! |
馬鹿な! 冗談ではない! |
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男銃鹿が何をしようが知った事ではないが、物量型のグノーシャを一度殺してみたかった♪ |
スキンヘッドで筋肉質なグノーシャはニヤニヤ笑いながら男銃鹿を見つめた。 スキンヘッドで筋肉質なグノーシャは、Tレックスライフルという強力なライフルを所持している。 |
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嫌な予感がする。 |
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てめぇのドタマに国際宇宙ステーションを落としやんよ! |
スキンヘッドで筋肉質なグノーシャはTレックスライフルで… 宇宙にある国際宇宙ステーションを銃撃していた! 「国際宇宙ステーション」 |
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どこだ? 次はどこから攻撃がやってくる? |
国際宇宙ステーションは銃撃を受けた衝撃で大きく軌道を変え… 地球の引力に吸い寄せられる。 |
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っらえ! |
国際宇宙ステーション火弾っ! 国際宇宙ステーションは大気圏に突入し真っ赤に燃えあがった! 国際宇宙ステーションに滞在していた4人の優秀なクルーは、大気圏の熱にやられ、絶叫しながら消し炭に変わる。 |
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俺が面白ければ他人の命なんて知った事じゃないな! |
沖縄の海岸にいた筋肉質でスキンヘッドのグノーシャは豪快に笑った。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ 同時刻。 東京のとあるビルにある地下駐車場。 「東京のとあるビルにある地下駐車場」 |
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応援をOKしてくれたグノーシャの中に、物凄いバスタード(ろくでなし)な人がいるけど大丈夫かな? |
下手したら万単位の人が死ぬかもしれないの。 |
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あ・・・ |
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