第5話 | |
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三号「俺は女銃鹿にボコボコにされ気を失た。気がつけば病院のベッドの上だった」 |
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ん・・・・? |
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気がついたのー♪ |
【病室】 |
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ここは・・・病室か? |
どうやら俺はどこかの病室で寝ていたようだ。 女銃鹿(めじゅうか)に頭部を銃撃された所までは覚えている。 体の傷は無い。 もう回復したのか? その後、俺はどうなったんだ? |
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2日も寝てたけど調子はどうかなー? |
偶然出会った少女ちゃんが心配そうな顔で俺を見ている。 理由は分からないが、女銃鹿(めじゅうか)という化け物から逃げる事が出来たらしい。 意識を失った俺が無意識のうちに女銃鹿を倒したのだろうか? や・やだ・・俺ならありえるかも? 主人公補正が発動して女銃鹿を撃退したかも♪ |
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大丈夫ですか? |
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がーーーー!! |
女銃鹿が偶然会った少女ちゃんの隣に座っている。 これは・・・あれか? 余裕で敗北した俺が偶然会った少女ちゃんと一緒に連れ去られたって事か? や・やだ。 俺ならありえるかも? |
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ふふっ♪ 元気がいい♪ |
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まてよ!! ここはどこだ? |
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ここは愛知と岐阜の県境(けんざかい)にある病院です。 私達専用の病院と考えてください。 |
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俺達をどうするつもりだ? |
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どうもしません。 月30万円の生活費を払うので好きに行動して下さい。 |
え…何それ? 働かなくて月30万円? ニート大歓喜の高待遇じゃないか。 そんな上手い話があるわけ… |
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ねぇよ!! |
上手い話には裏がある… 胡散臭すぎて鼻が曲がるわ!! |
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誰がそんな話を信じるんだ? たとえそんな上手い話があったとしてもハイリスクな話に決まってるぜ。 |
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順を追って説明したほうがよさそうですね。 |
そう言うと女銃鹿は前髪をつかんで 髪の毛を後ろにゆっくりとめくりあげた。 カツラがとれ女銃鹿の頭部が剥き出しになる。 |
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まず・・・この頭を 説明します。 |
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うっ・・・ |
女銃鹿の頭部はガラスケースになっている。 その中に満たされた溶液に銃が浮かんでいる。 人間・・・なんだろうか? |
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この頭を具脳(ぐのう)といいます。 |
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ぐ・・ぐのう? |
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私の頭の中に銃がありますよね? その銃が脳と同じ働きをしています。 |
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どういう理屈で銃が脳と同じ働きをするんだ? |
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ほとんど解明されてないので、説明していいのか迷いますが… |
そう言いながら…女銃鹿ははずした髪の毛を素早く頭部につけ直した。 女銃鹿はこの頭を人にさらすのが苦手なのかもしれない。 |
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銃の中にある魂が脳の代わりに機能しているのではないかと言われています。 日本古来から伝わる器物霊の類ではないかと考える研究者もいますが確証はありません。 |
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器物霊? |
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長く使った器物に魂が宿ると言う話を耳にしたことはありませんか? |
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伝承とか民話でよく聞く奴か… 霊とか魂って科学的なアプローチで証明できるのか? |
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科学的なアプローチで研究すれば魂は存在しないという結論が出て しまいますよ。 |
なんか分かり難い話になってきたな… つまり……どういうことだ? |
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難しく考える必要はないよ。 どういう理屈で機能してるか分かんないけど道具が脳の代わりになっているのー。 |
偶然出会った妹ちゃんが笑顔で解説してくれた。 なぜ彼女が解説してくれるんだ? 困惑する。 |
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道具の脳は具脳(ぐのう)。 具脳を持つ人間をグノーシャと呼びます。 |
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グノーシャ? |
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私たちグノーシャは「なゐの神衣(かむい)」という政治家の管理下にあります。 |
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本名は「なゐの神衣」という名前だけど、私たちは「お父様」と呼んでるの。 |
私たち??? 偶然出会った少女ちゃんの言動がおかしい。 それじゃーまるで、女銃鹿と偶然出会った少女ちゃんが仲間みたいじゃないか… |
