第59話 | |
男銃鹿「俺の銃撃は光速を軽く超え、マイナスの光速に到達している」 |
それで老人を殺すグノーシャは何者なんだ? | |
男銃鹿(おじゅうか)だ。 |
夜9時40分 なゐの神衣(ないのかむい)の事務所。 「なゐの神衣の事務所」 なゐの神衣はエグゼクティブチェアに腰かけ話をしていた。 「なゐの神衣(ないのかむい)」 |
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男銃鹿! | |
物量型の化物じゃねーか! | |
女銃鹿(めじゅうか)と60Gは真っ青な顔でなゐの神衣に詰め寄った。 |
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(男銃鹿の件は女銃鹿達の手に負える案件じゃない) | |
蜻蛉斬りはなゐの神衣の斜め後ろで、話を静観(せいかん)していた。 |
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とんでもない奴が出てきやがったな。 | |
男銃鹿(おじゅうか)って、私に銃を教えてくれた男銃鹿ですよね? | |
どうしてあの男銃鹿が老人を殺すのですか? 「男銃鹿(おじゅうか)」 |
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簡単に言えば少子高齢化対策だな |
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はぁぁぁ? | |
少子こうれーか対策ぅぅぅ? |
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なぜ少子高齢化対策ですか? 意味が分かりません! |
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察(さっ)しが悪いな。 | |
ゼロから説明するか。 |
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お……お願いします。 | |
簡単に説明してくれよ。 長くて小難しい話は苦手だ。 |
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いいだろう。 | |
こくっ |
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なゐの神衣はデスクの上で手を組み、 あごを親指の先にくっつけて説明をはじめた。 |
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日本は今、少子高齢化問題を抱えている事は知っているな。 |
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生まれてくる子供が少なくなって、老人が増える問題ですよね? | |
日本の人口も減少してます。 |
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今は日本人の4人に1人が老人だよな。 | |
そして2050年には老人の比率がもっと増えて…… 2人に1人が老人になるんだよなー。 |
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日本の未来が怖いですねー。 | |
若い労働者が減少し、養(やしな)わなければならない老人が増える。 | |
今の日本にとってこれほど大きな問題はないだろうな。 |
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少子高齢化の責任が誰にあるのか言い争いが起きる時があるよなー(よくテレビやネットで論争になる) | |
福祉に力を入れない国が悪いとか… 若者の○○離れが悪いとか… ゴーマンな老人が悪いとか… 無能な政治家が悪いとか… マスコミの風評被害が悪いとか… 若者に金を出さない企業が悪いとか… 働かせすぎる社会が悪いとか… 子供を作らない俺らが悪いとか… 少子高齢化の話って誰が悪いという話になりやすいぜ。 |
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誰の責任だとか、どうでも良い話だな。打開策を議論したほうがいい。 |
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どうすればいいですかね? | |
こういう事は政治家大先生の仕事じゃないのか? | |
ああ政治家の仕事でもある。 | |
だが今の政治家に少子高齢化問題を解決するアイデアを生み出せるだろうか? |
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少子高齢化問題は海外のやり方をパクるだけの政治家では対処できない。 | |
日本の状況を把握し、日本にあった方法を創造できる政治家が必要。 |
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アイデアのハードルがクソたけーな。 | |
現実で実行できるような良いアイデアなんてあるのかよ? |
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良いアイデアか分かりませんが・・・ | |
国は増税や外国人労働者の受け入れで少子高齢化問題を対処してますよね。 |
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増税はやむを得ないが、国民の負担になる。 | |
外国人労働者の受けいれは一番現実的だが、20年30年後にどうなるやら・・・ (上手くいけばパラダイスになるかもしれんが、コケれば・・・) |
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100点満点の良い方法なんてないかもな。 | |
本当にノーアイデアですね。なるようになるしかないですよ。 |
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そう……なるようになるしかない。 | |
そんな状況の日本で 男銃鹿が動いた。 「男銃鹿(おじゅうか)」 |
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ごくっ… | |
男銃鹿の考えは単純にして明快。 | |
日本の少子高齢化問題を解消するために 70歳以上の老人を2000万人処刑する。 ……それだけだ。 |
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2000万人の老人を処刑!? | |
大量虐殺じゃねーか。 冗談じゃねーぞ。 |
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なんで老人を2000万人も殺すんだよ? |
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少子高齢化問題は、老人が多くて若者が少ない状況から発生する問題。 | |
老人の数が減って、若者と老人の人口バランスが良くなれば問題ではなくなる。 |
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2000万人の老人が死ねば少子高齢化問題が一瞬で消えるな。 | |
そして老人が減った分、日本の平均年齢が若くなり。 日本は若い国に生まれ変わるだろう。 |
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殺される老人が悲惨すぎるだろ。 | |
打算的で嫌いな方法です。 | |
