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∞射程の女銃鹿 被害者父

  第14話
f:id:mesgamer:20180531090810g:plain 夜銃「死刑が無くなったのなら……江戸時代のようにカタキ討ちを法制化すればよいのだ」
死刑が無くなったのなら……
カタキ討ちを復活させるしかない。
あなたは一体……

【夜の森】

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私の名前は木村権造(きむらごんぞう)
年齢は55才。
職業は石工。

私は今、誰もいない夜の森にいる。
ウシガエルの鳴き声だけが鳴り響く夜の森に……

木村さんの手で娘のカタキをとるんだ。
俺はそのお膳立てをしてやる。

私は奇妙な男と会話している。

男の顔は髪とヒゲでおおわれていて見えない。
体は大きく2mぐらいあり……
筋肉質で重量級の格闘家に似た体型をしている。

私自身の手で、カタキをとることができるのですか?
可能だ。

私がなぜ・・この男に出会ったのか。
それは2時間前にさかのぼる。




【警視庁】

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私の娘は1ヶ月前に謎の失踪を遂げた。
私は四方八方手を尽くしたが娘は見つからず、途方にくれていた。

そんなある日・・・
警察から失踪した娘が見つかったと知らせが入った。
私は大急ぎで警視庁まで足を運ぶ事となった。


木村さん……
お待ちしておりました。

午後の6時……
警視庁についた私は、事件を担当していただいている羽山アキラさんと、話をする事となった。

刑事さん。
失踪していた娘が見つかったのですか?
大変申し上げにくいのですが。
娘さんはもう
亡くなられております。


娘が……
亡くなった?



なんですか!
どういうことなんですか!
娘さんは誘拐されていました。
そして誘拐犯に殺害されたのです。
そんな馬鹿な!!

私は冷水を頭からかぶったような衝撃をうけた。
全身に鳥肌がたち。
あまりの寒さに身震いをした。

かける言葉もございません。
娘に……
死んだ娘に合わせてください。
合わないほうが……

近くにいた他の刑事さんが意味ありげな言葉を発した。

それはどういう意味ですか?
死体の状況がよくありません。
もし見られたら。精神的なショックを受ける可能性があります。

娘はどうなったのですか?
・・・・・。

刑事さんが急に押し黙った。



娘さんは胸から上を切り取られ。剥製にさせられました。

は?

一瞬……刑事さんが何をいっているのか分からなかった。

剥製……?
娘が剥製に?

私は冗談を聞きにきたのではありません。
真面目に話してください。
真面目ですよ。
娘さんは胸から上を切り取られ、剥製にさせられたのです。

・・

・・・・

・・・・・・

そんな馬鹿な話があるか!

・・・・・。
あなたの言葉は信用できない。
娘に合わせてくれ!
私の目で娘に何があったか確かめる。

刑事さんはしばらく目を閉じて考えた。
そして軽く息を飲み・・・

もちろんお見せします。
どちらにしろ本人確認のために、身内の方に見てもらう予定でした。

本人確認がまだなんですか?
ではまだ娘でない可能性もありますよ。

・・・・・・。

刑事さんは返答しなかった。
こんな状況下で事務的な対応をしている刑事に、私は怒りを覚えた。

ついてきて下さい。
遺体安置所にご案内します。



【遺体安置所】
私は刑事さんに警視庁の地下にある、遺体安置所に案内された。

遺体安置所は車庫に似た空間だった。
コンクリートに覆われたシンプルな空間。

複数の鉄でできたベッドと、線香をたく木製の台が置いてある。

ここが遺体安置所。
ここです。

鉄でできたベッドの上には、ビニールの袋で包まれた死体が置かれている。

刑事さんはその中の一つを指差した。
ベッドの上には、小さなサイズのビニール袋に包まれた何かが置かれていた。

木村権造さん。
死体はとてもショッキングな状態です。
気を強くもって下さい。

そういうと刑事さんは小さなサイズのビニール袋を取り外す。

・・・・・・。

ビニール袋の中には上半身を切り取られた娘が置かれていた。

皮膚は柔らかさを失って硬質化している。
肌はまるでセミの外皮のように固そうだった。


死んだ人間とはまったく違う・・・

娘は人間の剥製になっていた。

!!!!

恐怖と怒りの滝が全身に降り注ぐ。
あまりの衝撃で全身の感覚が麻痺してきた。

娘さんに間違いないですか?
娘…?
これが私の娘?

私はもう一度、剥製の顔を見てみる。
娘の顔をこれほど凝視したのはいつ頃ぶりなのだろうか。

私は娘の髪型が変わっても気がつかない駄目な父親だった。

・・・・・

・・・



間違いありません。
私の娘です。

どんな変わり果てた姿でも娘は娘だった。
どんなに固くなろうとも……
どんなに切り取られようと……


世界でただ一つしかいない娘の形をしていた。

そうですか。
残念です。
・・・。
・・・・・・・。
犯人は捕まったのですか?
被疑者なら捕まえました。
犯人の名前は仇山的助(かたきやま まとすけ)20代後半のフリーターです。

仇山的助。


その男が私の娘に酷い事をしたのか。


被疑者の証言では、娘さんをマウスパッドにしたそうです。
マウスパッド?

