第27話 | |
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銃弾はスペースデブリに衝突して下に跳ね返る。 そして地上に落下。 下にいる全ての敵を狙い潰す。 |
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お父さんの居場所は島の東部にある、雑木林の中です。 |
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(勇気は俺が守らなきゃ……俺が守らなきゃ……) |
【とある島】 ここは東北にある人口300人の島。 勇気達4人はGPSの位置検索で父親の居場所を見つけ…… 軽トラックで父親がいる雑木林に急行した。 |
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悪魔だかなんだか知らないが絶対に許さねえ! 弟を4人も殺しやがって許さん! |
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4人の島民の中で一番体格のいい男が軽トラックを運転しながら吠えた。 ハンドルをバンバン叩いて怒りをあらわにしている。 |
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私も許しません。 | ||||
軽トラックの助手席には勇気が座っていた。 残りの2人は荷台の上に座っている。 |
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弟さんはどんな感じで殺されたの? | ||||
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天井から黒い塊が降ってきて、弟達の頭を破壊しやがった。 | ||||
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黒い塊? | ||||
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黒い銃弾だ。 たぶん猟銃の弾なんだと思う。 親父が狩猟をしてるからなんとなく分かる。 |
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桜も同じ殺され方です。 激烈ラブリーな妹になんてことを…… |
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ちょ……ちょっとまってよ! 天井から銃弾が降ってきたってことだよね? |
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犯人はどうやって銃を撃ったのさ? |
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そんなもんは犯人を殺す直前に聞けばいい。 | ||||
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相手が銃を持ってるんだったら、どうしようもないんじゃないかな? | ||||
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その辺はぬかりない。 軽トラックに親父の猟銃が積んである。 |
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こわっ! | ||||
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・・・・・。 | ||||
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・・・・・。 | ||||
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オタ……さっきから他人事みたいに質問しているな。 | ||||
オタの隣で座っていた島民がいぶかしげに問いかけた。 |
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え・・・ | ||||
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俺達4人は犯人に家族を殺された仲間なんじゃないのか? | ||||
オタ…… おまえは本当に家族を殺されたのか? |
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あ……いや…… | ||||
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オタ君。 本当の事を教えて下さい。 |
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・・・・・。 | ||||
オタは家族を殺されていなかった。 近所に住んでいた勇気を守りたい一心で、勇気についてきただけだった。 勇気が好きだった。 だから犯罪者にしたくない。 傷ついて欲しくもなかった。 だが…… そんなことをいまさら勇気には言えない。 オタは下を向いて押し黙った。 |
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なぜ黙る? | ||||
・・・・ ・・ 【島の東部にある雑木林】 同時刻。 島の東部にある雑木林の中。 雑木林のなかは湿気と血生臭さが充満していた。 |
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島に入り込んだ警察官を3人殺傷。 島に向かう警察官を20人殺傷。 日本の警察官は思った以上に動きが早いですね。 |
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雑木林の中で… 50代の中年男性がつぶやいた。 男はハゲ頭で中肉中背。 スーツが似合う社会的地位の高そうな男性だった。 「中年男性」 中年の手には「豊和M300」という、半自動方式のカービン銃が握られたいた。 ![]() 豊和工業製の狩猟用ライフル。 60年代の映画によく登場し、古い映画にでてくるダサいライフルと言えば豊和M300を連想する人もいるのではないだろうか。 |
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どんなに対応が早かろうと人間は人間。 グノーシャに勝てるわけがない。 |
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中年男性の足元には、脳天を撃ち抜かれた警察官の死体が転がっている。 中年の男は自分の胸元にある財布を取り出し、財布の中から1枚の名刺を取り出した。 |
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私が憑りついた肉体の名前は島乃 守(しまのまもり)……今日からは島乃守が痩男(やせおとこ)の本体です。 | ||||
わしは島乃守だ! 痩男ではない! 痩男の心の中で痩男を否定する言葉が木霊する。 |
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いや私が痩男です。 この肉体は全て痩男のものです。 |
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う・る・さ・い! ワシは島乃守だ! ワシの体から消え失せろ悪魔! ワシと勝負だ! ファミコンのアーバンチャンピオンで勝負しろやー! おらー!おらー! 心の中で痩男を挑発する言葉が木霊した。 「アーバンチャンピオン」 |
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うるさいですね。 ん……? |
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誰か近づいている? 距離は600m。 軽トラに4人か。 |