60Gと女銃鹿は怒りで震え、両こぶしを強く握った。 |
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すごーく合理的な考え。 | |
何を考えてるんですか! | |
罪のない老人を処刑していいわけがない! 冗談でもありえませんよ! |
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ただの虐殺じゃねーか! 悪鬼にも劣(おと)る所業だぜ! |
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まさに悪鬼にも劣(おと)る所業。 | |
少子高齢化対策に老人の大量虐殺を思いつく人間は他にもいるだろう。 しかし実行する者はいない。 |
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人と違う考えを持つグノーシャの悪鬼にしか、老人の大量虐殺はできない。 |
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絶対に罪のない老人を殺させません! | |
俺は老人ホームのジーさんバーさんとTRPGをやる約束をしてんだよ! |
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男銃鹿の作戦を全力で阻止するからな! |
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私達の力だけでは男銃鹿に勝てません! | |
お父様と蜻蛉斬り(とんぼきり)さんの力を貸して下さい! ・・・・ ・・ |
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え? | |
ん? |
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なんだよ? えらく薄い反応だな。 |
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私と蜻蛉斬りは男銃鹿の計画に介入しない。 | |
男銃鹿に協力もしなければ、邪魔もしない。 |
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なぜですか! | |
私達は元々グノーシャを好き勝手にやらせる方針。 | |
警察に我々の存在をばらしたり、生産性のない犯罪をする者には制裁(せいさい)するけど… 後は自由。 |
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自由? 男銃鹿の虐殺も自由なのかよ? |
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そうだ。 | |
正気かよ? | |
虐殺は生産性のない犯罪だ。止めなきゃ駄目だろ。 |
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生産性のある虐殺は存在する。 | |
人の世は英雄が戦争で虐殺し創り上げた世界。 虐殺というアプローチにも新しい未来を産む力がある。 |
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なっ!? | |
蜻蛉斬り(とんぼきり)さん…… あんたマジでいってるのかよ…… |
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マジマジ。 | |
ふざけるな! | |
人の命をなんだと思ってる! |
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・・・・・・。 | |
お父様達は男銃鹿に何も介入しないのですか? | |
そうだ。 | |
介入しない。 |
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却下だ! クソオヤジ! |
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俺達に協力しろ! |
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協力する義理も利害も存在しない。 | |
力があるなら弱い人間を守れよ! |
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それが強者に生まれた人間の務(つと)めだろうが! |
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(これは……駄目だ……) | |
60Gは根っこの部分が善良すぎる。 私達とは考え方が違いすぎる。 |
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・・・・・・。 | |
黙ってないで答えろよ! | |
60Gはポケットの中から布でできた安物のサイフを取り出し…… なゐの神衣の顔面に叩きつけた! |
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あ!? | |
ちょっ!? | |
サイフには大量の小銭が入っており、ちょっとした鈍器になっていた。 普通の人間なら顔を歪(ゆが)める攻撃… しかしなゐの神衣は動じない。 |
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何をされようが動くつもりはない。 | |
そんなに老人を助けたいなら自分の力で老人を救えばいい。 |
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あんたはいつだって無責任だ! | |
男銃鹿だって痩男(やせおとこ)だってあんたが産(う)みだしたようなもんだ。 あんたは自分で産みだしたグノーシャのケツをふく義務がある。 「痩男(やせおとこ)」 女銃鹿の故郷を襲ったグノーシャ。 |
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大人になった子供のケツをふいてやる親がどこにいる? | |
言いたい事はそれだけか! | |
60Gはなゐの神衣のデスクをつかみひっくり返そうとした! |
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60Gもういいですよ。 | |
お父様を責(せ)めるのは筋違いです。 |
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女銃鹿はそれでいいのかよ? | |
お父様の考えには受け入れられない部分もありますが… | |
お父様は犯罪を犯していません。 男銃鹿の件とも無関係です。 |
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おまえはクソオヤジの本性が見えてないな。クソオヤジに甘い態度で接するともっと痛い目に合うぞ。 |
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・・・・・・。 | |
・・・・・・。 | |
これ以上は無駄な問答です。 | |
お父様達の協力が得られないなら、私達で男銃鹿を止めましょう。 それしか選択肢がありません。 「私達」 |
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俺達だけで物量型グノーシャの男銃鹿とやりあうのかよ。 | |
無理ゲーすぎる。 |
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だったら100人ぐらいのグノーシャを集めて戦いましょう。私達に同調してくれるグノーシャーもいる筈(はず)です。 |
