0話 | |
2019年8月19日 ∞行動という力を使う者がいた。 (とりあえず0話なので軽めの話・・・) |
だから、うちはヤクザお断りなんじゃ~! 出てって欲しいんじゃ~! |
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ちょっ、まって下さいよ! 大家さん! |
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俺はヤクザっぽい外見をしてますが、ヤクザじゃないですよ! こんなナリでもキモオタですからね! (タンスの中はキモオタグッズでびっしりですからね!) |
ここは60Gの事務所。 60Gは日本型PMC(民間軍事会社)を起業していた。 「60G…本名は六十神(むそじがみ)」 PMCとは依頼者の要請を受けて、傭兵を派遣する民間企業の事である。 |
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ほほう、ヤクザじゃなくてキモオタとな? |
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ええ・・・まぁ・・・ | |
つまりキモオタ趣味のヤクザなんじゃろ! | |
わし知ってるもんね~! 部屋で待機してるヤクザがオタク趣味になりやすいってSNSの雑談でみたもーーん。 |
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あ、いや。 趣味はともかく・・・ |
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俺はPMCという民間の警備会社をやってまして・・・ ちゃんと国や警察から仕事をもらってるカタギの仕事をやってるんですよ。 |
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黙れ嘘吐きがぁ! |
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ええ・・・ | |
わし知っとるぞ! PMCってヤクザの新しいシノギなんじゃろ! |
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ネットでみたからな! グーグルさんがゆーっとたからな! |
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おおう。 どんだけ、ネット耳年増なんだよ。 |
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これがグーグルさんが生み出した知ったかモンスターというものか・・・ |
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なんじゃとー! そんなチンケな反論で、この大家さまに喧嘩を売ろうとは10年早いんじゃー! |
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大家が近くにあったパイプ椅子を持ち上げ、悪魔将軍のように60Gを殴打する! |
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おおい! いくらなんでも理不尽すぎるだろぉぉ! |
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なんだよこのパワー系の団塊ジーさんはぁぁ! |
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次は団塊差別かー! | |
許・さ・ぬ! 一瞬の反論も許さない暴虐ジジイが怒りまくる。 |
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ああ、大家(おおや)さん | |
こういう暴力は人権問題ですよ・・・ 事務所の奥からセール=ウリウリという名の女性が現れ、大家を諌(いさ)めた。 「セール=ウリウリ」 セールちゃんはこの事務所の副所長をしている。 |
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人権じゃとーーー! 人権ヤクザの手口かーーー! |
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いや、本当の暴力事件ですし・・・ | |
場合によっては告訴状を警察署に提出しますよ。 小さな表皮剥離や擦過傷(さっかしょう)でも罪になりますから覚悟して下さいね。 セールちゃんが機械のように警告する。 |
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ぬぬぬ。 あんた、冷徹な公務員お姉さんみたいじゃな。 |
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とにかく話は事務所の奥で・・・ | |
今回は話し合いで穏便に片付けましょうよ。 セールちゃんが大家を事務所の奥にエスコートした。 |
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ぬぬぬ・・・ |
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あの、副所長のセールさま。 | |
所長の俺にできることはありますか? |
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あんたじゃ大人のビジネストークは無理よん。 | |
外に出てスマホゲーでもやってなさい。 セールちゃんが猫を追い払うように60Gを外に追い出した。 |
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そっすか。 チャイルディッシュアダルトですいません。 |
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※チャイルディッシュアダルト=子供っぽい大人のこと 60Gはトボトボと外に出て、歩道でウンコ座りをする。 そして胸ポケットからスマホを取りだした。 |
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ポチポチ・・・ |
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アイギスでもやろっかな~。 金チケが出てるから3000円で買っとこ・・・ |
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60Gはスマホゲーで3000円だけ課金しようとする。 が、一瞬だけ迷う。 が、やっぱり課金しようとする。 が、そんな時! |
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ぶおおおお! | |
爆走通過! 目の前の道路で、バスが時速100kmで通りすぎた! 60Gはドッチボールでビビる少年のように身を縮める。 |
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うおっ!? こわっ!? |
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きゃあああああ! | |
そしてバスの中から、女性の悲鳴が鳴り響く。 |
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ん? 女の悲鳴? |
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くっ! 俺だけでも逃げるぞ! |
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60Gがバスを見ると、バスの窓から飛び降りるサラリーマン風の男が見えた。 |
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え? バスから脱出? |
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もしかしてバスの中にバスジャックがいるのか? ・・・・ ・・ そう! バスジャック! バスの中は「40歳の陰キャ中年」が牛刀で運転手の肩を刺し続けていた! |
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ザクッ! ザクッ! |
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ぎゃぁぁぁぁぁ! |
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きゃぁぁぁぁぁ! | |
騒然とするバスの社内! 牛刀を持った陰キャ中年は高らかに宣言する。 |
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俺はもう失うものがなーんもねーからな! | |
無敵マンだからな! |
