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∞射程の女銃鹿 間(はさま)

  93話(Aパート)
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長い文章は2つにわけることにしました。
こっちがAパート。

メス「むっちゃ大団円だよ~♪(お姉ちゃんが生き残ってセーフ♪)」


地球は消滅し

女銃鹿の放った弾丸は月に向かって飛んでいく。


存在史上最速のスピードで飛んでいく。


コォォォ!
   
 
   
っけえええ!


弾丸は光を追い抜かしながら

20年前にさかのぼる!
30年前にさかのぼる!

そして


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ギュイッ!


一瞬で月を周回し、50年前の地球に流れ落ちた!


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その弾速は一瞬だけ

無限の十倍を超えていた。







・・・・・・


・・・・


・・



そして、弾丸が落ちた先・・・

50年前地球。


日本でもっとも貧しく、もっとも治安が悪い町。


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その街のアパートに入れ墨(ずみ)をした凶悪なヤクザがいた。


・・・・・・。


ヤクザは怒る。


ふざけるな!


本部に払う上納金が月50万円もあるのに、ガキを育てる余裕なんかねーよ!


ほぎゃああ!
おぎゃあ!


ヤクザは赤ん坊の頭をボーリング玉のようにつかんでいる。

その赤ん坊は幼児時代の「諸悪今源之助」だった。


「諸悪今源之助(しょあくこんげんのすけ)」



諸悪今源之助はみんなやる男を地獄につきおとした犯罪者であり、元はと言えば全てこいつが悪い。


ほぎゃあああ!
ぎゃああ!


赤ん坊は飢えて痩(や)せていた。
泣きながら赤ん坊は食事を要求する。

父親にすがる。


うるせーっていってんだろぉがよ!


ヤクザは赤ん坊の泣き声だけで激怒し

助走をつけ、赤ん坊をゴミ箱に叩き入れた!


ふぎゃっ!


ゴミ箱に入れられた赤ん坊は一瞬で泣きやむ。


なんと酷(むご)い。


これが諸悪今源之助(しょあくこんげんのすけ)の幼児期か・・・


はっ!黙ればいいんだよ!
黙れば!

ああ・・・


パクパク。
モグモグ。


飢えていた赤ん坊はゴミ箱に捨てられたバナナの皮をつかみ、生きるためにバナナの皮を喰らう。


栄養を摂取する。


ころす・・・
ころす・・・


諸悪今源之助(しょあくこんげんのすけ)は赤ん坊とは思えない凶悪な目で憤怒(ふんぬ)していた。


諸悪今源之助・・・
幼児期のあなたは悲惨だったんですね。



だが!










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ほぎゃっ?


真のスイングバイ加速射撃は流れ落ち


赤ん坊はスイカ割りでわったスイカのように、粉みじんとなり絶命する!


あん?


なんだぁ~?
ゴミ箱から血が出てるぞ~?


・・・・・・。
あれ?
うっかりやっちまったか?
・・・・・・。
ま、いっか♪


このままゴミの日に捨てとこ♪

赤ん坊時代の諸悪今源之助(しょあくこんげんのすけ)はこうして亡き者となった。



「赤ん坊時代のこのオッサンが死にますた」



ビキビキ・・・


ビキビキ・・・
ビキビキ・・・
ビキビキ・・・
ビキビキ・・・





んんー?
ビキビキ?


世界中が割れて・・・いる?


ピキッ!


いままで積み上げられた歴史はガラス瓶のように崩れ

世界は白い粉をまき散らしながら崩壊する。


「白い粉をまき散らしながら崩壊する」

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は?
は?


へ?


ビキビキ・・・
ビキビキ・・・



やがて、崩れた白い粉は世界を満たし


世界を真っ白な世界に変異した。


この状況がなんなのか把握できるモノは存在しない。


・・・・・


・・・・


・・




??????


世界が変容する???


なぜに???


へ?



・・・・・・・・


・・・・・・


・・・・


・・




10分後。

死んだ筈(はず)の女銃鹿は目を覚ます。


ん・・・
キョロキョロ。


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周囲は見たことがない真っ白な世界になっていた。


なんだこの世界は???


その世界はまるで真っ白なゴミの島。


真っ白なテレビ・・・
真っ白な机・・・
真っ白な銃・・・


そして真っ白な死体!

それらが無造作に積みあげられている。


「現在位置」

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なんですかこの謎世界は?


まさか異世界転生?
ここにきて異世界で再スタートとか冗談じゃないですよ。

女銃鹿が頭をかかえて後悔する。


異世界ではないな。


ここは・・・

間(はさま)だよ。


近くにいた「なゐの神衣」が答える。

なゐの神衣は栗ひろいに使う背負いカゴと、火ばさみを装備している。
どうやら彼はその装備でゴミをひろっていたようだ。


ちょっ!
どういう!


つか、あれ?

お父様もとに戻ったんですか?


おかげさまで・・・な。
今度はもっと手際よく助けてくれ。


何もかもが消滅するところだったぞ。


というか間(はさま)ってなんですか?


白いゴミと白い人間の死体がムッチャ落ちてますよね?

女銃鹿が足下に落ちてる白い人間の死体を指差しまくる。


「現在位置」

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・・・・・・。
ズズ・・・
ズッ・・・


ゴミがうごめく。


なんか下に落ちてる銃がナメクジみたいに前進してますよ!