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100人か? 準備に時間がかかりそうだな。 |
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・・・・ ・・ |
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準備? | |
あまりに悠長(ゆうちょう)だな。 |
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準備する猶予(ゆうよ)なんてあるわけないだろ。 | |
馬鹿なんじゃないのか? |
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準備はできないね。 男銃鹿ちゃんはそんな甘くないの。 |
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気絶して床に倒れていたメスと日本狼が口を開いた。 どうやらいつのまにか目を覚ましていたようだ。 「メス」 「日本狼」 |
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目を覚ましたのか! | |
メス聞いてください! | |
男銃鹿が2000万人の老人を殺そうとしています! 男銃鹿の老人殺しを… |
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もちろん止めるよ! | |
私も男銃鹿ちゃんの野望を叩きつぶすの! メスは仰(あお)向けに倒れながら力強く答えた。 |
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メス… あなたがいれば力強い… |
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老人ホームでお爺ちゃんお婆ちゃん達と交流したら、情が移っちゃったよ。 | |
お爺ちゃんお婆ちゃんを殺させるわけにはいかないね。 |
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俺もだ。 | |
小生意気なジ―さんバーさんだったが俺達の手で守らないとな。 「小生意気なジ―さんバーさん」 |
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もちろん余裕で勝利するよ! |
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おまえの根拠が無い自信、わりと好きだぜ。 | |
勝てる気がしてきましたよ。 | |
(こいつら全員死ぬな) |
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あーそだそだ。 | |
死ぬほど大事なことを言い忘れてたよー。 |
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死ぬほど? | |
大事なこと? |
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・・・・ ・・ |
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強そうなグノーシャが∞視点でこちらを見てるね! | |
物量型クラスの巨大な殺気を感じるの! |
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な!? 遠くから見られてる? |
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まさか男銃鹿か!? | |
おそらく… | |
福岡県福岡市にいる男銃鹿だろうな。 「福岡県にいる男銃鹿」 ・・・・・・ ・・・・ ・・ 同時刻。 福岡県のとあるビルの屋上。 「福岡県のとあるビルの屋上」 |
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あのクソオヤジ… ベラベラと俺の情報を… |
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男銃鹿は福岡から∞視点で、東京のメス達を観察していた。 「女銃鹿達は東京、男銃鹿は福岡にいる」 |
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どうした? | |
唇の動きから話を読み取った。 | |
さっそくクソオヤジが女銃鹿達に俺の情報をおモラシしたようだ。 |
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くそっ! まだ道半ばだというのに! |
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女銃鹿とやらは敵なのか? | |
いまさっき敵になった。 | |
メスと女銃鹿と60Gは70の谷こかしを妨害するそうだ。 「70の谷こかし=70才以上の老人を2000万人殺す計画」 |
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くっ! 幸先(さいさき)が悪い! |
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殺(や)るしかないな。 | |
…のようだな。 | |
男銃鹿は鋭い視線で東京の女銃鹿達を睨(にら)みつけた。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ 「東京のとあるビル」 同時刻。 東京のとあるビル。 なゐの神衣の事務所。 「なゐの神衣の事務所」 |
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数分以内に今までにないレベルの大闘争がはじまるね。 | |
準備する時間はないよ。 速攻で超展開に突入するかもね。 |
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ほんとに早急だな。 | |
考える前に動くよ。 | |
今から私達で男銃鹿ちゃんを撃破するの! |
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おう! 戦力差をひっくり返してやるぜ! |
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・・・・・・。 | |
(今の私は戦えるのだろうか ) |
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メス。 | |
一応聞いとくが…… ∞操作で男銃鹿の体は操作できるか? |
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無理だね! | |
物量型のグノーシャは運動エネルギーが凄すぎて操れないの! |
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だと思ったよ。 物量型のグノーシャは化物だしな。 |
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戦力では勝てないね! だから精神攻撃をしかけるの! |
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男銃鹿ちゃんの仲間を∞操作で操って、男銃鹿ちゃんの精神を追いつめるよ! |
