第3話 | |
三号「俺は女銃鹿(めじゅうか)と名乗る化物から逃げ出した」 |
ば・・化け物!! | |
!! |
【見知らぬ倉庫】 |
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くっ・・・・ | |
俺は女銃鹿(めじゅうか)に背を向け逃げようとした。 しかし勢いあまって転倒。 動転しすぎて、目の前がグラグラと揺れはじめる。 |
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(なんだあれ?) (なんだあれ?) |
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話があります。 | |
化け物と交渉? ありえん! |
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・・・・。 | |
真っ先に殺されるに決まっている! | |
映画や小説では化け物の近くにいた者から順に殺される。 死にたくなければ鉄火場からなるべく遠くに離れるべきだ! |
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クソッ! | |
俺は夢中になって倉庫の外に出た。 倉庫の外は整備されてない森だった。 |
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【整備されてない森】 俺はフラフラしながら… 無様な転等を繰り返しながら… 全速力で女銃鹿から逃げ出した。 |
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はぁ…はぁ… | |
遭難してもかまわん… 今は化け物から1ミクロンでも遠くへ離れろ!! 森の奥へ! 森の奥へ! |
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・・・・・・ | |
女銃鹿は男が逃げる姿を静かに見送った。 |
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突然逃げ出したグノーシャは今回が初めてです。 臆病な彼は日本にどのような影響を与えるのでしょうか。 |
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女銃鹿(めじゅうか)は一人そう呟いた。 【売れ杉三号が女銃鹿から逃げ出して10分後】 売れ杉三号は森の奥に進む。 靴は泥にまみれ、何度も転倒した。 それでも死にたくないという思いだけで走りつづける。 |
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そしてまた何かに足を 引っ掛けて転倒した。 |
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はぁ…はあ… いくらなんでもこけすぎだろ俺は… |
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・・・・・・ | |
どこから現れたのだろう? 13才から14才の少女が転倒した俺を眺めている。 身長は145cmぐらいか・・・ いまさっき何かに足をひっかけて転倒したが、この少女に足を引っ掛けられた 気がしないでもない。 |
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生まれて間も無い時にこけまくるのは、プレイステーション3の宿命なのかなー。 |
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え・・・・ | |
突然…少女は意味不明な事をつぶやいた。 なんでここでTVゲーム機のプレイステーション3がでてくるんだ? |
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君はいったい何者なんだ? | |
それが私にも分からないの。 記憶がまったくないの。 |
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どうやらこの少女は俺と同じで記憶を失っているらしい・・・ こんな少女でも同じ境遇の人間に出会うと、少しだけ安心する。 |
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俺も君と同じで記憶がない。 | |
倉庫で恐ろしいモンスターお姉ちゃんに出会ったよ。 | |
恐ろしい女って… あの女か? |
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その女…頭がガラスケースみたいになってなかったか? | |
ガラスケースの頭と聞いて少女の顔は恐怖に歪んだ。 |
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そうなの! お姉ちゃんの話を聞いてたら、人体実験して体を解体するって脅迫されたの。 |
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くそが!! やっぱりあの女は危険人物だったのか! |
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こんな少女を解体だと? 俺は真っ先に某国の違法臓器屋を連想した。 最悪だ! あの女! |
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一人じゃ危ないから一緒に森の外に出て欲しい・・・ | |
そうだな君みたいに小さい子供を置いていくわけにもいかないしな。 | |
少女の顔が一気に明るくなる。 今まで一人で不安だったのだろうか。 |
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道は分かるよ。 ついてきてー♪ |
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そう答えると少女は小走りに走り出した。 俺はあわてて少女についていく。 |
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道がわかるって・・・ ここがどこなのか分かるのか? |
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ここは愛知県の名古屋市だねー。 | |
名古屋にこんなデカイ森が? | |
思ってるほど大きくないと思うよ。 少し昔に名古屋市で森づくり構想ってのがあって… 森は完成したけど使い道が無かったんで放置されたのがこの森だねぇー。 |
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税金の無駄づかいかー。 | |
この世界に無駄なんてものは存在しないよ。 | |
人間にとっては無駄な森かもしれないけど。 この森を狸やカラスが有効利用しているのー。 |
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モノの見方しだいだな。 | |
少女が急に歩くのをやめて。 俺に笑顔を向ける。 |
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その通り! モノの見方しだいだね! 人間とは違うモノの見方が3号君にとっても私にとっても大事な事になるんじゃないかな? |
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??? 人間とは違うモノの見方? この少女は何を言っているんだ? |
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君はいったい・・・。 | |
パァン!! |
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!? | |
突然銃声が鳴り響く。 銃声が一瞬で世界を戦場色に塗り替えた。 森にいた数羽のカラスが奇声をあげながら逃げ出す。 森の中から見たことがある人物がゆっくりとした足取りで登場した。 |
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見つけましたよ。 | |
女銃鹿がゆっくりとこちらに近づいてくる。 彼女の左手には拳銃が握られている。 38口径官用回転式拳銃… ニューナンブm60 日本人が警察官の使用する拳銃と聞いて想像するのはこの銃だろう。 |
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一発目は空砲です。 | |
この状況は危険だ! 少女だけでも逃す必要がある! |
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(小声で)偶然であった少女ちゃん… 俺が逃げろと叫んだら逃げてくれ。 |
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(なんかフツーかも…) | |
あれ? 返事が無い? |
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うん。 分かった。 |
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一瞬、少女に観察された気がした。 が、そんな事を気にしている暇は無い。 |
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あんたは一体何者なんだ? 目的はなんだ? |
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最初に状況を説明する予定でしたが、予定変更です。 |
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妹の提案で…最初に3号君の戦力を測定します。 | |
戦力を測定? なんじゃそら? 俺を非合法な組織の構成員にして戦力にするつもりか? 某国の工作員にされるのか? 某国の工作員にされるのか? |
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状況が分かると必死になって戦わない可能性もあります。 ここはあえて状況を伝えません。 |
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はぁ??? | |
では…行きます。 死なないで下さいね。 |
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そう言い放つと女銃鹿は銃を構えた。 |
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