第48話 | |
蜻蛉斬り「こんな生き方をしたら、そのうち石頭と一緒に海の底に沈む」 |
廃村で話そう。 | |
な…なにを? |
蜻蛉斬りは女銃鹿の首根っこをつかみ700km南西に跳躍。 そして…… 誰もいない廃村に着地した。 「誰もいない廃村」 |
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ここは人がこない。 | |
廃村に着地した蜻蛉斬りは女銃鹿を床に投げ捨てた。 |
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がふっ!? | |
女銃鹿の体が瓦礫に叩きつけられる。 女銃鹿は背中を強く打ちつけ苦しんだ。 |
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いったい全体どういうつもりですか! |
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この廃村。 | |
は? | |
ここは40年前に捨てられた廃村。 | |
「40年前に捨てられた廃村」 |
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??? | |
40年前と比べて人間はどれほど変化したのだろう。 | |
40年前の人間にとって21世紀は憧れの未来だった。 21世紀になったら違う景色が見られると、私もお父様も夢を見ていた。 「私も夢を見ていた」 「お父様も夢を見ていた」 |
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でも本物の21世紀はわりと現実的で、憧れと大きく食い違った。 |
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何の話ですか? | |
人間の世界は、もっと変化があっていい。 | |
この世界の可能性は ∞ 人が本気を出せば…… グノーシャが本気を出せば…… この世界はもっと変化する筈。 |
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(厨二のつぶやき?) | |
今のままでは満足できない。 もっと先が見てみたい。 |
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・・・・ ・・ |
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はっきり言います。 | |
蜻蛉斬りさんの行動も言動も意味不明です。 何がしたいんですか? |
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・・・・・。 | |
ごめん。 本題に入る。 |
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聞かせてください。 | |
警察の事。 | |
島乃守が無実だったら… 警察に自首すると女銃鹿は言った。 |
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羽山さんとの話を聞いてたんですか!? | |
「羽山さん」 |
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うん。 | |
島乃守が無実の罪で女銃鹿に処刑されたとしても… 警察に自首しないで欲しい。 警察にグノーシャの情報を流さないで欲しい。 |
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・・・・・。 | |
警察にグノーシャの存在がばれると、グノーシャは今までのように好き勝手に動き回れなくなる。 | |
そんな状況は… 私も、お父様も、好き勝手に動き回るグノーシャも望まない。 |
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・・・・・。 | |
頼む。 | |
蜻蛉斬りは女銃鹿に深々とお辞儀をした。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ |
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お断りします |
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!? | |
私が警察に自首して、警察にグノーシャの情報を流したら… | |
他のグノーシャに迷惑がかかるかもしれません。 |
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うん。 大迷惑。 |
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それでも! | |
もし私が無実の人間を殺したのなら! 私は警察に自首して、罰を受けなければなりません! |
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間違いをおかして罰を受けないなんておかしいじゃないですか。 |
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こんな生き方をしたら、そのうち石頭と一緒に海の底に沈む。 | |
私の考えは変わりません。 | |
事件を調査をして、島乃守が無実だったら… 警察に自首します。 |
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・・・・・。 | |
考えはよく分かった。 蜻蛉斬りは冷徹な目で女銃鹿を見つめた。 |
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分かって頂けましたか? | |
うん。 | |
これからどうするか決定した。 |
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どうするか決定? | |
女銃鹿は事件を調査をして、島乃守が無実だったら自首すると言った。 |
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はい。 | |
・・・・ ・・ |
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調査する必要はない。 | |
女銃鹿が思い出せばいいだけ。 |
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は? | |
また意味が分かりません。 |
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すぐに分かる。 | |
蜻蛉斬りの瞳が金色に輝いた。 |
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??? | |
どーせ真実がばれるのなら、私の目の前でばれた方が楽ちん処理。 | |
蜻蛉斬りは女銃鹿に歩み寄り、薬指で女銃鹿のデコに触れた。 |
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∞ 再 生 |
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私に∞再生? なぜ? |
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蜻蛉斬りが∞再生とつぶやくと女銃鹿のデコについた傷が完全に再生し… 無傷になった。 |
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なんのつもりですか? 本気で意味が分かりません。 |
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∞再生は死以外の全てを再生させる。 | |
心の傷も再生する。 失った力も再生する。 そして… 人間だった時の記憶も再生する。 |
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人間だった時の記憶が再生? | |
私には人間だった時の脳がありません! 人間だった時の記憶が再生するわけがない! 「私には人間だった時の脳がありません!」 |
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記憶なら心臓に残っている。 | |
蜻蛉斬りは親指で自分の心臓がある場所を指さした。 「心臓」 |
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人間の心臓には神経繊維が密集している部分がある | |
そこに人間だった時の記憶が残っている。 |
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臓器の中に残る人間だった時の記憶? | |
グノーシャの性格も、心臓に記憶された人間の記憶から形成される事例が多い。 |
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・・・・・。 | |
女銃鹿… | |
全て思い出せ |
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! | |
∞再生によって・・・ 女銃鹿の心臓に眠る島乃勇気の記憶が再生した! 「島乃勇気=女銃鹿が人間だった時の名前」 |
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人間だった時に体験した記憶が流れ込んでくる! | |
女銃鹿は… 妹の島乃桜の事を思い出した。 父の島乃守の事を思い出した。 「島乃桜」 「島乃守」 |
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私は!? 私は!? |
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女銃鹿の頭に跳弾ちゃんというグノーシャの記憶が流れ込んだ。 「跳弾(ちょうだん)ちゃん」 |
