第41話 | |
蜻蛉斬り「決着がつきそう」 なゐの神衣「女銃鹿の勝利を願う」 |
ああ…… バックレてぇ…… |
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・・・・・・。 |
【岩手県の山中】 ここは岩手県の山中。 60Gは仰向けに倒れながら絶望していた。 60Gの体は銃撃で穴だらけになっている。人間ならばハチの巣の死体として、処理される状態だ。 |
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(島乃守は?) | |
・・・・・・。 | |
60Gは首を動かし島乃守の居場所を探した。 島乃守は60Gのかたわらで倒れていた。 奇跡的に無傷のようだ。 |
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殲滅型スペースデブリ跳弾は続きます。 | |
今度こそ処刑です。 「殲滅型スペースデブリ跳弾」 |
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!? | |
天地を往来する弾丸は止まらない! 天地を往来する弾丸は、島乃守に襲いかかった! |
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おおぉぉぉぉおぉぉ! | |
60Gは仰向けの体勢から… 4発の50口径弾をエコバックから取り出し投げる! そして… 襲いかかる弾丸を全て叩き落とした! 「50口径弾で叩き落とした」 |
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殲滅型スペースデブリ跳弾をあっさり叩き落とした!? | |
あっさりなのか? 凄いな。 |
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(今度は対応できたか……) | |
60Gは足をガクガクと震わせながらゆっくりと立ち上がり… 島乃守を右肩に乗せてかかえこんだ。 |
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すごい… ここまで攻撃に対応できるなんて… |
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バックレてぇが… とりあえず死ぬまでやるか。 |
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60Gは力強く前に出る。 |
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女銃鹿に親殺しはさせねぇ! | |
傷だらけの60Gは女銃鹿に向かって走りまくった。 走る。 走る。 走る。 血をまきちらしながらマッハ40で走る! その姿は赤黒い弾丸のようだった。 |
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60Gにはスイングバイ加速射撃しか通用しないかもしれません。 | |
スイングバイ加速射撃って夜銃に使った銃撃か? | |
「夜銃」 |
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最後の切り札です。 | |
女銃鹿はニューナンブm60に、5発の弾丸を装填しながら答えた。 |
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うっかり60Gを殺したら洒落にならないぞ。 | |
大丈夫です。 夜銃との戦いでスイングバイ加速射撃の扱い方は把握しました。 |
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60Gは殺しません。 私は大犯罪者しか殺しません。 |
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信じてるぞ。 女銃鹿。 |
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いきます! | |
女銃鹿が銃口を天に向けた。 |
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すう――――。 | |
女銃鹿が息を吸い込むと… 銃に装填された1発の弾丸が、閃光手榴弾のように強烈な光を発した。 |
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ごくっ…… | |
光が周囲を白く塗りつぶす。 光が周囲を白く消しつぶす。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ |
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スイングバイ | |
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!! | |
!? | |
撃 発 ! |
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ぐぎっ! | |
女銃鹿の右腕に銃の反動が襲いかかる! 女銃鹿の右腕の指が全て砕け散った! そして… 強烈な光を発する弾丸が、照明弾のように天空に舞い上がる! |
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・・・・・。 | |
スイングバイ加速射撃だと!? | |
弾丸は加速しながら上昇する。 物理的にありえないスピードで… 光速の何10倍のスピードで… 月の周回軌道に到達した!! 「月の周回軌道」 |
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絶対に逃しません。 次こそ島乃守を処刑します。 |
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・・・・・・。 | |
弾丸は鮮やかな光跡を描きながら、一気に月を周回した。 弾丸に月の引力や公転運動のエネルギーが加算される。 「スイングバイ加速射撃のルート」 |
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・・・・・。 | |
そして弾丸は60Gがいる地球に向かって… 一直線に流れ落ちた! |
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ぐぅ・・・ | |
・・・・・。 | |
60Gは岩手県の山道を走っていた。 島乃守を右肩にかかえながら走っていた。 |
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狙いは完ぺきです。 | |
弾丸は60Gの背後にある、高さ200mの山に直撃! 山は… 子供に蹴られて破壊される砂山のように粉砕された! |
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お……おい!? | |
砕けた山は、スイングバイ加速射撃から発生する衝撃波に押し流される。 砕けた山は衝撃波に押し流され… 土の津波に姿を変えた! 「土の津波」 |
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な、なな……な……! | |
山を1つ吹き飛ばして、土の津波に変換しました。 | |
誰も避けられません! 「土の津波ができるまで」 |
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おおおおおおお!! | |
土で構成された巨大な津波が60Gに襲いかかった。 波の高さは40m! 人が対応できる波ではない! 巨大な土でできた津波が60Gを… のみ込む! のみ込み! のみ込む! |
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∞行……ごはっ…… | |
60Gは土でできた巨大津波にのみ込まれる! バケツの水に流される小アリのようにのみ込まれた! |
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私の勝ちです! 島乃守は津波につぶされて死にます! |
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女銃鹿は勝利を宣言した。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ 60Gは土の津波にのみ込まれ、女銃鹿の視界から… 完全に消えた。 「土の中に消えた」 |
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【愛知県の森】 |
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どうやら島乃守を処刑できたようだな。 | |