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あの… つかぬ事をお聞きしますが、お二人の関係は? |
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姉です。 |
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妹だよ。 |
・・・ ・・ ・ なるほど…つまり… |
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お前らグルだったのか! |
騙された!! 騙された!! 騙された!! じゃー何か? 偶然出会った少女ちゃんの話は全て嘘か!! 命がけで偶然出会った少女ちゃんを守ろうとした俺はTHE 愚か者ですか? 愚か者 of the Yearにノミネートなのか? |
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そうでもしないと三号君は戦ってくれなかったと思うの・・・ |
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そもそもなんの為に俺と戦ったんだ? |
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お父様の命令です。 新しいグノーシャがどんな力を持つか確認しろと命令されました。 |
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ちょいまて… |
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? |
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俺はフツーの人間だ。 一緒にするな化け物。 |
俺は言葉に悪意が込めた。 いくらなんでも女銃鹿と同じ生き物扱いされたらたまらない。 俺にも人としての尊厳がある。 |
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・・・・・・・ |
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あんたらの目的はなんだ? 俺に何を期待してるんだ? |
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グノーシャの目的は日本を改造する事です。 |
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日本を改造? また随分とデカイ話だな。 |
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グノーシャは人間とは違う心を持っています。 人間と違う心を持ったグノーシャが日本に住むと必ず現在の日本に不満を感じるようになります。 そんなグノーシャがどんな行動をとると思いますか? |
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え……いや。 マジで分からん。 |
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日本を自分達のやり方で改造したくなります。 |
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グノーシャの本能だね。 |
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・・・・・・ |
女銃鹿の顔を見る限り嘘をついているようには見えない。 聞けば聞くほどいかがわしい話だが… 女銃鹿の頭を見た後だと完全に否定する気になれない。 |
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それであんたらは人間の俺に何を期待してるんだ? |
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・・・・・・ |
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・・・・・・ |
何……? この微妙な空気? |
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お話するのに熱くなっちゃったねー。 ちょっと洗面台でお顔を洗ったらどうかな? |
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いきなり洗面台の鏡を見たらショックで自殺するんじゃ… |
自殺? なんのことだ? |
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精通と同じでビックリするのは最初だけなのー。 そのうちだんだん気持ちがよ… |
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下品な子はデモンズソウルのセーブデータ消去の刑です。 |
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ご・・・ごめんなのー! ネットで聞きかじった知識を披露したいお年頃なのー!! |
って! ここでシモネタとTVゲームの話かよ! なんか一気に毒気を抜かれた。 話すのに熱くなりすぎて冷静でないのは事実だ。 一回顔でも洗って冷静になったほうがいいかもな… 俺はおもむろに立ち上がり部屋の入り口付近にある洗面台に向かった。 |
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あっ・・・ |
女銃鹿がなぜ動揺しているのか気になったが、とりあえず入り口付近の洗面台にある水道をひねる。 冷たい水が水道から放出される。 |
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ん? |
・・・ ・・ ・ 洗面台の鏡に俺の顔が映っている。 美形とは程遠いゴツイ顔… それはともかく……頭部が…… 俺の頭部がおかしい。 |
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な・・・なん・・ |
俺の頭部はガラスケースだった。 その中には溶液が満たされていた。 そして溶液の中には・・・ 見た事がない四角い鉄の塊が浮かんでいた。 サイズは4cm×4cmぐらい厚さは3mぐらいだろうか? |
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お…おおお……おお… |
ショックで胃の粘膜が傷つくのを感じた。 ショックで視界が軽く歪んだ。 |
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三号君! 気をしっかり持って下さい!! |
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おれは…… 俺は…… |
人間じゃない… … |
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俺は… |
グノーシャだった! |
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