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これも私の心臓に残された記憶? 私は昔……跳弾ちゃんだった? |
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跳弾ちゃんは戦った。 島乃守に憑りついた痩男と… 「跳弾ちゃんの戦い」 島乃守は戦った。 島乃守に憑りついた痩男と… 「痩男(やせおとこ)」 痩男は島乃守に憑りついていた! 「痩男は島乃守に憑りついていた」 |
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!!! | |
女銃鹿は… 島民虐殺事件の真相を全て把握した |
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がはっ! げほっ! |
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女銃鹿の精神が不安定になり、過呼吸の発作を起こす。 |
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これで全て分かった筈(はず) | |
島民虐殺事件の犯人は… | |
痩男! 「痩男(やせおとこ)」 |
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跳弾ちゃんは痩男と戦った! お父さんも痩男と戦った! |
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お父さんは! お父さんは! ・・・・ ・・ 完全に無実! 「お父さんの島乃守は無実」 |
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・・・・。 | |
無実・・・ | |
無実のお父さんを…… 私が…… |
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処 刑 し た ! |
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最悪だ! 最悪だ! |
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私は最悪だ! 私は最悪だ! 私は最悪だ! 私は最悪だ! 私は最悪だ! |
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・・・・・。 | |
お父さんは処刑されるような人間じゃない! | |
・・
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・・・・・。 | |
いま…… 私が……すべき……ことは…… |
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自首! |
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・・・・・。 | |
あんな良い人を殺した私は…警察に捕まって死刑になるべきだ! | |
死刑! 死刑! 死刑! 私を死刑に! |
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死刑……死刑…… | |
・・・・・。 | |
女銃鹿の手がアル中患者のように激しくゆれる。 女銃鹿はふるえながらスマートフォンを取り出し…… 警察に電話しようとした。 |
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ぼっしゅーと。 そして破壊。 |
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!? | |
蜻蛉斬りは女銃鹿からスマートフォンを奪いとり… 握りつぶして破壊した! |
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な……なにを!? 私は警察に自首を!? |
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うん。 落ち着こう。 |
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私は私は! | |
女銃鹿から発せられる全ての声が悲鳴のようだった。 |
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お父さんを… あのお父さんを… |
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あのお父さんを! 「あのお父さん」 女銃鹿は涙と鼻水を流し… 口から胃液を吐き… ひたすら自分を攻めた。 |
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自首する? | |
警察に自首します! | |
警察に自首して…… 警察にグノーシャの事を全て話して…… 死罰を受けます! 死罰を受けます! 死罰を受けます! 死罰を受けます! |
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これが石頭な正義女の末路…… | |
蜻蛉斬りはゆっくりと仮面をつけた。 「蜻蛉斬りは仮面をつけた」 そして、槍投げ機にミサイルをセットして構えた。 「槍投げ機にミサイルをセットして構えた」 |
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あまり使いたくないが…… | |
∞地獄を使おう |
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むげ……じご……? | |
死ぬギリギリまで痛めつけて、∞再生で回復させる。 | |
それだけの行動を∞に繰り返して、相手を暴力で洗脳する鬼畜スキル。 |
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こんな時になにを? | |
女銃鹿を暴力で洗脳して…… | |
警察に自首出来ない体にする。 |
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な!? | |
60Gはデコピンによる暴力で女銃鹿を洗脳しようとした。 | |
暴力で洗脳して島乃守を殺せない体にしようとした。 「60G」 |
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私は60Gのように優しいやり方で洗脳はしない。 | |
・・・・・。 | |
まずは性器からミサイルを侵入させ、内蔵を貫通させる。 | |
そして喉(のど)からミサイルを出そう。 串刺し刑のように |
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性器からミサイルを侵入? | |
殺しはしない。 ∞再生で死ぬ前に再生させる。 |
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蜻蛉斬りは事務的に答えた。 蜻蛉斬りの言葉に迷いはない。 |
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な……な…… な…… |
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死刑を覚悟した女銃鹿が暴力に怯えた。 |
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次は女銃鹿の乳房を切り取り…… | |
女銃鹿に自分の乳房を喰らわせよう。 女としてこれ以上最悪の責め苦は存在しない。 |
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下劣です! | |
人を苦しめる行為は本来下劣な所業。 | |
拷問も処刑も…… 槍と共に下劣な歴史を歩んできた。 |
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槍と共に下劣な歴史? | |
私は蜻蛉斬り。 槍のグノーシャ。 |
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昔は蜻蛉切(とんぼきり)という名前のグノーシャだった。 1本の槍のグノーシャだった。 |
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メキメキ……メキ…… | |
??? | |
女銃鹿の目の前で… 蜻蛉斬りの頭部が… 巨大化して3mになった! |
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頭部が大きくなった? | |
最初は1本の槍だった。 | |
それが 10本追加され… 100本追加され… 1000本追加され… 数え切れない数の槍が私の脳になった。 |
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私は蜻蛉切という名を捨て… | |
槍衾(やりぶすま)のグノーシャ。 蜻蛉斬りと名乗るようになる。 「蜻蛉切(とんぼきり)から蜻蛉斬り(とんぼきり)に改名した」 |
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ああ……ああ…… | |
蜻蛉斬りの頭部は肥大化し続ける。 蜻蛉斬りの頭部の大きさが… 10mになった! 100mになった! 300mになった! |
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・・・・・。 | |
巨大な頭部が廃村をおおいつくす!! 巨大な頭部が村をおおいつくす!! |
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グノーシャの化け物!? |
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女銃鹿の心を地獄で塗りつぶそう。 | |
! |
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