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よし殺すか…… 殺せば殺すほど目的に近づける。 親子の愛を踏みにじり続けよう。 |
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痩男は狩猟用ライフルを両手で構えて、銃口を真上に向けた。 そして人差し指で引き金を2回絞った。 ・・・・ ・・ |
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タァーーン! タァーーン! 2発の銃声が雑木林に響き渡った。 発射時の衝撃がソニックブームとなり周囲の木々をゆらした。 |
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スペースデブリ跳弾。 |
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痩男の撃った弾が真上に向かって真っすぐ飛翔する。 銃弾は空を駆け。 雲を突き破り。 大気圏を突破した。 |
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銃弾はスペースデブリに衝突して下に跳ね返る。 そして下にいる全ての敵を狙い潰す。 |
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大気圏を越えた宇宙空間には、スペースデブリと呼ばれる宇宙のゴミが地球を周回していた。 衛星やロケットの破砕した部品が地球を周回していた。 そのスペースデブリに痩男が撃った銃弾が…… 衝突! 衝突! 衝突した2発の弾丸は跳ね返り、地面に向かって真っすぐ落下した。 |
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な……んか……嫌な感じがします。 | ||||
2発の跳ね返った弾丸は大気圏を越え、雲を突き破り、真っすぐ地面に落下する。 大気圏を越えた弾丸は燃焼し、黒く焼け焦げていた。 |
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2匹の善知鳥(うとう)は狩られて死ぬ。 | ||||
黒く焼け焦げた2発の弾丸が、勇気達を乗せた軽トラックに襲いかかった。 |
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根拠はありませんが、凄く嫌な予感がします! 車のアクセルを全開まで踏んでください! |
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え? | ||||
車を運転していた島民の後頭部に、黒い銃弾が突き刺さった。 オタと一緒に荷台にいた島民の後頭部にも、銃弾が突き刺さった。 |
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グチョッ! | ||||
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グチョッ! | ||||
2人の島民は後頭部に穴があき即死した。 頭部の穴から噴水のように血が吐きだされる。 |
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うわぁああぁああ!! | ||||
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車が……やばいです… ブレーキ!ブレーキ! |
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勇気は助手席から急いでブレーキを踏むが、間に合わない。 運転手を失った軽トラックは横滑りしながら ガードレールにぶつかった。 |
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!? | ||||
車が激しく揺れ。 助手席に座っている勇気の体が激しく揺れた。 |
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ああああああ! | ||||
オタは軽トラックがガードレールにぶつかった衝撃で荷台から投げ飛ばされ… 道路の中央に右肩から落下した。 |
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あぐっ。 | ||||
軽トラックは煙をあげながら完全に沈黙。 勇気はシートベルトをはずし、軽トラックの扉を開けた。 不幸中の幸い、勇気は無傷だった。 |
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……他のみんなは? オ…オタ君! |
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勇気が道路の中央でうずくまるオタを発見。 慌ててオタに走りよった。 |
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オタ君大丈夫ですか? | ||||
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右肩がやばい状態かもね…… それ以外はすり傷ぐらい。 |
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オタの右肩から血がにじんでいる。 オタは右肩付け根付近を骨折していた。 |
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急いで救急車を! | ||||
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逃げるんだ! |
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何が起きているか分からないけど、明らかに何かがおかしいよ! 俺達みたいな一般人がどうこうできる次元を大幅に越えてるよ! |
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嫌です。 | ||||
勇気の心の中で妹の桜が死ぬつらい記憶が、フラッシュバックし続ける。 |
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![]() もうできないの…… |
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もうできないの……
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あんな殺され方をして! |
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許せるわけがない! |
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私が復讐するしかないんです! | ||||
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!? | ||||
勇気は素早く立ち上がり、オタに背を向けた。 |
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私は1人で行きます。 さようなら。 |
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(勇気は絶対に復讐をやめない……このままいけば得体のしれない何かに突撃して殺される) | ||||
このまま突撃して死ぬのは、あまりに馬鹿すぎる。 どうすれば勇気は分かってくれるだろう? どうすればいい? |
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