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精神攻撃ですか? 冷徹な男銃鹿に効きますかね? |
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よっと… | |
メスは仰向けに倒れた状態から、エビのように飛び跳(は)ねて立ち上がった。 |
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動くかメス。 |
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殺気の位置から男銃鹿ちゃんの居場所が分かったよ。 | |
男銃鹿ちゃんは福岡県福岡市の、ビルの屋上にいるね。 「福岡県福岡市のビルの屋上」 |
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ここでやりあうのは困るな。 外で戦ってくれ。 |
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男銃鹿ちゃんはパパの事情を無視して、攻撃してきそうだね~♪ | |
あきらめた方が良いと思うよ~♪ |
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なん……だと…… | |
また事務所が無茶苦茶になるのか? |
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今日の掃除当番はお父様なので、部屋が無茶苦茶になったら掃除をよろ~。 | |
馬鹿な! | |
ゴミ出しぐらいは手伝ってくれ。 お掃除お手伝い券を使わせてもらう。 |
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だめー。 | |
お父様のお誕生日に渡した、お掃除お手伝い券は期限ぎれだから使えない。 |
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来年のお掃除お手伝い券を前借りさせてくれ。 | |
なゐの神衣は謝罪する政治家のように頭を下げた。 |
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お料理お手伝い券3枚と交換するなら考えてもいい。 | |
(この人たちはスケールが小さいのか、大きいのか分からねぇ) |
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さてどれぐらい無茶苦茶になるかな? | |
メスはメスコンで居合斬りの構えをとり、男銃鹿がいる方向を睨みつけた。 「メスコン」 |
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メスに場を引っ掻(か)き回されると厄介だな。今のうちに戦闘不能にするか。 |
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まずは男銃鹿ちゃんの近くにいる2人のグノーシャを操るの。 | |
この2人を無茶苦茶にすれば男銃鹿ちゃんは欝(うつ)になるね。 「男銃鹿ちゃんの近くにいる2人のグノーシャ」 |
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やれるものならやってみろよ。 格下。 |
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男銃鹿は懐(ふところ)から拳銃を取り出しメスに銃口を向けた。 |
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戦いは強い者が勝つとは限らないよ。 足元をすくってみせるの。 |
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ふっ… | |
メスと男銃鹿が∞視点でお互いを観察し攻撃の機会をうかがった。 |
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ジリ……ジリ…… | |
すーっ。 |
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・・・・・・。 | |
・・・・・・。 | |
・・・・・・。 | |
・・・・・・。 |
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・・・・・・。 | |
・・・・・・。 |
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・・・・ ・・ |
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ニコッ♪ | |
? |
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隙(すき)をくれてやる | |
先に来い。 男銃鹿は拳銃を握っていた右手を無造作に開いた。 |
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??? | |
・・・・・・。 | |
男銃鹿の手から拳銃が離れる。 拳銃はコトンっという小さな音を立てて男銃鹿の足元に落下した。 |
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その余裕! 命取りだよ! |
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メスは男銃鹿のスキを逃さない! メスは居合切りの構えから光速で刀を抜き・・・ 何もない前方を切りつけた! |
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∞ 操 作 ! |
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来たか… | |
操作する者の最高峰を魅(み)せてあげるの! | |
メスは全力で∞操作を使用した! |
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っておい!? | |
体のコントロールが支配される!? | |
60Gと女銃鹿は肉体のコントロールをメスに奪(うば)われた。 |
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おぉおおぉおぉおおぉおぉおぉおぉおおぉ! |
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か……体が勝手に…… | |
またメスか!? | |
メスは…… 日本中に住む100人のグノーシャを支配した。 |
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おぉおぉおおぉぉおぉぉ! | |
メスは… 福岡県福岡市に住む3000人の人間を支配した! 2000羽のカラスを支配した! 9000匹のネズミを支配した! 20000匹のゴキブリを支配した! |
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な……なんだ体が!? | |
体が操られている? | |
男銃鹿の傍(かたわ)らにいた2人のグノーシャは肉体のコントロールをメスに奪われた! 「男銃鹿の傍(かたわ)らにいた2人のグノーシャ」 |
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ひゅう~♪ ちょっとした超展開だな。 |