ズヌ!
ズズ・・・


「白い銃」が「白い人間」に這(は)い寄り・・・

銃が人間の頭部にアメーバーのようにくっつき同化した。


ちょっ!
人間の頭と銃がくっついてますよ!


なんですかコレ?
もしかしてグノーシャってこんな感じで生まれるんですか?


さぁ。


そうかもしれんし、違うかもしれん。
ホントなんなんだろーな?


お父様も分かってないんですね。
(説明キャラのクセに何してるんですか?)

間(はさま)もグノーシャも謎が多くてな。
調査中としか言いようがない。


なゐの神衣は火ばさみでキン肉マン消しゴムをつかみ、背負いカゴの中に入れながら答える。


えっと・・・
そもそも間(はさま)ってなんなんですか?

崩壊した世界だな。


矛盾が発生すると、世界は矛盾に耐えられなくなり崩壊する。


で、間(はさま)になるわけだ。


矛盾(むじゅん)・・・


50年前の諸悪今源之助を射殺したから矛盾が発生したんですか?


そうだ。


過去改変から矛盾が発生する。


それで、この世界は矛盾に耐えられなくなり崩壊したと?
それって最悪すぎませんか。

大丈夫だ。


バラバラになった世界は1時間ほどで修復され、時代が書き換わった矛盾のない世界に生まれ変わる。


今回は諸悪今源之助がいない世界が再構築されるだろうな。

ん~。
分かりにくい話ですねぇ~。


過去改変がおきて・・・

1時間ほどで、元の世界に戻るってことでいいですか?


そうだ。


元の世界に戻る前に、すべき事をやっておけ。


にゃるほど!
話は聞かせてもらったよ!


この世界は色んなルートがある世界じゃなくて、1本道なんだね♪


で、矛盾が発生すると世界の全てが壊れて、矛盾のない形に生まれ変わるの♪


「現在位置」

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ゴミ山の一部が崩れ、中からメスがヒョコンと飛び出る。

そしてフルーツから出てくるサザエさんのタマのようにお尻をふりまくる。


なっ!
メス!
これは驚いたな。


まさか狙って、間(はさま)に入り込んだのか?
どんな工夫をしたんだお前?


ふふの、ふ♪
私は工夫の鬼だからね♪


このまま私が工夫を続ければ、私がグノーシャの頂点になっちゃうかもよ~。


やれやれ。
こいつには毎回驚かされる。


メスの歩んだ無茶苦茶な人生を女銃鹿が見たら、SAN値直葬(さんちちょくそう)して発狂するだろうさ。

※SAN値直葬・・・クトゥルフの用語。SAN値(正気度)が一瞬でゼロになり発狂すること。


怖いので、見ません。


女銃鹿が顔を背(そむ)ける。
女銃鹿はメスの過去だけは絶対に見ない。


とにかくこれで一件落着だね♪


1時間もすればもとの世界に戻り、過去は改変されてみんな大復活なの♪


「復活するグノーシャ達」

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むっちゃ大団円だよ~♪
(お姉ちゃんが生き残ってセーフ♪)



メスは強引に話をまとめた。



・・・・


・・



が!



 
 


気まずい空気。

女銃鹿となゐの神衣は沈黙でメスの話を否定する。


うう。
やっぱりやり残した事があるのかな?


ええ、まだ罪人が残っています。
今回の件は、彼を処刑するまで終わりません。


それに私の戦いに大団円はないと思います。


OH・・・
ずっと戦う宣言なの・・・


お姉ちゃん、そのうちハゲるよ。


ふむ。
やはり、そう思うか。


ならば、ついてこい。
ゴミ山を登るぞ。



なゐの神衣がゴミ漁(あさ)りをやめ、近くにあるゴミ山をスタイリッシュに登る。


なるほど。
彼が上にいるんですね。


何かを察したのか、女銃鹿もゴミ山を登る。
メスもあわてて登る。


ちょっ!
どこに行くのかな?


もしかして、ゴミ山の上に黒雲ちゃん達がいるのかな?


「黒雲」

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黒雲どもはとっくに逃げ失せたよ。


それにあれは、この国の光から生まれる影みたいな連中でな。
この国に負け犬が存在する限り消えることはない。


つまりパパでも倒せないんだね?
とってもイヤーンで、無駄な戦いになりそ~かも。

まぁ、無駄な戦いにはならないさ。


奴らはグノーシャとも強い縁(えにし)を持つ

私は黒雲からグノーシャの謎が分かると考えている。


そっかぁ。
1匹捕まえて飼ってみようかなぁ。

それはいい。
一口乗ろう。


なゐの神衣とメスは会話をしながら白いゴミ山を登る。

女銃鹿はだまりながら静かに登る。


・・・・・・。


ゴミ山は存外小さい。


・・・・


・・





15分後。
標高200m

ゴミ山の頂上。

ゴミ山の頂上はたいして高くないが、見晴らしがいい。
間(はさま)を一望でき、春風のようにやさしい風が吹いていた。


・・・・・・。
・・・・・・。


「現在位置」

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・・・・・・。



女銃鹿、おまえの選択を見せてもらうぞ。


ここが最終地点。
女銃鹿の真価が問われる場所。


「Bパートに続きます」

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