意味が分からない。
それは人間の所業なのか?

ええ……マウスパッドです。
仇山的助は……
何がマウスパッドだ!
娘は物じゃない!
物じゃないんだ!


目から大量の涙があふれでる。
もう冷静ではいられない。
もう人の心を維持できない。

刑事さんの両肩を握りつぶすぐらいの気持ちで、ガッチリつかむ。

どうして助けなかったんだ!
助けるのが警察の仕事だろ!
責任をとれ!
 

・・・・・。
くだらない駐車違反を取り締まる暇があるのなら、なぜ娘を助けない!!

刑事さんは私から目線を外さない。
困った顔で私を凝視している。

そうやって困った顔をして私を見下しているのか?


私は完全に冷静さを失っていた。


私の顔を殴って下さい。
え?
公務執行妨害とかケチ臭い事はいいませんから、殴って下さい。
・・・・・?
殴る勇気もありませんか?
馬鹿にするな!!

私は拳を振りあげ刑事さんの顔を……
刑事さんの鼻の頭を殴った。

刑事さんは鼻から血を流し、後ろに転倒して尻餅をつく。

あ・・。

刑事さんの傷つく姿を見た瞬間……

私の脳はいっきに冷却され罪悪感だけが残った。

私はなんて事を…
罪のない刑事さんを殴ってしまった。


す……すいません。
ついカッとなって。
冷静になったようですね。
殴られたかいがありました。

・・・・・

・・・



あの……
娘と2人きりにさして下さい。
・・・・・・。
お願いします。
娘と2人で……
分かりました。
10分だけ席を外します。
まだ調べることがあるので娘さんの体には触れないで下さい。

ありがとうございます。

そういうと刑事さんは遺体安置所の外にでていってくれた。

私は娘と2人きりだ。

ごめんな雪子。
父さんお前を助けられなかったよ。

娘は返答しない。

父さんはお前の事を、母さんにどうやって報告すればいいのかな?

娘は返答しない。

さすがに返事はないか。

私はたまらない気持ちになって娘の頬を爪先で触った。

その瞬間……

私の脳に娘の声が流れ込んできた。


この男は苦しんで死ね!

この男は苦しんで死ね!

この男は苦しんで死ね!


!!

私は驚いて娘から爪先を離す。
爪先を離した勢いがあまって、3歩後ずさりして尻餅をついた。

げ…幻聴?

私の手は震えつづける。
もう一度娘の体に触れてみる。

今度は何も起きない。

やはり幻聴……?
いや…あれは確かに娘の声だった。

遺体安置所の外にいた刑事さんが、大急ぎで死体安置所にはいってきた。

どうしたんですか?
な…なにもありません。
……?
そ…そうですか。

娘は報復を望んでいたのだろうか?
「この男は苦しんで死ね!!」
という娘の声が脳裏に離れない。


娘さんに何かしましたか?
娘の声が。
娘さんの?
いえ……
何もありません。
???

あの……

娘の望みを叶えるのが父親の務めですよね?

刑事さんは不思議そうな顔をする。
突然、変な質問をされて困惑しているのだろう。

娘さんの望み?
幽霊にでも出会ったんですか?
幽霊?
そうか幽霊か。

私の顔がゆっくりと戦う男の顔に変化する。

「この男は苦しんで死ね!!」

娘の幽霊が犯人の死と苦痛を望んだのだ!

やらなければならない事ができました。
どうしたんですかさっきから変ですよ。
私は犯人に合わなければなりません。
犯人はどこにいるんですか?

刑事さんの顔が急に強張る。

被疑者との接見を希望しますか?
はい!
被疑者の仇山的助は警視庁の留置所にいます。
捕まっているのですね。
ではすぐに合わせてください。


今日は事情聴取があるので無理です。
事情聴取ですか……
まだ仇山的助が犯人と決まったわけではないのですか?

証拠も多数見つかりましたし……
仇山的助の証言と証拠が一致しています。
仇山的助が犯人の可能性は極めて高いでしょうね。

そうですか。
仇山的助が犯人ですか。

私は獲物を狙う狩人のような目でそう答えた。

犯人に会えないなら……
犯人の顔写真だけでも見せてください。
いいですよ。
待合室で写真を渡しますので、待合室までいきましょう。

刑事さんはそう言って遺体安置所を出て廊下を歩きだした。

私は慌てて刑事さんの後をついていく。

・・・

・・



その時、私と刑事さんの頭上を……

2mぐらいの黒い何かが通り過ぎた。


黒い何かは少なくとも音速ジェット機よ早い速度で移動した。

!!
何かありましたか?
え……刑事さんは気がつかなかったんですか?