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全て私の手のひらでコロコロ転がるの。 全て私の手のひらでコロコロ転がるの。 |
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コロコロ…… コロコロ…… コロコロ…… |
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相変わらずメスの本気は凄まじい! | |
物量型グノーシャみたいです! |
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並のグノーシャよりは数段上かもな。物量型には届かないが。 |
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・・・・・・。 | |
・・・・ ・・ |
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余裕をこきながら死ね。 | |
支配した生物を使って男銃鹿ちゃんに… 一斉攻撃! |
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なんだこれは! なんなんだこれは! |
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くそ! 体がいうことを聞かない! |
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男銃鹿の傍(かたわ)らにいた2人のグノーシャは懐(ふところ)から拳銃を取り出し…… 男銃鹿に銃口を向ける |
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・・・・・・。 |
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やめろぉぉ! やめてくれぇ! |
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体が勝手に! 体が勝手に! |
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・・・・・・。 | |
男銃鹿! | |
・・・・・・ ・・・・ ・・ |
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・・・・・・。 | |
メスは刀を振りきった姿勢で動かなくなった |
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え? 体のコントロールが戻った? |
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どうした? メス? |
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メス? |
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体のコントロールが戻った。 | |
いったい何が起きたんだ? | |
とりあえずメスはつぶした。 |
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・・・・・・。 | |
メスは…… 立った状態で気絶している |
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え……あの……メス? | |
・・・・・・。 | |
メスの右太モモには、直径2cmの穴が開いていた。 メスの左太モモにも、直径2cmの穴が開いていた。 |
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太ももに銃痕(じゅうこん)! | |
メスゥゥゥゥ! |
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メスが銃撃された? いつのまに? |
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(窓ガラスに2つの穴が開いているな) | |
窓ガラスから侵入した銃弾がメスの太ももを貫(つらぬ)いたのか? |
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これが男銃鹿の∞加速。 | |
因果関係をもぶちぬく最速の銃撃。 |
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因果関係をもぶちぬく最速の銃撃? 男銃鹿は何をやらかしたんだ? |
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メスゥゥゥ! メスゥ! |
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こぽっ…… | |
メスは口から血のよだれを流し…… 板のようにパタリと倒れた。 |
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ああぁぁぁぁ! |
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2発の銃弾でメスを貫(つらぬ)いた。しばらくは動けないだろう。 |
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70の谷コカシが終わるまで寝てろ。 |
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いつどこで銃撃したんだ? | |
さっきあんたの目の前で銃を拾って銃撃した。 | |
俺のクイック&ドロウを観測できる生物はこの世界に存在しない。 |
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観測できない? どういう速度だ? |
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俺の銃撃は光速を軽く超え、マイナスの光速に到達している。 | |
マイナスの光速? なんだそれは? |
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相対性理論の話になるから簡単な説明はできないな。勉強をして自分で調べろ。 |
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簡単に言えば、俺が放つ銃弾は光よりも圧倒的に早い。 |
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早すぎて、銃を撃った2秒前に銃弾が命中する。 | |
銃を撃った2秒前に銃弾が命中? 意味が分からん。 |
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放たれた銃弾がタイムマシーンのように過去にさかのぼると考えてくれ。 | |
物質が光速を越えると過去にさかのぼる。 |
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俺の銃撃は何よりも早い。 誰も俺の銃撃に対応できない。 |
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・・・・・・。 | |
戦いなんて簡単なものだ。 | |
先に銃弾を命中させた奴が勝つ。 それだけだ。 |
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