第32話 | |
痩男「強いという事実は重要ですよね。弱ければ悪人1人倒すこともできない」 |
国ノ塊(くにのかたまり) 私が考える最も凶悪な化け物です。 |
|
こんなものが国であるわけがない! |
【雑木林の中】 島の東部。 雑木林の中。 |
|
国ですよ。 人肉を圧縮することでつくられた国家の塊です。 |
|
肉色の丸い球体が空を浮遊している。 肉色の球体は直径40m。 気球のようにゆっくりと空を浮遊していた。 その球体は痩男(やせおとこ)が化けた怪物の姿だった。 |
|
国と同じ力を持つ化物が死刑を興じる。 その酷悪な所業をお見せしましょう。 |
|
死刑を興じる? | |
ゆっくりと空を浮遊していた肉色の球体が、空中でピタリと静止した。 |
|
第五世代戦闘機…… | |
研究完了… 開発完了… 飛行試験完了… 実践配備完了… |
|
……??? (なにをつぶやいてる?) |
|
肉色の球体が、液状の構造を持つ生命体のようにうねりながら形を変えた。 |
|
何をしている! | |
領土侵犯を発見! 緊急発進! |
|
肉色の球体が激しくうねる。 うねる。 うねる。 うねる。 激しくうねった球体が、肉色の戦闘機を排出した。 |
|
!? | |
国とは人肉の塊。 肉はうねり…いかなる形にも変化し… あらゆるものを創造する。 |
|
くっ! ∞機動! |
|
跳弾ちゃんが∞機動を使用して上空に跳躍した。 跳躍した跳弾ちゃんの高度が、瞬く間に高度1500mに到達した。 |
|
領空侵犯を発見! 全機発進せよ! |
|
肉色の球体が心臓のように拡縮しながら激しくうねった。 そして肉色の球体から…… 大量の肉でできた戦闘機が上空にむかって排出された! |
|
な…なんだ!? | |
言いましたよね。 国そのものだと。 |
|
国ノ塊(くにのかたまり)から吐きだされた肉の戦闘機は、第五世代戦闘機と同等の性能を持ちます。 吐きだされた戦闘機の数は350機。 日本国に配備された戦闘機と同じ数です。 |
|
な……な…… | |
国の恐ろしさを体感してください。 | |
国ノ塊から吐きだされた肉色の戦闘機が、あぶの群れのように島の上空を縦横無尽に飛び回った。 常識では考えられない戦闘機の…… 群れ! 群れ! 群れ! |
|
化け物が! | |
跳弾ちゃんが音速の壁を蹴りながら高速で「国の塊」に接近した。 跳弾ちゃんのスピードに痩男は反応できていない。 |
|
逃げるのは不可能ですよ。 | |
黙れ! ギロチンにつぶされて…… |
|
跳弾ちゃんが超高速で国ノ塊に特攻した。 超高速で特攻することによってソニックブームが発生! 跳弾ちゃんのヒザとソニックブームが、国ノ塊に叩きこまれた!
|
|
沈めぇえぇえ! |
|
・・・・・・ ・・・・ ・・ |
|
無意味な攻撃です。 | |
国の塊は跳弾ちゃんの攻撃で激しく振動した。 しかし国の塊には傷一つ付いていない。 |
|
強いという事実は重要ですよね。 弱ければ悪人1人倒すこともできない。 |
|
うわぁ……あ……あ…… | |
危険を察知した跳弾ちゃんが「国の塊」を踏み台にして上空に向かって跳躍した。 跳弾ちゃんは瞬く間に高度3000m上空に到達した。 |
|
ふっ…… | |
高度2000m付近を飛んでいた戦闘機の群れが、一斉に上を向いた。 合計300機の戦闘機が跳弾ちゃんをミサイルロックする。 |
|
放て。 | |
痩男が放てと吐き捨てた瞬間…… 戦闘機に搭載されたミサイルの推進燃料が、火を噴いた。 凄まじい数のミサイル が、跳弾ちゃんに襲いかかる。 |
|
うぉおおおおお! | |
跳弾ちゃんが∞機動とサウンドバリア跳弾を駆使して、ミサイルから逃げる。 合計600発のミサイルがイワシの群れのように並び…… 跳弾ちゃんを追跡した。 ミサイルが追いかける。 跳弾ちゃんが逃げる。 ミサイルが追いかける。 跳弾ちゃんが逃げる。 ミサイルが追いかける。 跳弾ちゃんが逃げる。 ミサイルが追いかける。 跳弾ちゃんが逃げる。 ミサイルが追いかける。 跳弾ちゃんが逃げる。 |
|
もう少しやると思いましたが、こんなものですか。 | |
くっ……負け……ませんよ! | |
跳弾ちゃんの眼前で1発のミサイルが爆発した。 |
|
しまっ… | |
つられて他のミサイルも爆発する。 まるで連続してはじける爆竹のように、600発のミサイルが全て誘爆した。 |
|
ぐぎっ!! | |
ミサイルの爆風が跳弾ちゃんの肉体を燃やし傷つける。 跳弾ちゃんは… 爆風で遠くに投げ飛ばされる! 跳弾ちゃんはキンチョールジェットで殺されるハエのように落下した。 |
|
処刑を興じる前に死にましたか。 | |
まだ…だ! | |
跳弾ちゃんは全身に火傷を負い。 爆風といっしょに飛んできた破片で切り傷を負っていた。 常識的に考えれば重傷で満身創痍。 しかし跳弾ちゃんはあきらめない。 高度2000mの位置から、∞機動とサウンドバリア跳弾を駆使し、雑木林に軟着陸した。 |
|
【雑木林の中】 島の東部。 雑木林の中。 雑木林の上空では直径40mもある肉色の球体が浮かんでいた。 |
|
ぐっ……ぐっ…… | |
地上に軟着陸した跳弾ちゃんは、満身創痍で動けない。 うつぶせの状態から必死に立ち上がろうとするが… 立ち上がれそうにない。 |
|
素晴らしい。 よく生き残った。 |
|
では死刑を興じましょうか。 |
|
死刑を興……じる? | |
娯楽のように楽しみながら処刑するのですよ。 | |
罪のない私を楽しみながら処刑するのか! | |
無実の罪で拷問処刑です。 |
|
狂ってる。 | |
狂った国となり狂った暴力であなたを処刑します。 ロシア史上最大の暴君と言われるイワン雷帝のモスクワ大公国みたいなものです。 |
|
ぎりっ…… | |
さて、どのような処刑にしたものか…… | |
絞首刑 銃殺刑 電気椅子 ガス殺 薬殺刑 ガス殺刑 斬首刑 石打ち刑 ファラリスの雄牛 セメント靴 グリッドアイロン 抽腸 ゾウ踏み ネックリング サメのエサ コロンビアン・ネクタイ どれも興味深い |
|
地獄に堕ちろ! 外道! |
|
ふむ…… 今回は蜻蛉斬りから教えていただいた鋸挽き(のこぎりびき)であなたを処刑しましょう。 |
|
どのように死ぬのか興味がある。 知的好奇心のためだけに人を処刑する… まさに狂った国の所業。 死刑を興じるとはまさにこのことだ。 |
|
(反撃したい……しかし体がダメージで動かない……) | |
(やめろ……やめろ……!) | |
次の話へ 前回の話へ TOPに戻る |