第30話 | |
島乃守「勇気! これ以上近づいちゃ駄目だ!変態オナ○スト芸人に殺されちゃうよ!」 |
・・・・・・。 | |
死体の損壊が激しいが……この少女はグノーシャの依り代(よりしろ)に使えそうだ。 |
【島の墓地】 島の人間が虐殺されている中で……60Gというグノーシャが島民の死体を集めていた。 島民の死体は棺桶に安置され、島の墓地にまとめて置かれている。 60Gは墓地で死体を検分していた。 |
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墓地に誰もいねーな。 痩男(やせおとこ)に殺されたからいないのか? |
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棺桶に入れられた死体はどれも頭部に穴があいていた。 欠損が激しい死体もある。 |
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混乱のどさくさにまぎれて、死体を拝借する俺はクズ野郎なんだろうな。 | |
死んだ島乃桜(しまのさくら)も棺桶に安置されていた。 「島乃桜(しまのさくら)」 遺品と思われる携帯ゲーム機や、ゲームのコントローラーも一緒に収められている。 60Gは死んだ島乃桜の状態を丁寧に確認した。 |
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・・・・・。 | |
棺桶にゲーム機か…… こいつゲーム馬鹿だな。 玩具のグノーシャに向いてそうだ。 |
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見知らぬ少女ちゃん…まよわず成仏してくれ。 あんたの肉体は使わせてもらう。 60Gは両手を合わせて大げさにお祈りした。 そして島乃桜の死体を抱きかかえた。 |
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(これって端から見たら、ロリコンの死姦マニアが死体を盗んでるように見えるかもな) |
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【雑木林の中】 島の東部にある雑木林の中。 雑木林のなかは血生臭さで満たされていた。 血の臭いを嗅ぎつけたハエが飛びまわっている。 |
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スペースデブリ跳弾で死ななかった島民が3人いますね。 人間の生命力には感動するしかない。 |
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痩男は∞視点を使って、生存者の位置を確認した。 |
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・・・・・。 | |
雑木林の入り口に島乃勇気がいた。 彼女は同行した男性に助けられたようだ。 |
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よく生き延びた! とても感動した! |
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痩男はライフルを左手一本で構え……銃口を天に向けた。 |
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そして死んで下さい。 | |
グノーシャと人間とでは戦力差があまりにも大きすぎた。 漫画にでてくる一般人と同じだ。 戦力が低すぎて雑魚的にすら勝てない。 化け物相手ならなおさら勝てない。 痩男は人差し指をゆっくりと曲げて引き金に触れた。 ・・・・・・ ・・・・ ・・ つーか…… ・・・・ ・・ |
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おまえが死ね! | |
突然、痩男の右手が痩男のテンプル(こめかみ)を拳固(げんこ)で殴った。 拳の衝撃が直接頭の中に届き…… 痩男はダメージで片ヒザをついた。 |
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な!? | |
よし! ようやく体の動かし方がわかってきた。 悪魔に体を乗っ取られた時は本気でビビったが…… |
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さすがワシ! 右手の動かし方は把握した。 |
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なるほど拒絶反応ですか…… 生きた人間を依り代(よりしろ)にするとこうなるんですね。 |
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島乃守(しまのまもり)は今まで痩男に体を乗っ取られていた。 だが島乃守はあきらめていなかった。 思考錯誤を繰り返し、右手だけは自分の力で動かせるようになったのだ! 「痩男に体を乗っ取られていた島乃守」 |
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おまえ……島民ばかりか…… ラブリーチャーミーな桜たんにも酷いことをしやがって! |
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「ラブリーチャーミーな桜たん」 |
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実の娘に「たん」づけだと!? | |
なーにが島民をつかった殺人舞台だよ。 マジ暗いわー。 |
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こんなおまえしか満足しない舞台なんて、誰も喜ばないし娯楽性ゼロだわー。 |
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・・・・・。 | |
アーティスト気どりのクリエイターが小難しい文章を並びたてて、クソゲーを売りつけたのを思い出しちゃったよワシ! | |
島乃守(しまのまもり)の右手が自分の「こめかみ」をピンポイントで殴り続ける。 痩男は頭部の衝撃に耐えきれずに背中から倒れた。 倒れた後も右手は「こめかみ」を殴り続ける。 |
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俗物には分からないでしょうね。 | |
ばーか! ばーか! 人類は全部俗物なんだよ! |
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おまえみたいな自称ワンランク上の人間が和を乱すから、不幸になる人がでてくるんだ! |
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本当に価値のあるものは、少数の人間にしか把握できません。 それはどうしようもない現実です。 |
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島乃守の「左手」が島乃守の「右腕上腕」を掴んだ。 |
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そーゆー上から目線のマニアってムカつくんだよね。 | |
おまえのどの部分が偉いの? いっぱい金を稼いだの? 何か功績でも残したの? |
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あまりにも俗物すぎる。 少し黙って下さい。 |
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島乃守の「左手」が島乃守の「右腕上腕」を強く握った。 「左手の指」が「右腕上腕」の肉にめり込む! 強くめり込む! そして・・・ ・・・・ ・・ 右腕上腕を紙パックのように握りつぶした。 |
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ぐぁあああああぁああああ! |
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断末魔の悲鳴が、雑木林じゅうに響き渡った。 |
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【雑木林の入り口】 島乃守(しまのまもり)の悲鳴は、雑木林の入り口にいた勇気の耳にも届いていた。 |
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お父さんの悲鳴!? 犯人にやられたのですか? |
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勇気は装備していたライフルの銃口を雑木林に向け。 生唾を飲んだ。 |
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雑木林の中は危険ですよ。 | |
「勇気の冷静な心」が勇気を制止した。 「勇気の冷静な心」 雑木林の中に入れば命を落とす予感がした。 勇気の全細胞が危険を感じ委縮した。 |
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私は死にません。 生きて犯人を死刑にします。 |
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そしてお父さんも助けます。 「お父さんの島乃守」 |
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人として正しい選択ですが… 雑木林の中は危険です。 |
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……けます。 | |
勇気は「勇気の冷静な心」を拒絶した。 勇気の足が前に進む。 危険な予感しかしない。 それでも勇気には前に進むという選択肢しかなかった。 |
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【雑木林の中】 雑木林の中では右腕上腕がつぶれた島乃守がうずくまっていた。 |
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生き残りの女がこちらに近付いている。 距離は残り200m。 |
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すぐに殺す。 痩男は∞視点で勇気の位置を確認しながらつぶやいた。 痩男の∞視点で見えているモノは島乃守にも見える。 |
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勇気! これ以上近づいちゃ駄目だ! 変態オナ○スト芸人に殺されちゃうよ! |
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あなたは最低ですね。 | |
島乃守の肉体が倒れた状態から… ゆっくりと立ち上がる。 そして左手でライフルを構え勇気に狙いを定めた。 「豊和M300」という半自動方式のカービン銃 |
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距離は残り150m。 通常射撃で善知鳥(うとう)を仕留める。 |
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やめ…… | |
島乃守の制止を無視し… 島乃守の肉体がライフルの銃口を前方に向ける そして… 鉛でできた悪魔が、銃口から射出された! |
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人間には避けられない銃撃です。 善知鳥(うとう)の子は親鳥に引き寄せられ、猟師に殺される。 |
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弾丸は木にブチ当たっては、木を貫通して前に進む! 弾丸は木にブチ当たっては木を貫通して前に進む! |
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!? | |
鉛でできた悪魔が、勇気を強襲した。 |
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