土の津波に巻き込まれた島乃守は生きてはいられないでしょう。 | |
60Gはしぶといので大丈夫だと思います。 女銃鹿は暗い表情で答えた。 |
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笑顔で勝利にはならないんだな。 | |
処刑は人殺しです。 極悪人の処刑とはいえ…… |
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気分が良いものではありません。 |
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それでも女銃鹿は処刑を続けるんだろ? | |
私は処刑を望む被害者遺族の為に処刑をつづけるだけです。 | |
それが私の使命です。 |
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女銃鹿。 | |
私なら大丈夫です。 それよりも…… |
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? | |
そろそろ60Gが土の中から顔を出すと思います。 | |
女銃鹿は∞視点で60Gがいる岩手県を見回した。 60Gが土の津波にのまれた場所は、木と土が散乱した状態になっている。 荒れた大地は被災地を連想させた。 |
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60Gも丈夫なのか? | |
蜻蛉斬りさんと真っ向勝負して生き残った数少ないグノーシャです。 | |
簡単には死にません。 ある意味、三号君より丈夫です。 「蜻蛉斬り(とんぼきり)」 |
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蜻蛉斬りさんはもっと凄いわけね。 | |
ええ…… 60Gを探しますので少しの間、静かにしてください。 |
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女銃鹿は∞視点を使い注意深く60Gの居場所を探った。 女銃鹿の予測ではそろそろ土からでてくるはずだ。 |
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・・・・・・。 | |
3分後… 60Gは土から出てこない。 5分後… 60Gは土から出てこない。 15分後… 60Gは土から出てこない。 |
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? | |
おかしいですね。 60Gが土からでてきません。 |
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おいおい。 大丈夫なのか? |
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この程度で60Gは死にません! 断言してもいい! |
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じゃあ60Gはどこだよ? | |
そ・それは… | |
・・・・・・ ・・・・ ・・ ザシュ! |
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え? | |
ごぶっ! | |
突然、三号が5m後方に投げ飛ばされた! そして木に背中をうちつけた! |
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三号君が投げ飛ばされた? | |
なぜ? 誰に? |
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・・・・・・。 | |
三号は気絶していた。 なんの脈絡もなく突然気絶していた。 |
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三号君が気絶している? 丈夫な三号君がなぜ気絶? |
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もご…… | |
三号の口と鼻には大量の土がつめ込まれている つめ込まれた土は、三号の呼吸を止め三号を窒息させた。 |
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え? え? え? | |
え? ・・・・・・ ・・・・ ・・ |
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ふっしゅ――――。 | |
!? | |
女銃鹿の背後で60Gが仁王立ちで立っていた! 島乃守を右肩にかかえながら…… 両足をふらつかせながら……… 女銃鹿の背後に立っていた! 「60G」 |
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俺の勝ちだ。 | |
どうやってここまで? 土の津波は? |
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襲ってきた土の津波か? | |
衝撃波で穴をあけてくぐり抜けた。 「衝撃波で穴をあけてくぐり抜けた」 |
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そんなデタラメな! | |
その後、女銃鹿の視界から外れたすきに… | |
マッハ40のスピードで女銃鹿に接近しただけだ。 |
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口で言うのは簡単です! しかし……できることではない! |
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土の津波に対応できる生き物が存在するわけがない! |
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俺が使う力は∞行動。 | |
1回の行動で600回行動ができる。 |
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それがどうかしたのですか! | |
どんなへぼ将棋でも、1回で600手も打てればプロに勝てる。 | |
1ターンで600ターンの行動ができれば、どんな対戦カードゲームでも絶対に勝てる。 1回の行動で600回行動できればアリがゾウを倒せるかもしれない。 「600手打てればプロに勝てる」 |
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∞行動はいろんな意味で万能だ。 | |
巨大な土の津波でも対応できる。 「巨大な土の津波」 |
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おまえみたいに派手な技はないが、物量型グノーシャ以外なら負ける気がしない。 |
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そ……そんな…… | |
(とはいえ……負傷しまくりで立ってるのがやっとだけどな) | |
これ以上、攻撃を喰らうとマジでやばい。 |
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ぐっ。 | |
・・・・・・。 | |
女銃鹿は60Gの右肩にかかえられた島乃守を凝視した。 少しスリ傷があるだけで命に別条はない。 島乃守は60Gの肩の上で、静かに気絶していた。 |
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まだです! | |
女銃鹿は左手でニューナンブm60を構え、60Gに銃口を向けた。 |
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もう終わりにしようぜ。 接近戦じゃ女銃鹿に勝ち目はねーよ。 |
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60Gは∞行動を使い、女銃鹿から無造作にニューナンブm60を奪い取った。 女銃鹿は60Gの行動に反応できない。 銃を構えた姿勢で目を白黒させた。 |
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!? | |
ほらな。 勝負にならない。 |
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まだだ! |
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女銃鹿は左のこぶしを強く握り、60Gに飛びかかった。 |
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(ぴくっ) | |
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