刑事さんが首を傾げる。

天井を黒くて大きいのが通り過ぎましたよ。
ゴキブリですか?
警視庁でも出るんですね。

違います!
2mぐらいの何かです!


そんな大きいものなら私でも気がつくと思いますが……
そ…それは…
木村さん。
人間は追い込まれると、よからぬ幻覚を見るものです。

!!

た・・たしかにそうだ。
今日の私はどうかしている。


娘さんの事を考えれば、混乱されるのも無理もない。
・・・・・・。

私は押し黙るしかなかった。
刑事さんの言うとおりだ。
私は間違いなく混乱している。


【団体待合室】

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それから5分後……
待合室に到着した私は、そこで刑事さんを待つことにした。

私は混乱していたんだな。

冷静に考えれば娘の幽霊に出会うはずはない。

廊下の天井で2mぐらいの黒い何かが通り過ぎたのも、錯覚なんだろう。

これから裁判で犯人と戦うことになる。
だからこそ私は冷静であるべきなんだ。

いや・・あんたは
驚くほど冷静だよ。
木村権造さん。

突然……
背後から男の声がした。

!?

振り向くとそこには奇妙な男がいた。

男の顔は髪とヒゲでおおわれていて見えない。

体は大きく2mぐらいあり……
筋肉質で重量級の格闘家に似た体型をしている。

馬鹿な!
これも幻覚なのか?


あの状況下で俺の動きを視認したんだ。
賞賛に値する。
幻覚じゃないのか?
さっき廊下でみた2mぐらいの黒い何かはあんたなのか?

そうだ。
あんたは何者なんだ?
なぜ私の名前を知っている。
俺の名前は夜銃(やじゅう)
弾丸のグノーシャだ。


弾丸?
グノーシャ???


俺は「とある目的」の為に警察の捜査資料を盗み見していたのだ。
木村さんの名前はそこで知った。

盗み見?
あんたは犯罪者なのか?
罪人ではない。
だったら何者なんだ?
あんたの望みを叶える者だ。
望み?
木村さん……
あんたは娘のカタキを自分の手でとりたくはないか?


そ…それは……

奇妙な男の提案は私にとって魅力的な提案だった。

コンコン。

待合室の外からノックをする音がする。

木村さん入りますよ。

どうやら刑事さんが戻ってきたようだ。

ここではゆっくり話ができないな。
場所を変えよう。

そういうと男は強引に私を抱きかかえる。

!!
年をとった男をお姫さまだっこか……
気分の良いものではないな。
は……離せ!!
すぐに離す。

ガチャ……

刑事さんが扉を開けて、待合室の中に入ってきた。

何かあったのですか?

扉が開いた瞬間……

私を抱きかかえた奇妙な男は

光速に限りなく近い速度で警視庁の外に出た。

な……?

何が起きたのか把握できない。

瞬間移動?

いや違う!
この男は生物とは思えない速度で移動したのだ。

人間じゃない。

男は、はきだされた弾丸のように一瞬で目的地まで移動した。

そしてこの男が移動したことを誰も気がついていない。

∞機動


そういうと……男はまばたきする100分の1の時間で、東京と山梨県の県境にある森まで移動した。

まるで光速で移動する弾丸。
奇妙な男は弾丸のように移動した。



【夜の森】

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ここは誰もいない夜の森。
ウシガエルの鳴き声だけが鳴り響いていた。

あんた何者なんだ!
あんた何者なんだ!


俺の名前は夜銃(やじゅう)
私に何をするつもりだ?
俺の提案を断ったなら。
何もしない。
お帰りいただく。

提案?



木村さん……
あんたは娘のカタキを自分の手でとりたくはないか?


そ・・それは・・・。
警察の捜査資料を盗み見して分かった事がある。
仇山的助(かたきやま まとすけ)は、間違いなく木村さんの娘を殺した犯人だ。

!!
仇山的助は間違いなく無期懲役になるだろうな。

奇妙な男は突然……
刑罰の話をはじめた。

無期懲役!?
日本で死刑が廃止されたのは知っているな。
は・・はい。
仇山的助は死刑に値する罪を犯した。
だが日本では死刑が廃止されたのだ。

!!

奇妙な男の発言に間違いは無い。
1年前に日本では死刑が廃止された。

こんな理不尽なことはない。

娘にあんな事をしておいて無期懲役……
死刑が無くなったのなら…
カタキ討ちを復活させるしかない。
・・・・・。
江戸時代のようにカタキ討ちを行えばよいのだ。



真っ暗な森の中で……
奇妙な男の目は光り輝いていた。

奇妙な男の目は獲物を狙う野獣のようだった。



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