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なんでこんな事を・・・ |
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俺の人生はな! | |
職場でもパワハラ! 家にいればパワハラ! 友人からもパワハラ! 40年間パワハラだけを浴びせられた人生だったわ! |
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それでもな! | |
ずっと我慢して来たんだよ! ずっと社会のレールにしがみついてきたんだよ! なのに! |
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なんで俺だけバス会社を首になったんだよぉおぉぉ! | |
外国人のほうが安く働いてくれるから、君はいらないって・・・ なんじゃそらぁ! 犯人はマグマ火山のように怒りで噴火する。 |
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そんなの私には関係ない! |
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うるせぇぇぇ! 巻き添え(まきぞえ)だぁー! |
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俺が暴れてる動画をネットで拡散して、こんなバス会社ぶっつぶしてやんよぉ! 犯人は牛刀を振り上げ、運転手の腕を切断した! ? |
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ぎゃあああああ! | |
バスの中は絶望必死の地獄世界に変異する。 |
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やだ、やだ! |
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死にたくない、死にたくない! | |
誰か・・・誰か・・・ 誰もが蛇に睨まれたカエルのように硬直(こうちょく)する。 |
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フォン! | |
その時、何かが事件に介入した! |
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無 限 ! |
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行動回数五万回! |
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え? | |
何かが・・・ |
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通り過ぎた? | |
乗客は何が起きたか分からない。 |
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キィ・・・ | |
なんの脈絡もなく 時速100kmで走っていた車が静かに止まる。 |
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車が静かに止まった? |
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なんで? |
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あれ? 俺、縛られてる? |
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犯人はロープで縛られ、芋虫のようにグルグル巻きになっていた。 |
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腕が治療されている? | |
なんで? 切り落とされて2~3秒しかたってないのに・・・ 運転手の切り落とされた腕は糸で接合されている。 |
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??? | |
??? | |
瞬きする間に起きた、突然の事件解決! 乗客たちはただただ唖然(あぜん)としていた。 何がおきたか60Gにしか分からない。 |
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ふん。 帰るか。 |
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バスの屋根の上にいた60Gは 犯人から奪った血まみれの牛刀をつかみながら、時速15kmで帰還。 ・・・・ ・・ 帰還しながら60Gは考える。 |
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あ~あ~、杉薬局でロープや衣料品を買ったから金が無くなっちまったじゃねーか。 | |
これでアイギスの課金ができなくなるなぁ。 ・・・・ ・・ いや、アテはあるか? |
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犯人から奪った牛刀をオークションで売れば金になるじゃん♪ | |
だったら事務所に帰って血まみれの牛刀を洗おーっと♪ などと考えながら・・・ 60Gは血まみれの姿で事務所の扉を開ける。 ・・・・ ・・ |
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あっ。 | |
あっ。 | |
事務所の中ではセールちゃんが大家さんを交渉しており 二人は60Gが持つ血まみれの牛刀をガン見した。 |
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なに? この血まみれの牛刀? |
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まさか鉄砲玉? ヤクザの抗争? |
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あ、いや、この牛刀はですね・・・ | |
鉄火場で奪ったんですよ。 |
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やっぱりヤクザじゃないかぁ! | |
大家さんがパイプ椅子を持ち上げる。 |
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あ~。 これは見るからにヤクザだわ。 |
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エンガチョ~。 |
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ちょっ! 違うからヤクザじゃないから! |
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ワシは戦うぞー! ワシはヤクザから先祖代々の土地を守る! |
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大家さんは60Gにパイプ椅子を投げつけた! |
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きゃぁぁぁ! 暴力反対よぉぉぉ! |
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ヤクザの鉄砲玉がゆーな! | |
警察呼ぶからな! 警察呼ぶからな! 警察呼ぶからな! |
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そんな~勘弁して下さいよ~! | |
60Gがキョドり・・・ セールちゃんがデコに二本指をくっつけて苦悩する。 |
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(はぁ・・・私と同じ∞行動使いのクセに不器用すぎるわ) | |
コイツは私がフォローしないとホント駄目ねぇ… セールちゃんは大家との交渉をあきらめて撤退した。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ その後。 60Gは事務所を追い出され、1ヶ月ほど漫画喫茶で暮らすこととなる。 |
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あーあー。 | |
人に親切にすると必ずしっぺ返しが起きるんだよなぁ。 |
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マジで報われない話だぜ。 | |
60Gは四角いタッパーをあけ・・・ セールちゃんに恵んでもらった手作りカレーを雑に喰う。 さらに、デザート用に購入したブラックサンダーあん巻きを頭に乗せ・・・ モヒカン! などと一発芸をして・・・寝た。 「ブラックサンダーあん巻き」 |
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