第1話 | |
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女銃鹿が少年に出会ってから2年の月日が流れた。 そんなある日… 日本で死刑が廃止された。 |
女銃鹿が少年に出会ってから、2年の月日が流れた。 そんなある日… |
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衆議院で「死刑廃止法案」が可決されました。 |
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なっ・・・!! |
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ただいまより内閣提出「死刑廃止法案」について採決をします。 賛成の方のご起立を求めます。 |
ヤジと怒号が飛び交う議場で… 多数の議員がゆっくりと席を立った。 |
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起立多数… よって本案は原案どおり決定いたしました。 |
死刑支持派の政治家が憤怒(ふんぬ)した。 死刑支持派の政治家が悲鳴をあげた。 |
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こうして日本の死刑は廃止された。 |
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馬鹿な!! 日本国民の80%以上が死刑を支持しているというのに強行採決をするのか! |
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フランスでも死刑廃止法案が可決したときは国民に支持されなかった。 だが時間をかけて国民の支持を獲得した! |
ヤジと怒号が飛び交う衆議院本会議場。 その一番後ろの席で退屈そうに政治家たちの争いを眺めている、一人の若い政治家がいた。 年は40代前半… 中肉中背… 眼光は鋭く赤い瞳をしていた。 |
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つまらんな… 死刑が廃止されようが存続されようがどちらでもいい。 |
若い政治家は心底どうでもいいという気持ちだった。 |
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日本にはもっと大きな変化が必要だ。 今の日本人が「別の日本人」になるような大きな変化が… |
突然、胸元にしまってある携帯が鳴りだした。 |
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・・・む? 女銃鹿(めじゅうか)か? |
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お父様!! 死刑が廃止された ではないですか!! |
女銃鹿(めじゅうか)という名の若い女性から突然電話がかかってきた。 女銃鹿も死刑支持派の政治家と同じように憤怒(ふんぬ)していた。 |
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日本人の80%以上は死刑を支持しているというのに・・・ 最低の暴挙です。 |
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暴挙・・か・・・。 |
暴挙だと考える者も当然でてくるだろう。 暴挙だと考えた人間はどんな行動をとるのだろうか。 |
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これはお父様の力を行使して死刑を復活させるしかありません! |
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無理だ。 |
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っ!! |
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見てのとおり死刑は廃止された。 世界中が死刑廃止に流れている。 日本も死刑廃止の流れから逃れる事はできん。 |
その言葉を聞いた瞬間・・・。 女銃鹿(めじゅうか)は携帯越しでも分かるぐらい動揺した。 |
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お父様は死刑反対論者なんですか? 採決するときに賛成したのですか? |
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さぁ・・・どうだろうな。 |
一瞬だけ重い沈黙が流れる 。 |
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たとえお父様が死刑反対論者でも、私はあきらめません。 |
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? |
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私は行動を起こします! |
女銃鹿の言葉には絶対の決意が感じられた。 女銃鹿は自分の思想と心中する覚悟ができているのだろう。 |
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・・・・・・。 |
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私は死刑のない日本を受け入れません! |
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…そうか。 好きにしろ。 |
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死刑が無いのなら… 私が… |
女銃鹿はそう答えると、一方的に携帯の電源を切った。 |
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さて… どうでる女銃鹿。 |
若い政治家は鋭い瞳をさらに鋭くし… 笑みを浮かべた。 |
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