第0話 | |
2010-11-12 私が生まれた次の日… |
・・・・・・。 | |
起きろ。 女銃鹿(めじゅうか)起きろ。 |
【見知らぬ倉庫・・・】 |
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私は見知らぬ倉庫で倒れていた。 いかにも崩壊しそうな倉庫・・・ 倉庫はさびた鉄の臭いで満たされている。 なぜ倒れている? ・・・何も思い出せない。 私が何者なのかも分からない。 |
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中々起きないな。 | |
・・・・・・。 | |
低血圧というやつかもな。 低血圧には重い物を乗せるといいと、どこかで聞いたな。 |
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・・・・。 | |
石でも乗せてくか。 | |
私の体に重いものが次々と乗せられていく。 これは・・・石? 私の体に10kg以上の重い石が次々と乗せられる。 |
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重っ・・・。 | |
おっ♪ 効果があったか? |
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これは・・・ヤバイ。 起こされる前に永眠してしまう。 私の骨が石の重量に耐えかねて悲鳴をあげた。 これはどういう状況なんだろう? ハードに起こされて死亡? そう考えると恐怖と羞恥心が私をゆり動かした。 |
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やめてください! 殺す気ですか? |
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私は全力で石をどけ。 全力で起き上がる。 私の上には、10kgくらいの石が20個ほど乗せられていた。 |
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おー! 起きた起きた♪ |
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もう少しで圧死する所でしたよ。 | |
そんな弱いクリーチャーではないけどな。 | |
!? | |
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あなたは誰? それに私は誰なのですか? |
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昨日、生まれたばかりだからな。 何も分からないのは当然だな。 |
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・・・・? | |
状況が把握できない。 この少年は何者なのだろう? |
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受け取れ! | |
!? | |
突然少年が私に狩猟用ライフルを投げ渡した。 私は慌てて狩猟用ライフルを受け取った。 |
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お前が何者か教えてやってもいい。 だが・・・その前に鹿狩りに付き合ってくれ。 |
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少年はスタスタと倉庫の外に出て行く。 私は慌てて少年の後を追いかけた。 私の足は生まれたての子鹿のようにガクガク震え・・ ライフルを杖代わりにしなければ立っていられない。 それでも私は死にもの狂いで少年を追いかけた。 |
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【見知らぬ倉庫の外】 |
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倉庫の外は森になっていた。 季節はおそらく冬・・・ 雪がところどころに残っている。 |
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ここはどこですか? | |
愛知県名古屋市の北にある森だな。 | |
こんな所に鹿がいる のですか? |
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日本にいる鹿を狩るわけじゃない。 スウェーデンにいるへラジカを狩るんだ。 |
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・・・・・? |
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今からスウェーデン旅行をするのですか? | |
いや…ここで狩る。 | |
??? |
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あの・・・。 いっている意味が・・・。 |
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少年は私の質問を無視して、近くの木に立てかけてある大型の狩猟用ライフルを手に取った。 |
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このライフルは大型獣狩猟用ライフル。 名前はT-Rex Rifleと呼ばれている。 |
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少年は斜め45度上空に向けてライフルを構え。 狙いを定めないで無造作に引き金を引いた。 凄まじい爆音と共にライフルが火が吹く。 大きな銃の反動が少年に伝わるが・・・ 少年は微動だにしない。 |
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なっ♪ 簡単だろ? |
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??? | |
私の目には何も無い上空に銃を撃ったようにしか見えない。 少年は何を納得してるのだろう? |
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今のでスウェーデンにいるヘラジカの頭部を1つ吹き飛ばした♪ | |
何も無い上空に銃を撃ったようにしか見えませんよ。 | |
おいおい・・・。 俺の時と比べると随分とレベルが低いな。 |
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少年の言っている事が0から100まで分からない。 |
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しょうがない。 0から100まで教えてやるよ。 |
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お・お願いします。 | |
教えてくれるなら早く教えて貰いたい。 私はまだ自分の名前すら分からないでいる。 |
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もう一度ライフルを撃つから。 銃弾をしっかりと目で追ってくれ。 |
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その行為にどんな意味があるのですか? | |
やって見れば分かる。 | |
少年は肩の関節をクルクル回し準備体操をし・・・ ゆっくりと斜め45度上空にライフルを向け狙いを定めた。 |
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行くぜ? | |
はい。 | |
少年はゆっくりと引き金を絞った。 凶悪な発射音と共にライフル から銃弾が発射される! |
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・・・・・・。 | |
私は死に物狂いで銃弾を目で追った。 銃弾は放物線を描きながらありえないスピードで飛翔した。 銃弾は瞬く間に愛知県の外に出て・・・ 驚くべきスピードで日本の領海から外にでた。 |
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なんなんですかこれは! なぜ私はこんなモノを目で追えてるのですか!? |
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銃弾の勢いはまったく止まらない。 光速とも思えるようなスピードで大陸を横断し・・・ スカンジナビア半島に到達。 銃弾はスウェーデンにある アビスコ国立公園に突入した。 |
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鹿が・・・。 大きいヘラジカが見えます!! |
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銃弾は斜め45度上空からヘラジカに接近。 銃弾がヘラジカのこめかみに触れた瞬間。 ヘラジカの頭部はこなごなに粉砕された! |
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頭部の消えたヘラジカはゆっくりと倒れ。 雪の中に埋もれてゆく。 |
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・・・・・・。 | |
おまえもやってみろ。 女銃鹿(めじゅうか) |
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私にできるわけがない!! | |
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最初からできるんだよ。 俺とお前は同じ化け物だからな。 |
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あ・・・あ・・ | |
杖代わりにしていたライフルを・・・ 私の手が勝手に持ち上げる。 私の意志に反して・・・ 私は銃を構える。 |
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おまえはグノーシャという化け物だ。 おまえはこれからこの力を使って自分の選んだ正義を貫こうとするだろう。 |
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あ・・・あああ・・ | |
私はゆっくりと・・・ 銃の引き金を引く・・・ |
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そしておまえは破壊する。 お前が選んだ悪を・・・ |
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私は完全に銃の引き金を引いた。 のろしが上がるように銃弾が飛翔する。 |
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ヘラジカの頭のように粉々に粉砕する。 | |
・・・・・・・。 | |
私は呆然としながら銃弾の行き先を目で追いかける。 ほどなくして三匹目のヘラジカも絶命した。 |
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